ドラゴンクエスト9はDSで発売 〜 ナンバリングタイトルが携帯機に

昨日の夜に記述したエントリ「ドラゴンクエスト新作発表?!」で、世間に話題になっていた「ドラクエ新作発表会」の話に対して、下記のエントリでいくつか予想をしました。自分の予想としては「DQ9の発表は無し。現時点であるとすればPS2、次世代機はまだ様子見」というものでした。

結果、この予想はものの見事にはずれw。結果は「DSでナンバリングタイトル発売」というものでした。


スクウェア・エニックス、「ドラゴンクエスト」シリーズ本編新作を発表 「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」、プラットフォームはニンテンドーDS - GAME Watch
『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』画面写真公開! / ファミ通.com
草なぎ剛も興奮! 『ドラクエIX』プレイデモリポート! / ファミ通.com


DSで発売、ということ自体は考えなかったわけでは無かったのですが、自分の中でその可能性を消してしまっていましたね。すでに結果が出てしまってから述べるのは結果論に過ぎずあまり価値の無いことではありますが、一応いろいろ語ることのできるネタではありますので、以下に自分なりに考える「DQ9がDSで出ることの理由・意義」について記してみたいと思います。

ドラクエ」的視点から見た理由

「なぜDSで出すのか?」という点についてですが、まずは「ドラクエ」という視点から考えてみたいと思います。一番初めに思いつくのは、前々から言われていた「ドラクエ本編は一番売れているハードで出す」というものです。元々はPSで7を出すときに言われた言葉のようですが、その後もそのポリシーはずっと語り継がれていました。現状、ゲーム業界はニンテンドーDSが圧倒的な市場規模を誇っています。そういった視点で言えばDSで出すというのは非常に「当たり前の話」であるとも言えます。
また、ドラクエというソフト自体も、そもそもあまりグラフィックを売りとしているソフトではありませんでした。実際、SFCの5,6、PSの7と、ライバルであったFFに比べるとずいぶんとグラフィックには差がありましたし。しかし、それでも毎回圧倒的売り上げを誇っていたわけです。DQ8では非常に高いレベルのグラフィックを実現してPS2のゲームに慣れていたコアなユーザにも受け入れられ、また新規のDQファンを増やすことにも成功しましたが、やはり根本的なところにあるのは、DQの父・堀井雄二氏が作り上げる、独特の「ドラクエの世界」というものだと思います。自分はスーファミ、PSユーザでは無かったため、DQを主にやっていたのはIVまでなのですが、その後やったPS版の7も、その独特のストーリー、台詞回し、バランスなどに「あぁ、ドラクエだなぁ」と安心してプレイできたのを覚えています。当時はすでにPS2が出ており、PS版の7はグラフィックでは遙かに劣っていたのですが、それでも十分に楽しめました(世間的には評判は微妙らしいですけど)。
そうした意味からすると、たとえDSであっても、堀井雄二氏が統括して作り上げ、すぎやまこういち氏の曲と鳥山明氏が描くキャラがイメージとしてあるのであれば、それはまぎれもなく「ドラクエ」ということだと思います。DQ8ドラクエファンになった方には「グラフィック進化が無いと意味ない」という指摘をされる人はいると思いますし、それも分かるのですが、ドラクエというゲームの性質からすると、必ずしも次世代機である必要はないかと思います。
そうした意識は、おそらく堀井雄二氏自身にもあったでしょう。別に彼がグラフィックを作るわけでもないですしね。堀井氏の場合だと、ドラクエでは世界観、ゲームデザイン、バランスといったあたりに興味を持っているような印象がします。DSやWiiといった新しいアイテムにも早くから興味を示していましたからね。堀井氏のモチベーションからしても、DSのインタフェースの改革とWi-Fiという広がりに大きな魅力を感じたのでしょう。

スクエニ」的視点から見た場合

一方、ドラクエ的にはDSというのはあり得なくはない選択なのですが、そうは言ってもドラクエ本編はエニックスの看板タイトルであり、これまでのコンソール戦争の趨勢を決めてきた、単なる一ゲームシリーズを越えた位置づけを持ったもの。最終的にDSで出すには堀井氏の意向だけでなく、スクエニの意向も重要な要素になってくると思います。

そこで出てくるのが、スクエニの和田社長。基本的に自分は、和田氏のゲームに対する「愛情」がさっぱり感じられないので好きではない人物なのですが、今回のDSでのドラクエ発売は、そうした和田社長のビジネスライクな意向が働いた感じがします。元々畑違いなところ出身でゲームに対する固定概念の薄い彼だと、そもそも「据置でドラクエを出さなければいけない」ということすら、別に聖域とも思っていなったのでしょう。この手の「ゲーム感」の無さは、「ユーザにデバグさせればいい」といった趣旨のようにしばしばゲーマーから反発を受けるのですが、今回は堀井氏の嗜好とうまくマッチしたように思います。

そもそもビジネス的に見れば、現在支配的立場のDSで出すのが圧倒的に有利です。リメイクのFF3で80万本以上の売り上げを誇ることから見ても、「伝統的RPGが売れる土壌」としては確かな手応えを感じていたことでしょう。そもそも、DSでは最初から任天堂製伝統RPGであるポケモンがあるわけですしね。

