PS3の互換性に対するSCE広報のコメント

先日の日記で触れたPS3の互換性問題。極度に深刻なものは無いとは言え、発売日になってからの好評ということで、互換性そのものよりもその不誠実な姿勢に、方々から非難の声が上がっていました。
これについて、SCE広報が出したコメントがCNETに掲載されています。

「PSおよびPS2のソフトは8000〜9000ある。問題があるのはその一部のソフト。音が聞こえない程度であれば、我慢すれば遊べるので問題ないと思う人もいるだろう。ハードの進化による非互換の問題は他社(のゲーム機メーカー)を含めて業界として知られていること。当初から互換率は100%ではないと考えていた。PS2の時はゲームプレイの進行に支障をきたすソフトの一覧を公表したが、PS3では(不具合の)症状に併せて遊んでもらうことができるようにするため、それら(各ソフトの不具合状況)を細かく書いていくスタンスを取っている」
「お客様に誤解を与えてしまうため、現時点で問題のあるソフト数やいつまでにその問題を解決するのかについてコメントすることはできない」
PS3、互換性に不具合のPS2ソフトが200タイトル - CNET Japan

…なんでこういう、開き直ったようなコメントになっちゃいますかねぇ。「音が聞こえない程度であれば、我慢すれば遊べるので問題ないと思う人もいるだろう。」という発言も、まあそう言う人もいるのかもしれませんが、そう思わない人から見れば「…ひょっとして馬鹿?」という風に写ってもおかしくない発言です。特に、いくつかの音ゲーで音声の不具合が出ているので、そうした人たちから見ればこうした問題は致命的な訳ですし。(もっとも、そう言った人はそもそもPS3に専用PS2コントローラがつながらない時点で問題外らしいですが。)


「当初から互換率は100%ではないと考えていた。」というコメントも、たしかにその通りなんでしょうけど、あなたの会社のトップ、久夛良木氏が以前、以下のようなコメントをしていたわけです。

久夛良木氏】 ハードウェアとソフトウェアのコンビネーションで取る。(ソフトウェアだけで)やろうと思えばどうにでもなるが、どれだけ完璧に近い互換性に追い込むかが大事。

ソフトを開発している人は意外な、想像できないことをやってしまう。例えば、プログラムとして論理的でないけど、たまたま動いたといった。動いているけど、でもそれは全く別の理由で動いてたというようなケースがある。我々のテストもくぐり抜けて、「何だこのコードは!」みたいコードが通ってしまう場合がある。

我々は、そうしたコードに対する互換性も取らなくてはいけない。しかし、論理じゃないから、(ソフトウェアだけで互換性を取るのは)ちょっと苦しい。ハードが必要になってくるのもある。でも、今回(PS3)くらいのパワーがあれば、あるところはハードであるところはソフトでといった対応ができる。
(中略)
久夛良木氏】 Xboxは、新世代が今年の11月に来ると、現行のXboxは旧世代になる。そうすると、Xboxは自分で自分を殺してしまうことになる。それを救う唯一の方法は100%の互換性を初日から取ること。でも(Microsoftは)それをコミットできないだろう、技術的にも苦しい。
後藤弘茂のWeekly海外ニュース

上記のように、公然と100%互換でないXbox360を公然と批判しており、だからこそPS3ではソフトだけでは難しいのでハードと組み合わせてできる限り完璧な互換を目指す、という高い理想を掲げていたわけです。そんな社長のコメントを、社員が「初めから100%はない」ってぶっちゃけて言ってどうするのかと。しかも、発売後になって。発売一週間ぐらい前に言っていればともかく、発売後に言ったのでは開き直ったようにしか見えません。


一覧を公表しない理由も、よく分かりません。一覧にして公表することぐらい、簡単にできるでしょう。不具合を細かく書くことは当然で、一覧とDBぐらい、両方掲載することもできなくは無いはず。一覧で出すことに、何か抵抗感でもあったんですかね?すでに一般人の手によって不具合リスト一覧が作られてしまっている現状の方が、よほど印象が悪いように思うのですが。
互換に問題があるPS/PS2ソフト一覧 - PlayStation3初期不良まとめwiki - livedoor Wiki(ウィキ)


もっとも、今回はさすがにネットの反応に敏感だったようで、すぐにCNETに対して弁解のコメントを送っている模様です。

PS3発売日の11月11日までにソフトの動作に対する修正をするため、我々は寝ずの作業を続けるなど、最大限の努力をしてきた。CNET Japanの記事中にあるコメントで、企業として消費者に冷たい印象を持たれかねない発言があったが、伝えたかった真意は『不具合という言葉だけで一概に言い表すことはできないので、ソフトごとの状況を詳細に公開し、利用者の方々に判断してもらいたい』ということだった。『スタンス』という表現は不適切だったと考えており、我々は利用者の立場を第一に考えている。実際、CNET Japanに指摘された点については、即座に修正した、(PlayStation公式サイトのトップページに告知をアップ)。今後もなるべく多くの人に楽しんでもらうため、ソフトの修正などに最大限の努力をしていく方針だ」

…うーん、フォローしているつもりなんでしょうけど、「寝ずの作業」、「利用者の立場を第一」という言葉が付いただけで、結局は言ってることがあんまり変わっていない、というのもなんだかな、という感じ。2chで『「私だって寝てないんだ!」とか言ってた雪印の社長かよ!』って指摘がありましたが、まさにそんな感じですね。逆に、トップページにこの告知のリンクをのせたという当たり前の対応をしただけで得意げなのはいったい何なのだろう?そんなの言われなくてもどの会社だって当然していることだろうに…。


まあ、最近はソニーバッシングがマスコミのはやりと化しており、このCNET自体過去にいい加減な記事を繰り返してきた前科があります。今回も、どの程度正確にSCEの言葉を書き起こしているかは不明です。少なくとも、実際のSCE広報のコメントは『ですます』調ではあったかと想像します。あえて冷たい印象に書き下しているんじゃないですかね?あと、この200タイトルってのがどこから出てきた数字なんだ、という指摘もありますが。先日の記事で紹介したものだと、800タイトル以上あるんですけど。
ただ、そうしたマスコミのソニーバッシングの中でこそ、より一層下手に出て消費者に誠意を示す必要があるのではないでしょうか?マスコミのバッシングは一度火がつくとやっかいですので、とにかく堅実に適切な対応を取っていくほか無いでしょう。