任天堂、連日の不具合発覚 〜 Wii新作「フォーエバーブルー」でフリーズバグ

Wii発売前から注目してた「フォーエバーブルー」がいよいよ本日発売となりました。

フォーエバーブルー - Wii

フォーエバーブルー - Wii

自分も以前エントリで紹介したことがありますし、Ristrettoさんのところでも充実のレビューがされてますね。

わぱのつれづれ日記 - 仮想ダイビング体験が可能な『フォーエバーブルー』〜 任天堂から8/2発売
Rambling Man Wiiフォーエバーブルー マナウライに旅立つ者たちへ

自分も早速購入し、まったりと楽しんでいるわけですが、発売日である今日の午前中のうちに、ネットでは「フォーエバーブルーにフリーズバグあり!」という話題で騒然となりました。

発売日に発見された致命的不具合

きっかけは、以下の動画からです。


ニコニコ動画(RC)‐FOREVER BLUE - シノノメサカタザメでフリーズする現象

フリーズする原因としては、「アクアリウム」で自由に魚などを配置する際、「シノノメサカタザメ」を配置してしまうと確実にフリーズしてしまうというものでした。実際の海洋探索、ダイビングでは生じないバグですが、アクアリウムで間違ってシノノメサカタザメを配置してしまうと問答無用でフリーズなため、セーブをずっとしていないと悲惨な目になりますね。アクアリウムはおまけ的な意味合いですが、自分も1時間ほどのプレイで行けるようになる場所で、自由な楽しみ方を売りとするこのゲームではアクアリウムでの不具合もかなり致命的なものと言えるでしょう。

任天堂の公式アナウンス

この不具合に対して、ここのところ各社の様々なゲームで不具合出ていただけに、任天堂でも起こったのかと一部で騒がれていました。また、実際任天堂に直接電話で症状の報告と対応依頼をした方もいらっしゃるようです。そうした騒動をうけてか、本日深夜になって、任天堂から公式なアナウンスが出されました。

  1. アクアリウム」において生きものを配置する際に、「シノノメサカタザメ」を選んで、「決定」を選び、「水槽内の生物を変更してよろしいですか?」で「はい」を選ぶと画面が黒くなったまま止まり、次の画面に進まなくなります。
  2. アクアリウム」において生きものを配置する際に、「シノノメサカタザメ」を選んだ状態で、Bボタンを押して配置画面を消し、ツールメニューから「船にもどる」を選択し船にもどると、(その後の経過時間にかかわらず)次に「アクアリウム」に移動する際に、海に潜る画面のまま止まり、先に進まなくなります。

「FOREVER BLUE」の不具合についてのおしらせ

ここでアナウンスされた不具合は二つ。どちらもシノノメサカタザメに関するものですね。不具合1は上記動画のものなわけですが、不具合2はさらに深刻ですね。要するに、シノノメサカタザメを選ぶだけで配置せずに船に戻ってしまうと、その後二度とアクアリウムに移動できなくなるわけです。もし気が付かずそのままセーブデータを保存してしまっていると、後日アクアリウムに行こうと思ったら毎回フリーズしてしまうわけです。これはちょっとやばい不具合ですね。

交換?パッチ?〜具体的な対応はまだ不明

上記深刻なフリーズバグに対して、任天堂の対応はまだ流動的なものとなっています。現状のアナウンス文は以下の通り。

現在、任天堂ではお客様がプレイされているセーブデータを継続しつつ、「アクアリウム」において、「シノノメサカタザメ」を配置しても不具合が起こらない方法に関して、調査・検討いたしております。
後日、対処方法について改めてお知らせする予定ですが、それまでの間、「アクアリウム」において「シノノメサカタザメ」を選択しないでプレイしていただきますよう、お願い申しあげます。

とりあえず、即回収・交換という判断にはなっていないようですね。上記の文章を読む限りでは、このまま放置ということはないようですが、何となく文面からパッチでの対応も視野に入れている感じはします。とはいえWiiの場合、PS3と違ってHDD内蔵ではないだけに、パッチといってもできることはある程度限られているでしょう。ただ、元々Wii自体もWiiConnect24において、「スタンバイ状態でもどうぶつの森でお互いの村に行き来できるようにする」、という提案があったように、おそらくネットを通じてセーブデータを書き換える機能は搭載されていると思われます。後は、今回のようなフリーズバグのようなものにも対応できるかどうかですね。DSの場合、ポケモンで動けなくなるバグをダウンロード配信で回避する、という技を使っていたこともあるので、もしかするとWiiにもこっそりそうしたパッチ用の仕組みが仕込まれている可能性もあります。ですので、個人的にはパッチ対応というのも非常に興味があるところです。

とはいえ、Wiiを誰もがネットにつないでいるというわけではありません。日経マーケット・アクセスの調査ではWiiユーザの過半数がネットにつないでいるという結果が出たようですが、逆に言えば半分はネットにつないでいないわけです。

Wii所有者の過半数がネットに接続・非ゲーム系利用高く ビジネス-最新ニュース:IT-PLUS

この状態で、ネットだけでのパッチ対応では問題は解決されません。オンラインプレイで生じる不具合ならともかく、オフラインプレイでも普通に生じる不具合ですからね。ネット繋いでいないユーザにも等しく不具合解決が必要になるわけです。

