ムービーの中で多数のアクション〜「ディザスター デイオブクライシス」レビュー

WiiSportsやWiiFitといった、家族で楽しめる新機軸ゲームやパーティゲーム、それ以外ではマリオなどの任天堂キャラものが中心のWii。そんな中、任天堂製では貴重な部類のリアル系ゲーム「ディザスター デイオブクライシス」が発売されました。

ディザスター デイ オブ クライシス - Wii

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こうしたゲームゲームしたWiiのゲームを買うのは、バイオハザード4Wii以来ですね。

バイオハザード4 Wiiエディション Best Price!

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クラブニンテンドーの2008年度のポイント締め切り間近と言うこともあって購入した本ソフト。冒頭プレイして結構サクサク進めたので、土日にまとめてプレイしてクリアしました。CMにもあったように映画を強く意識したストーリー&ムービー中心のゲームでしたが、細かくアクションが挿入され、次から次へと事件が起こる展開でなかなか面白く、一気にプレイしてしまった形です。

以下、クリア後の感想として気になった点にも触れながら、色々レビューコメントをしてみたいと思います。(直接的なネタバレは避けて一応避けているつもりですが、念のため続きは以下の部分からご覧ください。)

ムービーの中に、Wii風操作&アクションが満載

まずゲーム内容について。これは、ファミ通レビューでもあったように非常に多数のムービーがあり、その合間合間でWiiリモコン&ヌンチャクを使ったアクションを行う感じですね。

特に、序盤のステージではチュートリアルが充実。新しいアクションには必ずチュートリアルが行われますので、説明書を読まなくても楽にプレイできます。その分、序盤のステージはぬるめですけどね。ストーリーは一本道で、一つのステージはいくつかのチェックポイントに分かれており、ゲームオーバーになってもそのチェックポイントやり直すことができる親切設計。ただし、その分初見では一発ゲームオーバーみたいなところも中にはあったりします。

アクションは大別すると、「フィールド移動・探索」「被災者のレスキュー」「ガンシューティング」「カーアクション」という感じ。以下、各々の操作性について、個人的感想を述べてみます。

オーソドックスなフィールド移動〜カメラアングルに若干難

フィールド移動・探索は、一番基本となるゲームシーンで、マップの中をヌンチャクを使って移動しながらアイテムを取得したり、被災者救済したり、イベントの間をつないでいきます。基本的には一本道で、ちょっと脇道にそれるとアイテムがある感じ。基本パラメータに体力とスタミナがあり、スタミナは食べ物を食べると回復するのですが、その食べ物がでっかいハンバーガーだったり、スイカだったりとシュール。ガツガツ食っているところは、ちょっとデッドライジングっぽい感じもしましたね。

個人的にフィールドシーンで気になったのはカメラアングルです。デフォルトではAUTOになっているのですが、これがあまり賢くなく、曲がったり方向転換してもあまり追従してくれません。ですので、AUTOだけで移動するのはかなりしんどい状態でした。一方、カメラはリモコンの十字キーで上下左右方向を変えられるので、自然こちらのキーを多用することになるのですが、カメラの旋回が結構遅いんですよね。方向転換するときなどは、一旦レバーを後ろに入れてCボタンでカメラ位置を正面にリセット、そこから十字キーで左右を見ながら移動という感じに。特に後半、嵐の中細い足場を移動するシーンでは苦労しましたね。

また、アイテムはドラム缶や木箱に入っており、これはバイオなどでよく見かけるパターンですね。で、バイオ4Wiiのナイフアクションと同じくリモコンを振ってアイテムを取るのですが、自動サーチは無し。カメラアングルがイマイチなのもあってか、対象物に近づいても向きがあっておらず、リモコンを振ってもアクションしないこともしばしば。バイオ4Wii同様、近くにキャラがいたら自動的に対象物に攻撃があたるようにせめてしてほしかったですね。また箱とかは結構固く、基本3回は叩かないといけません。この壊すまでの耐久度は、腕力をパワーアップすることで高速化でき、イベントによっては、障害物を早く壊す必要があるものもあるので、意味が無くは無いですが、若干うっとおしい感じもしました。

自動進行&ヘッドショット有りのガンシューティング

シューティングシーンは、よくあるガンシューティングという感じですね。自動的に移動し、敵が出てくると戦闘開始。Zボタンを押すことで隠れ、十字キーで武器切換。タイムクライシスなどのようにうまく隠れながら撃っていく感じです。ヘッドショットはちゃんとあるので、これは積極的に狙っていけます。さらにCボタンを押すと拡大モードになり、この状態だとヘッドショットで即死もうまく決まるので、なかなか爽快です。
コツとしては、相手の発射した弾数を数えておき、リロードするタイミングでヘッドショットを狙う形が比較的うまく行きましたね。回復アイテムも結構出るので、序盤は比較的楽にプレイできます。ただ、後半は結構相手の攻撃力も強くなり歯ごたえはありましたね。やはり、Wiiリモコンガンシューティングには向いているな、と感じました。

