DS版「ファイナルファンタジーIV」で致命的なバグが発生〜スクエニが発表
すでに2000万台突破しながらも好調が続くニンテンドーDS。ただ、ソフトとしては以前は任天堂のものばかりだったものが、最近はサードのソフトも豊富に出されて盛り上がっていますよね。
そんな中、大手サードで一番DSに注力して看板タイトルを投入しているのがスクエアエニックス。SFCからPSにFFとDQが移籍したことがハード戦争終結につながり、PS3の発売前からFF13の提供を発表するなど、PSを代表するメーカーのように思われがちですが、実はいまだはPS3でのソフト発売はなかったりします。社長の和田氏が徹底したビジネスライクな発想のため、「どこにソフトを出せば儲かるか」という思想に基づき、この年末もDSにドラクエIV&FF4を投入して成功を収めていました。
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2007/12/20
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そんなスクエニから発売されたFF4DSですが、実は非常に大きなバグを抱えていた模様です。
ゲーム進行不可な致命的不具合が2件
今回公表されたバグは、以下のようなものです。
いずれも、通常プレイでも生じうるバグであり、しかも一旦セーブしてしまうと取り返しがつかず、ゲーム進行が不可になるという非常に深刻なバグですね。
この手のRPGでの進行不能バグはこれまでにもいくつかあったように思いますが、自分が記憶しているものだとPSP版のポポロクロイス物語でしょうか。
このときも、普通のプレイで生じる作業についてのデバグが完全ではなく、前の方で取った行動により後の方でゲーム進行不可になるという、実に深刻なものでしたね。
2年前のGBA版FF4でも致命的不具合〜進歩の無さを露呈
特にスクエニの場合、今回FF4DSで致命的バグを含んだまま出荷してしまったことの責任は大きいと思います。というのも、ちょうど2年前、同じくFF4というタイトルをGBAに移植して発売、そのときにもセーブデータ破損につながる致命的バグを含んだまま出荷してしまっていたのです。
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2005/12/15
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そのときのプレスリリースが以下のものです。
【現象の内容】
以下の4つの条件がすべて揃った場合に操作ができなくなり、さらに確率は低いものの、セーブデータが破損する現象が確認されております。
(1) パーティーメンバーが4名以下(1〜4名)であること。
(2) 「メニュー画面」で「アイテム」使用すること。
(3) メンバーを「ならびかえ」で空白へ移動すること。
(4) 移動後、「アイテム」を選択すること。
FINAL FANTASY IV ADVANCE
上記のものは、セーブデータ破損というRPGでは最悪のバグであり、スクエニとしては二度と繰り返してはいけないレベルのものでした。それにも関わらず、3D化して全くの作り直しになっているとはいえ、わずか2年後に、全く同じFF4というタイトルで、再び致命的不具合を出してしまったというのは、本当に恥ずかしい事だと思います。
さらに恥ずかしいのが、今回FF4DSの不具合に対して出したスクエニプレスリリースのページ。
(cache) FINAL FANTASY IV ADVANCE
プレスリリース中のTITLEタグの名前が、なんと「FINAL FANTASY IV ADVANCE」となっています。明らかに、2年前に出したGBA版FF4プレスリリースのページを流用し、しかも書き換えをミスっている形です。同じFF4で致命的不具合を出してしまっているだけでも恥ずかしいのに、最新の不具合に対して2年前の見出しで謝罪している訳ですからね。どこまでグダグダなんだか、という感じです。
求められる『適切な対応』
今回の件は、セーブデータが使えなくという致命的なもので、プレスリリースでは単に回避方法を示しただけとなっています。すでに不具合が生じてしまっている場合には、直接不具合が起きたセーブデータをスクエニに送って修正してもらう、という形になるんでしょうか?プレスリリースの書き方をみると連絡があった人に対する個別対応になりそうですが。
本来であれば、市場に出回っていてまだ販売されていないものは一旦回収、バグ修正版と交換すべきでしょう。また、すでに購入した人に対しても、交換を希望する人には交換に応じる、という対応が必要じゃないかと思いますね。
今勢いのある任天堂も、一時期「家計簿ダイアリー」、「フォーエバーブルー」と連続で低次元な不具合を起こし、回収騒ぎを起こしました。ただ、任天堂の場合は普通に回収対応しているんですよね。
この手の回収対応は、非常に大きな費用を要します。「任天堂は儲かっているからできるんだ」という指摘もあるでしょう。ただ、弱小サードがおこした不具合ならともかく、スクエニほど大きな会社で、DSでいろいろ儲かっている訳です。それなのに、お金の問題で回収対応ができないというのではちょっと情けないですよね。
また、そもそもこうした不具合を出さないよう、徹底したデバグが求められるところ。スクエニの和田氏は以前、パッチを当てられるハードならデバグ量を減らせるなどという発言をしてネットで大いに叩かれましたが、DSの場合そう簡単にはパッチは当てられません(ポケモンは最初からパッチを当てられる仕組みを仕込んでいるようですが)。そうしたハードに会社として注力しているわけですから、最初からデバグ作業を徹底して行っておかなければならないのが道理です。年末の発売に間に合わせるという至上命題があったのだとは思いますが、結局それで後で回収などをしたり、バグにあって消費者がネガティブな感情を持ってしまっては意味がないですからね。
サードの模範となる対応に期待
CESAの会長として、サードソフトメーカー側の代表者的な立場でもある和田氏。ここで対応を誤ると、ただでさえ厳しい消費者のサードへの視点が、より厳しいものになってしまうかもしれません。消費者の期待する不具合対応のレベルが任天堂レベルであったとしても、サードメーカーの経営陣に対してはCESA会長の和田氏の判断が非常に大きく影響を与えてくるでしょうからね。
「所詮サードの対応はこんなものか」と言われる対応ではなく「流石スクエニの対応はすばらしい」と言われるような、模範的な対応を示して頂きたいところですね。ゲーム業界の地位向上につながるような対応を期待しています。
P.S. (1/17)
コメント欄で指摘頂いたとおり、GBA版FF4は1年前でなく2年前でした。該当箇所を修正しておきました。