普通に考えれば、「家計ダイアリー」のように対応品発送→不具合品返品ということになるでしょう。ただ、オフラインでもパッチにこだわるのなら、パッチデータの入ったSDカードを発送、という手もあるかもしれません。携帯電話の不具合で、データバックアップ用にSDカードを配布する、なんて対応をとっているところもあるぐらいですしね。

重要なお知らせ : 「SO903iTV」の一時販売停止のお知らせ | お知らせ | NTTドコモ

いずれにしても、最終的にはオンライン、オフラインともに満足できる対応が望まれるところです。

問われる任天堂の品質管理

しかし、いずれにしろ、昨日のエントリーでばかりなのに「家計ダイアリー」の不具合を紹介した、連日の致命的不具合の発覚。これには正直、「おいおい、一体どうしちゃったの任天堂?!」という感じですよね。品質管理についてはゲーム業界随一と言われている割に、家計簿ソフトのくせに計算結果が違う、新作ソフトなのに発売日にフリーズバグ発覚と、どちらもお粗末な状態と言えるでしょう。せっかく楽しみにしていたフォーエバーブルーについても、なんだかケチがつけられてしまった印象です。他にも色々ひどい会社はありますが、任天堂までそうなっていいという訳がありません。

今回不具合が起きたソフトは、開発自体は「家計ダイアリー」については『syn Sophia』、「フォーエバーブルー」は『アリカ』と、共に任天堂からの外注の形になっています。実際、これら不具合を入れ込んでしまったのは、これら外注先のプログラマーではあるでしょう。ただ、外注先がどうあれ、任天堂の看板で発売する以上、品質管理はその販売元が保障するのが当然のことです。もし不具合が生じたとしても、顧客に対して責任を取るのは、当然任天堂な訳ですよね。(もちろん、任天堂から外注先へのクレームは出るでしょうが。)

以前、後藤弘茂氏がWiiの死角として「任天堂のリソース不足」ということを上げていました。限られた任天堂社員の中で、多数のソフトを展開するには、外注との仕事は無視することはできません。実際、今年に入ってからの任天堂製DSのヒットソフトも、任天堂独自開発はゼルダぐらいですしね。応援団2とかは外注ですし。外注を使いながらもゲームの質を維持して製品を消費者に提供する、それが任天堂の強さだったわけです。携帯ゲーム機、据置ゲーム機と圧倒的な好調を継続している任天堂ですが、それを支える要素の一つは、過去の積み重ねから生まれている「安心感・信頼感」だと思うんですよね。同じ実用ソフトなどでも、「任天堂なら外れはないだろう」という安心感で皆が購入するきっかけとなっているのではないでしょうか。だからこそ、先日の任天堂株主総会でも以下のようなコメントをしていたんですよね。

任天堂としても、欠陥商品を出さないよう、常に心掛けている。「笑顔にする」事は、欠陥商品を出してしまうと失われてしまう。信用を積み上げるには時間がかかるが、欠陥商品を出してしまうと、それを一気に打ち消してしまう。欠陥商品を出さない事は、会社がもっとも重要視しなくてはいけない事だと考えている。一つのミスを誰もが発見しないまま、商品として出さないように気をつける。もし、そのような商品を出した場合は、すみやかに対応する。心に深くとめて、起こらないように努力したい。』

07'任天堂株主総会レポート

それなのに、ここに来て連続の致命的不具合。一体上記の社長の言葉はどこに行ってしまったのでしょうか?いくら信頼感のある任天堂でも、一般消費者など簡単に「実はたいしたことないんだ」ところっと認識を変えてしまうものです。上記で自ら言っているように、信用を失うのは一瞬なんですよね。それを連続で出してしまったというのは、かなり痛恨の出来事のように思います。一体、どういったデバグ項目を指示していたのか、検収時にどんなチェックをしていたのか。任天堂の品質意識、品質管理そのものが問われてくるところです。特に、フォーエバーブルーは発売一ヶ月前になって急に発売日が決まるなど、スケジュール管理や納期設定に無理はなかったのか、なども気になるところです。

ライト層にそっぽ向かれない慎重な対応を

とにかく起きてしまったことは仕方がないので、後はとにかく迅速で過剰だと思われるぐらいの対応をすることでしょうね。自分はとりあえずゲーム情報に詳しい方なので、ちゃんと不具合にはまらないようプレイするつもりですが、Wiiを購入するような層が全員が全員任天堂のネットのアナウンスを自分から見に来るとは到底思えません。(そもそも、現時点で任天堂トップページからリンクが張られていないのも疑問が残るところです。Wiiページにはありますが。)徹底したゲームショップでの告知、DSステーションでの告知、もしくはCMでの告知も必要なぐらいではないでしょうか。また、今後年末にかけて出る対策「マリオギャラクシー」や「スマブラX」などでは致命的不具合が絶対起きないようなチェック・デバグが必要でしょうね。

ライト層をメイン顧客として扱っているのですから、とにかく浮気されないような丁寧な対応が重要だと思います。好調な任天堂に生じた「品質」という点でのほころび、任天堂のリスク対応の手腕に注目したいと思います。