Wiiにも対応〜YouTubeを活用したはてな「Rimo」誕生

自分が利用させて頂いているこのはてな。毎度斬新なアイデアを即座に実運用に移すその俊敏さが魅力的な訳ですが、このたびYouTubeを活用した新たなサービスが開始されました。

その名も「Rimo」。はてなの名前が付いてないのが珍しいですね。このサービスは、以前に「はてなWiiYouTube」という報道が出ていたもののようです。

ユーチューブ動画をテレビで再生・はてなが「Wii」で接続 インターネット-最新ニュース:IT-PLUS

上記報道ではサービス名は「はてなテレビ」となっていますが、これは別のサービス。相変わらず、日経が第一報を報じた場合の信頼性はいまいちですね。「ただしソースは日経」って感じですか。しょっちゅういろいろな企業が日経の飛ばし記事に対する否定会見していたりしますしね。
(追記:コメントで指摘がありましたが、下記ITmediaの記事によれば最初の名称は「はてなテレビ」だったようですね。キーワード「はてな - はてなテレビ@20070215071430」によれば、「はてなTV」がはてなとは関係ないサービスとして実在する、とあるので、このあたりも名称変更には影響しているかもしれませんね。)

まあ、それはさておき、このRimoというサービスについて、詳細なインタビュー記事がITmediaの方にも出ています。

ITmedia News:YouTubeをテレビで“ダラ見” はてな、Wii対応の動画サービス (1/2)

開発したのは、MonaOSを開発していた方のようですね。先日はてなの社長がアメリカに行っていましたが、このRimoは最初から英語対応して海外展開も考えられているようです。(ちなみに、文責はIT戦士の岡田有花。どこよりも早くこれだけの内容の記事を仕上げたのは、さすがですね。)

さて、このRimoWiiにも対応しているということで、早速WiiOperaで試してみました。

以下、Rimoを使ってみた感想や、他のYouTube活用との比較、今後の期待などをつらつらと述べてみたいと思います。

面白さ&使い勝手は微妙

使ってみた感想としては、正直いまいち。ITmediaの記事を見て相当期待して見たのですが、そこまで面白くないですし、シンプルすぎて不満に残るところも多いですね。以下、ちょっと苦言ばかりになってしまいますが、自分の感想を述べてみたいと思います。

まず、4つのチャンネルがそれぞれ「音楽」「コメディ」「アニメ」「ペット」となっているのですが、それぞれで選択される映像に偏りが激しいです。音楽だとよく知らないアイドル系ばかり、アニメもブリーチや北斗の拳などの3分割の話などが連続で表示されたりします。興味の無いコンテンツで、しかもやたら長かったりしますので、「ながら見」するにはきついですね。アニメなんかも、急に114話とか表示されてもストーリー分からずどうしようもないですから。

表示画面でも不備がいろいろあります。動画再生時間が表示されないので、つまらないチャンネルのときに、スキップしていいのかもうちょっとで終わるかなどの判断ができません。また、Wiiで利用していると、音量の増減もできない。あるPVが再生されたときはやたら音量が大きく、普通のYouTubeなら音量スライドバーで調整するのですが、それができません。PC版だとあるんで、そのうち追加されるとは思うのですが。それともあくまでテレビっぽさを追及したいからこうした情報は表示したくないのかもしれません。ただ、それによって使っている側が不便に感じるのでは本末転倒でしょう。TVだって、番組の残り時間ぐらいEPGなどで確認できるわけですし。

また、レスポンスも余りよくないですね。どうも、再生中にぶつぶつ切れるのをおそれたか、最初にかなり多くバッファリングしてから再生しているようにも見えます。このため、映像によっては始まるまでがやたら長い。他にも、つまらなそうだからと右下の矢印で次にとばしていっても、大体7個ぐらいで次が表示されなくなってしまいます(この辺はWiiOperaのせいな気もしますが)。これも、何のアナウンスもなく表示されなくなるので、印象はよくないですね(追記:ずっと放置しておいたら再生が開始されました。完全に止まっている訳ではないようです)。PCだと20個ぐらいまで選択できたのですが、それでもまだ、なかなか面白い映像は見つからない印象です。

