気軽に多数派チェック〜「みんなで投票チャンネル」レビュー

売れ行き好調なWiiですが、ロンチの猛烈なソフトラッシュ以降、新作ソフトはいまいちこれと言ったものがない状態が続いています。Wiiチャンネルも当初予定していた3チャンネル(インターネットチャンネルニュースチャンネルお天気チャンネル)の配信を終えており、ちょっとサービス的には停滞感も感じていたところ。

そんな中、ゲリラ的にWiiチャンネルの新作が配信されました。その名も「みんなで投票チャンネル」です。


みんなで投票チャンネル - Wii

これまでも開始予告日の前に配信したりしたことはありましたが、サービス内容まで全く公表されないままいきなり配信というのはなかなか衝撃的です。はてなも急にサービスが開始されることがありますが、それに似た感じです。ファミ通などの雑誌泣かせというか、ネット時代に即した展開というか。こうしたインパクトの与え方は非常に面白いと思います。

以下、いつものように画像付きでレビューしてみたいと思います。

ダウンロード&本体更新

配信開始の案内は、いつものようにWiiConnect24によるメールにて。画像付きで、文章量もなかなかです。

投票チャンネルの利用には、「Wii本体の更新」と「投票チャンネルのダウンロード」の二つの手続きが必要となります。自分はダウンロード→本体更新の手順で行いました。

ダウンロードは、Wiiショッピングチャンネルから行います。ちょうどトップページに案内が掲載されていますね。

ダウンロードも、トップページの一番左のアイコンから直接行くことができます。人数は6人までとなっていますね。ダウンロードするチャンネルのブロックサイズは最大181と、結構なサイズです。ただ、ダウンロード直後は自分の場合は50ブロックでしたので、最大値は今後このチャンネルで使える記録データサイズをあらかじめ設定してあると言うことなんでしょうね。Wii本体の記憶容量は512Mと限られているので、任天堂側でリミットを仕掛けているのでしょう。

この後、Wii本体の更新をすることで投票チャンネルの準備完了となります。

投票チャンネル初期設定

続いては、投票チャンネルの初期設定となります。

起動して最初に行うのは地域の設定。Wii本体を更新せずに投票チャンネルを起動すると右画像のようにエラーが出てしまいます。

更新をしておくと、地域設定画面に映ります。これは、どうやらWii本体側に共通の設定を用意したのか、画面が急にWii本体設定画面と同じデザインになります。もしかすると、今後の追加されるチャンネルでは、この設定が引き継がれるのかもしれませんね。ただし、Wii本体設定のところに地域設定の項目は追加されていませんでした。

地域設定後は再び投票チャンネルの設定に戻り、まず国情報の確認がされます。これは、後ほど触れますが世界アンケートの際に反映される情報となります。Wii本体の情報で自動的に国情報は決まるんでしょうかね?
国情報の後、先ほど入力した地域設定の確認が表示された後、Miiの登録に移ります。Miiの登録ではすでに作成済みのMiiが一覧で表示されますので、使いたいMiiを選択するだけですね。アンケート結果は、この選んだMiiと関連づけて記録される模様です。

以上で初期登録は完了となります。

投票の流れ

初期設定が終わると、メインの画面へ。ここでは、3件のアンケートがまず表示されています。各々の項目にカーソルを合わせると、選択肢である2択が表示されます。各項目右上には制限時間が。一番最初の設問は非常に残り時間が短いですね。このあたりを見ると、かなり頻繁にアンケート項目を更新してくることが予想されます。現にすでにこの「うどんとそば」のアンケートは終了し、次のアンケートが掲載されてますので。内容が非常に単純な分、毎日の更新でも人的コストはあまりかからないのでしょう。

ここからのアンケート投票の操作は非常にシンプルなものとなっています。

画面上に2択に合わせた2色の領域が表示されますので、MiiをA+Bでつかんで投票したいエリアに持っていき、話します。こうすると投票ボタンが出るので、これを押して確認ダイアログでも「はい」と応えると投票結果が送信されます。送信完了後、Miiの服の色がそれまでの水色から選択した方の色に変化するようになっています。

このあと、さらに続いて「どっちの投票が多いか」という予想も行うことができます。これも投票の仕方は先ほどと同様、Miiをつかんでおくだけです。送信完了後、今度は服ではなく、選択肢と同じ色の丸い札をMiiが掲げる形になります。自分が最初に選んだ内容と違う選択肢を選ぶことも当然可能で、その場合は服と札の色が異なるので一目で分かる、という寸法になっている訳です。

アンケート項目は「受付中のアンケート」というものの他に、「ワールドアンケート」というものもあります。最初の設問は「犬と猫、どっちが好き?」というものですね。世界同時立ち上げしていることで、世界の状況が分かるのは面白いですね。日本人はアメリカ以外あまり詳しく知らないことも多いので、世界の人々の傾向を知るいいネタになるかもしれません。

なお、二人目以降のMiiが投票するときには、すでに投票したMiiがどっちに投票したのかは表示されるようになっています。家族で投票するときは、前に投票した人の結果を見ながら投票するわけですね。これは好みがちょっと分かれそうな気はします。設定で「投票済みMiiの投票結果は見ない」とかあってもいい気はします。家族の投票結果に「えー、それはないよぉ」とか思いながら投票するのも楽しいとは思いますけど。

投票結果

投票した結果は、投票締め切り後しばらくすると更新されます。最初の設問の場合、AM2時に締め切られ、AM4時に結果が出ていた模様です。深夜でも更新されるみたいですね。

結果発表では、まず自分のWiiで投票したMii達の投票内容が服と札の色で表示されます。その後、開票結果がMiiの集まったグラフで表示され、最終的にどっちが多く選択されたかが表示されます。

