発売日に公表されたPS3の互換性問題

PS1/PS2の上位互換を持つというPS3。ただ振動機能がないことから、そもそも完全なPS1/PS2との完全な互換性が確保できないことは分かっていました。問題は、実際どの程度動くのかなのですが、その詳細は未知数。それでも、初期型はPS2のGS+EEを積んでハードウェアにより互換性を取ると言うことで、振動しないまでも薄型PS2程度の互換性は保てるのだろうという推測はされていました。

初代PS3には,Cellに加えてPS2向けに開発したEEとGSが載っていることが明らかに - デジタル家電 - Tech-On!

ちなみに、上記のTech-Onの記事じゃ「PS3においてCell上で動作するエミュレータを使ってPS2との互換性を確保する方針をこれまで示していた」と言っていますが、今年のE3の久夛良木氏のインタビューで、すでにハード+ソフトで対応するとコメントされてます。このあたりの、「同じ会社なのに上層部・部門によって言っていることが違う」ということが相変わらず起こっている印象です。(クーポン発言も、SCEが否定していたようですしね。)

SCEI 久夛良木社長インタビュー(3) - 後藤弘茂のWeekly海外ニュース


しかしこうしたハードウェアで高い互換性を維持するとは言われても、やはり実際にPS1/PS2のソフトを多数持っており、PS3を購入後PS2本体を処分・撤去しようとしている人からすれば、もっと詳細な検証リストがほしいところでしょう。薄型PS2ですら、発売1ヶ月前に互換性リストを公表していたわけですし。

SCEJ、PS2の新色「サテン・シルバー」を11月23日発売。型番が「SCPH-75000」に。一部ソフトの動作に問題発生

発売日に公表された互換性リスト

結局発売日までリストの提示は無かったので、あとはユーザが独自に検証するしかないのか、と思っていたところで、発売日になってようやく互換性に対するアナウンスがされました。

PlayStation.com(Japan) | インフォメーションセンターからのお知らせ
SCEJ、PS3におけるPS/PS2タイトルの動作状況一部公開。「信長の野望Online」、「FINAL FANTASY XI」などは今後対応 - GAME Watch

この公表された検証リストですが、一覧の形式ではなく、検索していちいちユーザが確認する形になっています。
PlayStation.com(Japan)|PLAYSTATION®3 におけるPSおよびPS2ソフトウェア動作ステータス検索

まあソフトが非常に多いのと、問題も多いというのが理由なんでしょう。全体のリストを見たいのであれば、条件に何も入力しなければ見えるわけですし。ただ、できれば検索オプションに「問題があるものだけ表示」などが欲しかったところですね。また、問題の種類もBGMが止まるというレベルから、ゲームが止まるという致命的なものまでごっちゃになって書かれています。せめてアイコンの色を黄色、赤などに分けて問題の程度がぱっと見て分かるようにすべきなんじゃないかと思います。

有志の手による互換性問題一覧

リストの見にくさについては、同じように考えた人もいたようで、2chではいちいち全体のリストから互換性に問題のあるソフトを抜き出してまとめたテキストを作られた方がいます。以下にそのリストを紹介しておきます。
PS3上での動作で問題を生じるPSソフト一覧(2006/11/11現在)
PS3上での動作で問題を生じるPS2ソフト一覧(2006/11/11現在)