リモコン操作のカーアクション〜結構な難易度

カーアクションは、リモコン横持ちのおなじみプレイスタイル。ただ、ヌンチャクがこの状態だと邪魔なので、毎回つけはずしするのがちょっと面倒でした。

また、このカーアクションシーンはおまけ程度のものかと思っていたのですが、個人的には意外と難易度が高かったです。特に、ミスをして外壁などに当たってしまうと、簡単に横転してしまうのがちょっと難易度が上がっているところかと。自分はマリオカートなどをやりこんでいる訳ではないので、イマイチどの程度ハンドルを切ったのか、リモコン横持ちで把握できて無いんですよね。

個人的に最初に詰まったのは津波から逃げるシーンで、これはなんとカメラアングルが逆。自分の車を正面から見る形になるのですが、これだと道が分からない。道も途中でとぎれていて、ジャンプした後の着地で横転したりすることも度々。車の挙動は物理演算のHavokを使っているような気もするのですが、もうちょっと補正してくれてもいいんじゃないかな、と思いました。

映画を強く意識も、ストーリーは大味

ストーリーは、自然災害と特殊部隊の陰謀が同時に進行する形ですが、この特殊部隊の話の方がちょっとチープな感じ。最初プレイしたときは冒頭の唐突な展開に思わず苦笑しながらプレイしていましたね。最後の方も、「お前は(TOVの)ザギか?!」というような展開も見られ、ちょっとどうだろうというところがありましたね。素手の殴り合いを始めたときは、さすがにおいおいと思いながらプレイしていました。特殊部隊の過去に対する掘り下げも若干不十分ですし、主人公の巻き込まれ方もちょっと強引。ということで、肝心のメインストーリーがちょっと残念な感じでした。(まあ、こうしたストリー展開もある意味ハリウッド的なのかもしれませんが。)

一方、自然災害を舞台にした演出やアクションは結構緊迫感があり、なかなか面白かったです。地震、噴火、火砕流、洪水と、いろいろな災害に応じて状況が変化し、各々に対応した操作を行う必要があります。熱いシーンや水のシーンではスタミナの減りが激しくなったり、火山灰のある時には一定タイミングで肺の換気をする必要があったりと、なかなか多彩です。被災者の救助や、極限化での行動など、こっちのシナリオをメインに据えてくれた方が個人的には良かったかな、という感じがします。

キャラクター的には、主人公は比較的好感を持てる感じ。逆にヒロインのはずのリサは全然目立たないですね。そもそも主人公とほとんど面識がない、という設定がなかなか難しいところがあります。一方、途中の火山で一緒に行動する少女アイリスは、利発な感じでなかなかいいキャラになっていました。むしろ、徹頭徹尾このアイリスと一緒の災害救助アクションでよかったような気もします。もっとも、本筋のストーリー的にはこのアイリスとの脱出劇は無くても困らないんですけどね。(ちなみに、リサとアイリスの声優は一緒。リサの兄と主要な敵キャラ、エバンスも同じ声優みたいです。プレイ中は気が付きませんでしたが。)

Wiiの中では美麗なグラフィック

グラフィックはWiiの中では綺麗な方かと。肌の質感はなかなかすごいですね。ただ、腕の感じがいかにも「棒」で、この辺がちょっと不自然な感じ。色合いも、若干彩度が高くけばけばしい感じもしました。またリアル系なゲームだけに、真剣なやりとりをやっているシーンでボケボケのテクスチャが拡大されたりするを見ると、違和感は感じるところはありました。もっとも、これもXbox360中心にプレイしていた直後の印象で、最後の方をプレイする際はすっかり慣れちゃいましたけどね。

まとめ〜ボリューム感はまずまず、手軽に楽しめるリアル系アクションゲーム

クリアに要した時間は約11時間。序盤のサクサク感と、ストーリー的にあまりふくらまなそうなところ、あと武器の体系などを見てそれほどボリュームはないと感じたのですが、意外と時間がかかりました。後半の火山や特殊部隊の追跡は、若干「ボリューム感を出そう」という作り手の意図が感じられたところもあります。

以上、いろいろ苦言が多くなってしまいましたが、個人的にはそれなりに楽しむことができました。一本道なのは自由度がない感じがしますが、こうやって週末にがっとプレイして手軽にクリアできるのはありがたいです。(TOVはほとんど1ヶ月分の週末を使っちゃいましたからね。)

上記では触れてませんが、称号といってXbox360の実績システムに似たものもありますし、クリア後のコスチュームチェンジはバイオやサイレントヒルっぽい感じ。その他のゲーム性も、いろいろなゲームからいいとこどりしたような感じですが、うまくまとめている感じがします。ステージの区切りが比較的短く、ステージ内もチェックポイントが細かく切られているため、一つクリアしてまた次、とリズムよくプレイできて、その辺も熱中してプレイできたところだと思います。

傑作、神ゲーという感じではないですが、「現状のWiiでリアル系アクションゲームを作るとこうなる」というのは分かる作品だったと思います。Wiiリモコンとヌンチャクを駆使したアクションゲームがプレイしたい、という人にはお勧めです。