投票結果のうち、右下アイコンの左側をクリックすると詳細な集計結果を見ることができます。また、右下アイコンの右側で地域ごとの集計結果が色分けされて見ることができます。今回の結果では「女性はうどん派が多いのか」とか、「香川県うどん率高っ!」とか分析できてなかなか面白いですね。西日本と東日本で綺麗に分かれているのも興味深いです。

投票結果は、プレイヤーデータへと反映されます。プレイヤーデータは3ページあり、最初のページでは「投票データ」として投票回数、予想結果の勝敗が表示されます。2ページ目では「世の中分かってる度」としてグラフが表示。この例だと考え方の数値だけ減っているので、アンケート内容によって数値の増減する箇所が決まっており、多数派に投票すれば上昇、少数派ならば減少するようになっているんでしょうね。また3ページ目では「世の中とのギャップ」が表示されます。これも、多数派に投票すれば数値が減り、少数派ならば数字が増える、と言うことなんでしょう。もしかしたら多数派と少数派の比率が大きく違うほど、数値の増減幅が大きくなるのかもしれませんね。

アンケートの投稿

投票チャンネルでは、ユーザが自らアンケートを投稿することもできます。

これも作り方は非常にシンプル。アンケート内容部分を記述したあと、選択肢1,2を記述するだけです。投稿する際には、この投稿内容を参考にアンケートに使ったり、このチャンネル以外でも使うことがあるとアナウンスされています。投票の際には特にMiiを指定していないので、設問と投稿者を結びつけることはできなそうですね。投稿した人が、「これ、自分が投稿したのかも?!」程度でOKということでしょうか。Mii作成時に公開の有無設定とかしている訳なので、それに連動し、公開OKのMiiの場合は関連づけて投稿できても面白い気がしますね。

ちなみに、投稿は1日1通となっているようです。あんまり多く投稿されすぎても、その選考が追いつかない、ということでしょうか。ただでネタが増えていく、というのは任天堂にとってもおいしいシステムですね。

チャンネル選択画面での設問確認

今回の投票チャンネルは、Wiiのチャンネル選択画面でもちょっとした仕掛けが用意されています。

上記の画像のように、なんと新着設問がバナーの形でチャンネルアイコン上で確認できるのです。Wiiの各チャンネルは現状では起動まで結構時間がかかりたるい事が多いので、こうしてアイコン上で確認できるのはうれしいですね。できれば、お天気チャンネルニュースチャンネルにも反映して欲しいシステムです。

低コストで細かな更新可能〜「毎日起動」の足がかりになるか

以上、いろいろと見てきましたが、とにかくシンプルな作りですね。操作もシンプルで、分かりやすいです。それでいて、結果は日本全国の結果が反映されますので、自分の考えとの比較や地域差などを確認できて面白いです。今回のレビューではまだ結果が出ていないので触れませんでしたが、ワールドアンケートというのもあり、これも国による考え方の違いとかが分かって面白そうですね。正直、これほど同時期に全世界でアンケートを、即時性を持って行える手段は無かったのではないでしょうか?言語とかも違いますしね。このワールドアンケートは結果が出るのが非常に楽しみですね。

やってみた雰囲気としては、DSの常識力トレーニングでのWi-Fiに似ている印象があります。あれも地域ごとの特徴などを用いて問題の出し方をアレンジしたりしますから。ネットというのは、何も対戦プレイばかりに使うものではないと言うことを、任天堂は着実にノウハウをためながら実践している感じです。

アンケートの設問も、文章量は少ないですし、ネタもユーザから提供してくれるので、維持コストはかなりおさえられそうです。PS3には「まいにちいっしょ」という優れた日々更新するコンテンツがありますが、この投票チャンネルも、より低いコストで、ユーザに毎日チェックする楽しみを与えられる仕組みのように思いますね。履歴が残ることで、ユーザのモチベーションにもつながりますし。こうした、ちょっとした小ネタのバリエーションが増えてくると、DSで脳トレどうぶつの森を毎日ちょこちょこ遊んでいる感覚で、Wiiを毎日起動ということも実現できてくるようになるかもしれません。


ただ、ちょっと気になるのは設問の作り方ですね。今回追加された設問、「世界平和か自分の幸せか」などは、かなりきわどい質問のように思います。倫理観が関わる質問は、答える方も微妙に気になるものなのである程度避けた方がいいとは思いますね。同様に、政治的な意志が働くもの、特定の企業の有利・不利になるようなものも、気軽に楽しむネタとしては重すぎる気がします。企業からお金をもらって、リサーチ目的で使うこともできるかもしれませんが、そうしたお金のにおいを感じるものはあまりユーザとしては気分がよいとは言えませんので、個人的には避けて欲しいと思います。
また「多数派」、「少数派」という分け方も、下手をすると少数派の人が気分を悪くする、友達から馬鹿にされるなんてこともあるかもしれません。ネタが軽いものばかりであれば笑い話ですむ話ですので、できる限りシンプルな、誰でも答えられ、家族で話題にできるような設問にして頂きたいところです。Wii自体がなまじ巨大なコミュニティになるだけに、そうした細かい点への配慮も今後重要になってくると思います。

今回、ゲリラ的な更新でWiiチャンネルの充実が図られた訳ですが、未だ発売されないDSワンセグチューナをはじめ、Wii関連でもチャンネル起動時間といいWiiConnect24の活用といい、まだまだ岩田社長が唱えたビジョンを実現し切れていないところがあります。Wiiはソフト不足がしばらく続くだけに、この間にしっかりとWiiの根幹部分のブラッシュアップをしていただきたいところです。