自分の予測としては、おそらくDS版のドラクエは、ナンバリングタイトルとするかどうかははっきり決まらない状態で開発していたのではないかと思います。開発開始が1年以上前というと、まだぶつ森もっと脳トレの件が無かったときですからね。その後のDSのあまりの好調具合に、正式にナンバリングタイトルとしたんじゃないかな、と思います。次世代ゲーム機用に作るにはどうしても時間がかかりますし、現時点ではまだまだどこが勝者になるか読めない状態。かといって、ずっとひよっていては貴重な収入源であるDQタイトルを投入できません。そう言った意味で、確実にダブルミリオン以上を見込めるDSというのは実に堅実な判断だと思いますね。30代ぐらいのファミコン世代が多いと言われているユーザ層も、その考えを後押ししていると言えるでしょう。

正直、PS3がもっと順調に行っているのであれば、もう一度PS2という判断もあったかと思うんですけどね。堀井雄二氏自身の仕事はシナリオ作成とゲームシステムですし、ゲームエンジンDQ8でレベル5が構築済み。具体的にゲーム化するところは、開発の途中からでもすむわけですし。もっとも、タッチペンやWi-Fiという要素は使えませんので、この部分で堀井氏のモチベーションが落ちそうな気はしますが。

ともかく、スクエニ的にも、DSで出すことはビジネス的に理にかなった判断だと思います。

ユーザから見た観点

さて、そうはいってもユーザからしてみれば今回の発表はかなり衝撃的だったでしょう。自分自身、上記で述べたようなことをある程度「理論的には」考えていたことはありましたが、「さすがにドラクエ本編が携帯機はないだろう」というその一点で最初からその可能性を切ってましたからね。特に、DQMJなどDQ8っぽいドラクエの亜流がDSが出ていることも、DSに本編が来るという意識を完全に外に追いやってしまっていた感じです。FF3DSでDSでも綺麗なRPGを実現できることは照明されてはいましたが、さすがにDQ8のグラフィックがすごかっただけに、そこから画質の劣る方向には来ないだろうという考えもありました。

今回のDS版は、そうしたゲーマーの持っていた固定観念が見事に裏返された感じですよね。それに、このDQ9ではWi-Fiでの4人同時プレイにアクションRPG要素と、あきらかにこれまでの超保守的DQからは考えられないような要素も含まれています。こうしたところに、抵抗感を覚えてしまうユーザもいることは確かかと思います。他のRPGがどんどんアクション要素などを取り入れる中、かたくなにコマンド式を保持していた訳ですしね。逆に、そうした古いシステムだからこそ、「ドラクエしかやらない」というユーザでもプレイできた、という要素もあると思います。そうしたライトユーザがこのDS版をどう見るか、興味深いところです。もっとも、DSというライトユーザを多数集めている土壌自体は、DQとの親和性はいいとは思いますが。


個人的には「今までにない体験」というものに非常に魅力を感じるタイプなので、このドラクエ9には結構期待してしまいますね。できれば、DQ3+オンライン要素みたいな作りであったらいいな、と思います。ストーリー部分はしっかりあるものの、パーティは比較的自由に選べ、いろいろな成長のさせ方ができる。そして、Wi-Fiでは自分の育てたプレーヤと友人とでパーティを組み、シレンのような自動生成ダンジョンに挑んでパーティで探索。そこでしか手に入らない指輪などのアイテムやモンスターなどとの対戦ができる、といった感じでしょうか。一人でも普通にドラクエとして楽しめ、さらに他人とつながることができる、というのが理想です。是非ともルイーダの酒場が復活して欲しいですねw。あと、街の人の会話でもWi-Fi要素を使って、他のプレーヤの冒険内容が町人の会話に反映されたり、掲示板の内容が共有されたりすると面白いのでは?と感じます。ぶつ森自体がよくできたRPGですので、そういった要素も取り込んでくれると面白そうです。また、アクション要素も、「誰でもプレイできる」という従来DQユーザを裏切らないような、比較的瞬発力を要しない要素であって欲しいな、と思います。適当にリズムよくボタンを押すと攻撃がつながる、みたいなシンプルなアクション要素だといいように思います。回避なども自分でやらないといけないようだと、アクションが苦手な人には難しい気もするので。

アクション要素などに一抹の不安は有りますが、堀井雄二氏のゲームデザインに期待感を持って待ちたいと思います。


P.S.
GAMEWatchで詳細な記事が出てますね。
スクウェア・エニックス、DS「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」発表。Wi-Fiで4人同時プレイに対応したオンラインアクションRPG

ここでゲーム画面が出ていますが、やはり従来のドラクエとはかなり印象は違う感じですね。グラフィック自体はかなりいい感じでまとまっていると思いますが。このあたりはレベル5の技術力と言うところでしょうね。

スクリーンショット
スクリーンショット

上のあたりのスクリーンショットを見ると、なんかラグナロクっぽい印象も受けますね。あれもクリックして攻撃するのがメインで、そこまでアクション要素はないゲームでしたし。ただ、聖剣っぽい印象もするのが微妙ですがw。

スクリーンショット

上記画面では、ギガデインを使うシーンも掲載されてますね。魔法を打つ場所をタッチペンで指定できるようです。

スクリーンショット

上記では装備を変える画面。ロト装備がそろっているところがドラクエっぽいですね。これもネットゲーではよく見る画面ではあります。

こうしてみると、ネットゲー風味のドラクエ本編というところでしょうか?ドラクエの味である「ストーリー部分をゆったりとやりこめる」というところが実現されているといいのですけど。イベントや体験版ダウンロードに期待ですかね。できればWiiでさくっと配信して欲しいところです。