「面白い」映像を見せるための壁

以上述べたように、現状の仕様では「ながら見」するには足りていない印象ですね。そもそも、YouTubeのコンテンツ自体、そこそこ長い映像も多いのですから、つまらない映像が選択されたときにはながら見もなにも無いように思います。よほどおもしろいコンテンツをはてな側で選別してリストアップしてくれるのなら話は違うのでしょうけど、人それぞれ好みもありますしね。

こうした問題の解決方法の1つは、ユーザの嗜好の学習機能でしょうか。いくつかユーザにキーワードを登録させてそこから嗜好を分析するとか、さらにちゃんと見たかスキップしたのかなどの情報も用いてさらに詳しい嗜好分析するなと。正直、そこまでできてやっと「ながら見」として十分なサービスになるように思います。テレビと違って、YouTubeでは映像の面白さが本当にピンからキリまであるので、もうちょっとうまくリストアップしないと、なかなか「面白い」と思えるコンテンツには出会えないように思いますので。

Wii向けYouTubeの先駆者「WiiTube」

こうした「興味のある動画を見つける」ということに対しては、やはりサムネイル表示形式の方が分かりやすいと思います。ばっとサムネイルを見て、面白そうな画像、タイトルをクリックすると言う形ですね。このあたりの操作をうまく実現しているのが、同じくWiiに特化したWiiTubeというユーザサイトだと思います。

screenshotWiiTube - YouTube for Wii -


このWiiTubeにおける「最近見られた動画」なんかは結構面白いですね。とにかくたくさんの動画がずらっと並べられ、一覧性に優れています。また、カーソルオーバーで動画タイトルが示されるため、その中でも関心のある動画を選択しやすくなっています。

また、面白いのが「ファミリーモード」。これを設定すると、いわゆるアダルト関連のキーワードをまとめて非表示にすることができます。そもそもYouTube自体がポルノ禁止で、こうしたアダルトキーワードが付いている物もいたずらだったりするものが多いので、単純にフィルタリング代わりにファミリーモードを設定するのでも十分利用価値が高い感じです。

ほかにも、「人気キーワード」では、よく検索されるキーワードが一覧で表示されます。このとき、はてなブックマークのタグ表示のように、多く使われているキーワードほどフォントサイズが大きくなるので、何が人気なのかも一目で判断できていいですね。(自分はこのキーワードから、最近はあずまんが大王を通して見ているところです。Wiiではゲームよりあきらかにチャンネルで遊んでいる時間の方が長いですねw。)

動画再生時も、画像アイコンをクリックするとWiiの画面に合わせて調整された動画が表示されます。再生・停止ボタン、タイムバー表示、音量調整なども、小さくて操作しにくいですが可能ではありますので、利便性は高いです。ただ、すべて同じURLの中で動作するため、「戻る」ボタンではうまく前に戻ることができません。この点だけはちょっとネックに感じるところですね。

YouTubeを用いたライブ型コンテンツ」実現へさらなる努力を期待

上記述べたように、ユーザが任意で取ってくるものとしては、すでに優れた先駆者が存在します。はてな自身、はてな上で注目の動画サービスとかやっていますからね。個人的には、WiiTubeと同じコンセプトではてブと絡めたサービスにするだけでも十分おもしろいとは思うのですが、はてなの求める「独創性」という思考がそうした安易な展開を避けてしまったのかもしれません。

ITmediaの記事のラストで、はてなの人が「『ベータ』とは言いたくない。普通の人には、分からない言葉だから」とかっこいいことは言ってますが、ぶっちゃけまだベータレベルのように感じますね。


とはいえ、色々現時点での視点で厳しいコメントをしてしまいましたが、本来ユーザが能動的に取ってくるプル型に過ぎないYouTubeを、テレビのようにライブにプッシュ型で見せる、という着眼点自体は優れていると思います。現時点でも趣味の合う人には面白いであろうとは思うので、ここからさらに改良をすすめて、うまく「みんながおもしろい」サービスに発展させていってほしいものです。


P.S.
画像などを追加、併せて一部構成を変更しました。