すぎやまこういち氏 DSでのドラクエ音楽について語る

国民的RPGであるドラゴンクエスト。その本編の新作がDSで出ると言うことで日本全国に衝撃を与えましたが、最近ではIV,V,VIもDSへの移植が発表されるなど、DQMJ以来のDSシフトを強く見せている作品でもあります。

そんなドラクエを支える3大人物は、言わずとしれた堀井雄二鳥山明すぎやまこういち氏。そのうち、すぎやまこういち氏がGAMEWatchでのインタビューに答え、いろいろとコメントしていますね。

スギヤマ工房、「第21回ファミリークラシックコンサート」開催。開発中の「ドラクエIV」と「IX」の音楽について語る

DSでドラクエがでることについて

コメントからは、DSでドラクエを出すことについて、かなりノリノリな印象を受けますね。元々、ドラゴンクエストすぎやまこういち氏が関わったのも、すぎやま氏がゲーム好きでエニックスにはがきを出したことが発端ですし、やはり純粋にゲームが好きなんでしょうね。自分で忙しい合間にDSでドラクエができることを喜んでいるかんじです。

RPGというのは、確かに美麗な映像で据置機でどっぷりはまる、というのも一つの楽しみ方であるとは思うのですが、やはり大人になったりするとそんなにまとまった時間も取れませんしね。家に帰ってきてもそう何時間もプレイできませんから、TVの前で何時間も座っていないといけない、というゲームは正直社会人ではやってられないところがあります。また、若者であってもゲーム以外にもいろいろ娯楽はありますしね。そうした「人の時間」を奪い合う娯楽業界では、なかなか重厚長大RPGは以前ほどは受け入れられないようになる気がします。

もちろん、ゲームにかけられる時間がたっぷりある学生や、学生でなくてもRPGのために時間を確保してプレイする人も結構いるとは思いますけど、一時期のような「猫も杓子もRPG」というのはちょっと流行らない感じはしますね。特に次世代据置機などだと、RPGを満足させられるクオリティで作るにはこれまで以上に時間と金がかかります。その割にはそれを求めるユーザー数が減ってしまうのでは、ビジネスとしてなりたちませんからね。

そうした状態で、DSで入ってきたユーザーから新規にRPGユーザを獲得すること、また画質にそこまでこだわらず、マイペースで空いてる時間でRPGを楽しみたいゲーマーなどに対して、DSでRPGを提供することは大きな意味があるでしょう。特に、FF3やDQMJで一定の成功を見せてくれたのは、他のサードとしてはやりやすくなったでしょうね。

DSでの音楽について

また、作曲家であるすぎやま氏だけに、DSでの音楽作りについても積極的に発言されていますね。とくに、PSとの対比を含めた発言が、いかにもすぎやま氏らしいな、というかんじです。

「DSは『音しょぼいよ』なんて言われたりしますが、たしかにPSなどの方がいろいろもっとできるでしょう。でも音楽はそれだけのものじゃなくて、やっぱり曲があり、それをどう音楽的に表現するかの方が大きいと思います。DSの音源でもフレージング、その範囲内でできる音色などで音楽的にいいものを作っていくことは絶対可能だと思うし、頑張り甲斐のあることですね。いってみれば、『IV』までの曲はファミコンの3トラックで表現できていたわけですから、ファミコンに比べたらDSの能力の方がはるかに高いんです。それから、『IV』の音楽の音調整はすでにもう1回やりました。正直言って、DSの内蔵音源でこれだけ音楽的なものができるのかと驚きました。たぶんDSではまさに初めてと言えるくらいの音ができつつあると思います」

ファミコンの制限ある音源でも、ちゃんと音と旋律を洗練させればいい曲が作れると努力し、それを実現したのがすぎやま氏ですしね。このすぎやま氏の主張は、よく久夛良木氏のPS2のときに言った「ファミコンなんかじゃ音楽できない」という発言に真っ向から対抗することとしてよく話題にされますよね。具体的には以下のリンクが詳しいです。

TERRAZINE - SCEI久夛良木とドラクエすぎやまこういちの違い

今回も、わざわざ「PSなどの方が…」と話題に出しているところからも、「音源の性能と音楽のよさはイコールではない」というすぎやま氏のポリシーからなんじゃないかと思います。ドラクエのよさは、そうしたスペックに依存するものではないぞ、と。

もっとも、序曲だけはオーケストラで鳴らしたいとかも言っているので、「音源の性能が悪いからいい曲だというわけでもない」ということなんでしょうけどね。ようは、作曲者・音楽スタッフのさじ加減次第ということでしょうか。

ドラクエIXの発売はまだまだ先?

あと、このインタビューで気になるのは、予想通りという華南と言うか、ドラクエIXの開発はまだそれほど順調そうじゃなさそうなところ。当初アナウンスでは2007年中に出るという話でしたが、この時期になってもまだ「堀井氏のひらめき待ち」みたいなことを言っているようでは、まだ当分かかりそうな印象です。まあ、スクエニもそれをみこしてIV〜VIのリメイクなんでしょうけどね。ドラクエが延期を繰り返すのは恒例ですしね。とはいえ、ドラクエIXの発売がDSの勝利を決定付けた感はあるだけに、1年も2年も延期するような状態は勘弁して欲しいところではありますが。とりあえず、東京ゲームショウではなんらかの形を見せて欲しいところですけど。
DSでのドラクエがどういうゲームになるか、そしてどんな音になるのか。そして発売時期はいつか?いろいろと注目ですね。