上記リストによれば、問題性のあるソフトは機種・年代別で以下のようになっている模様。

  • PS1(全4254本。うち正常に動作しないソフトは511本(12%)
    • 2006年( 17本。うち正常に動作しないソフトは2本)
    • 2005年(  9本。うち正常に動作しないソフトは4本)
    • 2004年( 26本。うち正常に動作しないソフトは4本)
    • 2003年(146本。うち正常に動作しないソフトは18本)
    • 2002年(383本。うち正常に動作しないソフトは30本)
    • 2001年(511本。うち正常に動作しないソフトは57本)
    • 2000年(716本。うち正常に動作しないソフトは61本)
    • 1999年(730本。うち正常に動作しないソフトは92本)
    • 1998年(628本。うち正常に動作しないソフトは87本)
    • 1997年(495本。うち正常に動作しないソフトは52本)
    • 1996年(439本。うち正常に動作しないソフトは64本)
    • 1995年(136本。うち正常に動作しないソフトは29本)
    • 1994年( 18本。うち正常に動作しないソフトは11本)
  • PS2(全3587本。うち正常に動作しないソフトは292本(8%)
    • 2006年(542本。うち正常に動作しないソフトは23本)
    • 2005年(772本。うち正常に動作しないソフトは59本)
    • 2004年(736本。うち正常に動作しないソフトは65本)
    • 2003年(650本。うち正常に動作しないソフトは56本)
    • 2002年(477本。うち正常に動作しないソフトは44本)
    • 2001年(276本。うち正常に動作しないソフトは33本)
    • 2000年(134本。うち正常に動作しないソフトは12本)

PS1がうまく動かないのは薄型PS2でも多く見受けられたので分からないでもないですが、PS2についても1割近く互換性に問題を抱えているというのはちょっと意外でしたね。薄型PS2で現在PS2で問題があるのは17本程度。薄型PS2では、PS1互換部分のチップを変更し、PS3への搭載を備えた予備検証的位置づけだと思っていたので、これほど差が出てくるとは思いませんでした。不具合の内容としてはBGMがならないというものも多いので、ディスク読み込み関連でPS3でBDドライブになったことの影響が出ているのかもしれませんね。

しかし、上記であげたTech-Onの記事では、今後以下のような分析がかかれていました。

もっとも,PS2向けゲーム・タイトルは2006年9月30日現在,全世界で延べ8181種類発売されている。そのすべてをエミュレータで動かせるようになるかは不明である。一部消費者の間でEEとGSを載せた初代のPS3が人気を呼ぶ可能性がある。

ここまで言われたら、消費者も薄型PS2程度の互換性は期待しますよね。今後ファームアップで改善する可能性はありますが、数が膨大なだけに、どれほどかかるやら。時間がたてば立つほど、PS3でわざわざPS1/PS2のソフトをプレイしようとする人も減ってくるでしょう。PS3のソフトが出そろっていないハード発売初期こそ、互換性が重要なんですけどね。
さらに、今後はここからさらにEE+GSをはずすという話をしているわけで、互換性がさらに低下する可能性があるんですよね。チップをつんでこの状態なのに、本当にはずすつもりなんですかね?コスト的にはきついとは思うのですけど、ハードでも互換性をあげられない状態で問答無用で互換性を落としてでもソフト化するのだとすると、なんでこんな中途半端な互換性をつけたのか、非常に疑問に思えますね。何か、PS3のハードデザインのコンセプトそのものからして首尾一貫していいない印象を受けます。

今後も逐次詳細な情報公開を期待

まあ、一応自分が持っているソフトは大きな不具合はなさそうですし、上記問題有りというものでも、完全互換でないだけでプレイには影響の少ないものも多いでしょう。そう言った意味では実質的にはあまり問題がないのかもしれません。
ただ、どちらにしろ発売日当日のアナウンスというのがいただけませんね。昨日から並んでいる人も多数いたわけですし。完全互換性がとれているのならともかく、問題をはらんでいる場合は早め早めの情報公開をすることが重要です。せめてもう2日早く情報が欲しかったですね。
今回の情報はあくまで11/11時点であり、ファームアップによる改善も見られることでしょう。しかし、今回のようなデータベース形式だと、改善が起きてもユーザ側になにが改善されたのかわかりにくいと思います。PS3購入時に手持ちのソフトの互換性を確認したユーザが、定期的に自分からDBつかって検索するとは思えませんからね。改善した暁には、その都度何がどのように改善されたのか、今度は有志の手を煩わせることなく、ちゃんと自らリストを作って情報公開して頂きたいものです。