好調DSソフトの2本で致命的不具合〜回収へ

ゲーム業界で一人勝ちを続けるDS。一時期は任天堂の定番ソフトや知育ソフトばかりが売れていましたが、最近は幅広くサードタイトルも含めてスマッシュヒットが継続的に出ている感じです。最近では、実用ソフトとしてPS3の期待作「ぼくのなつやすみ3」を上回ってしまったことで誰もが驚いた「がんばる私の家計ダイアリー」、バンナムの定番ソフトが特別タッチペン「バチペン」付きで注目された「太鼓の達人DS タッチでドコドン」などがどちらも好調な売れ行きを見せていました。

がんばる私の家計ダイアリー

がんばる私の家計ダイアリー

ところが、その二本のソフトで同時期に回収につながる致命的な不具合が見つかったようです。

「がんばる私の家計ダイアリー」の不具合について
「太鼓の達人DS タッチでドコドン!」不具合に関するお知らせ - バンダイナムコゲームスチャンネル

両方とも回収につながる致命的な不具合ということで、すでに購入した人にはダイレクトに影響が出てしまいそうですね。特に太鼓の達人DSは交換対応が9月中旬ということで、かなり機会損失になってしまいそうです。

以下、各々のケースについて、対応と影響を考察してみたいと思います。

約1ヶ月分の家計簿データが失われてしまう「家計ダイアリー」

家計ダイアリーは7/12発売でアナウンスまで約3週間、任天堂にしてはちょっと問題発覚までが遅かった気がしますね。ウェブで交換窓口を設け、先に交換品を送ってから返送してもらうという、任天堂のいつもの対応方法のようです。

特に気になるのはセーブデータについてでしょうか。家計ダイアリーの方は明確に「データ移行ができない」と書いてあります。それどころか、「データを消してから送ってください」とも書いてありますね。これは、家計というプライバシーにダイレクトに直結するデータの入ったものに対して交換対応することについての配慮でしょう。このあたりの細かい配慮は任天堂らしいな、というかんじです。

とはいえ、発売日に購入してこまめに家計簿をつけていた人にとっては、約3週間積み重ねた家計簿データが消えてしまうということは、かなり萎えるんじゃないでしょうかね?PCの家計簿ソフトだったらバックアップデータも手軽にとれますし、プリントアウトとかすることもできるでしょう。DSソフトだと、そうしたことが手軽にできません。こうした、データを手軽にバックアップできないことを考えると、正直今回の不具合はまさしくソフトの存在意義さえ揺るがしかねない、致命的なものだったように思いますね。現状では、バックアップには自力で紙などに書き出すしかないところでしょうか。レシートなどから再度入力する、という手もあるかもしれませんけど。

また、不具合の内容もちょっとおそまつな感じです。家計簿ソフトで「110.6×19」レベルで計算結果がおかしくなってしまうって、いくら何でもまずいのでは。普通に電卓で計算すると答えは「2101.4」ですが、実際のソフトでは一体どういった数字が出てくるんでしょうね?もう一個の不具合、小数演算の数値精度の9桁の割り算はあまり機会はない気がしますが、どちらにしろ、「計算結果があっているかどうか」のチェック項目がデバグ時に無かったんでしょうかね?ちょっと任天堂らしくないな、と感じました。

回収までに時間のかかる「太鼓の達人DS」〜セーブデータの移行は?

一方、太鼓の達人DSの方ですが、7/26発売と言うことなのでアナウンスまではわずか1週間。すでに出荷は止められていたということで、対応は結構早くて好感が持てる感じですね。

ただ、こちらも気になるのはセーブデータ。家計ダイアリーの場合ははっきり「移行できない」と記述されていますが、太鼓の達人DSの場合はセーブデータを移行できるかどうか、明記されていません。まあ、普通に考えれば交換対応なのでデータが消えるのは容易に想像できるのですが、もしそうだとすると、「交換までの間の回避方法」の意味が微妙になってきます。データが消えると分かっているのだとして、果たして交換するまでモチベーション続きますかね?太鼓の達人DSがどの程度セーブデータに価値のあるゲームか分からないのですが、なんだかんだ言って隠し要素とかあるようなので、せっかく努力した結果が消えてしまうのが分かっていてやりこむのは、自分だったらかなり萎えそうです。

また、万が一データが移行できないことに気が付かず、バグを起こさないように1ヶ月半プレイして、交換対応して初めてセーブデータが消えることに気づいたとしたら、それこそ大変です。念のため、「バックアップデータの移行はできません」と明記しておいた方がいいように思いますね。

DSソフトにおけるデバグの重要性

以上、各々のケースについて考察してみましたが、いずれも回収につながる不具合で、メーカー側の回収費用・機会損失だけでなく、購入した消費者にも迷惑がかかる展開となっています(迷惑と思う度合いは、実際の購入者の方の感想しだいですが)。パッケージソフトの場合、ダウンロードソフトと違ってパッチなどを後からあてられない分、こうした少しの不具合でも非常に大きな問題になってしまいますね。

特にDSソフトではセーブデータもカードに内蔵されてしまい、不具合があるとセーブデータがクリアされてしまうケースがほとんどです。PSPなどのようにセーブデータが別に保存に出来ない分、より一層不具合の時の消費者への影響が大きくなってしまうんですよね。たかがセーブデータ、とはいいますがそこにはプレイした人が費やした人の記録、思い出が詰め込まれているわけで、それはお金では表せないものもあるでしょう。DSソフトを出すメーカーの方々には厳重なデバグ、品質チェックをしていただけるよう、お願いしたいところですね。