苦情・不具合対応に追われるゲーム各社〜ソニー・セガ・コナミの弁解ラッシュ

ネットが普及し、一般消費者の感想が簡単に世間に公表されるようになりました。喜びの声も分かりやすい一方で、不満意見もネットで爆発的に広まったりします。こうしたことを受けて、企業側も度々対応に追われることがあります。そんな中、昨日今日と連続して複数のゲーム関連会社が謝罪するという、珍しい事態が生じたので紹介してみたいと思います。

「ようこそ！PS Vitaゲーム天国」に関するメッセージ〜SCEJプレジデント河野氏

まずは、3/9に行われた「ゲーム天国」に関するものから。このイベント、ティザーを出すなどしていろいろ期待を煽っておきながら肩透かしだったことで、公式コミュでも多数のファンから猛烈な批判を食らっていました。

Vitaの新情報Web発表会…？〜「ようこそ！PS Vitaゲーム天国」公開 - わぱのつれづれ日記

実際、批判をした人たちはPSNのトロフィーを多数獲得していた人も多く、それだけに重みのある言葉となっていましたね。一時、過激な批判発言をしていた人を管理者が削除するなどしてますます炎上したりしていましたが、昨晩とうとうSCEJのトップである河野氏から直接コメントが出ました。

公式ブログ「SCEJプレジデント　河野弘からのメッセージ　３月１２日」 | プレコミュ | プレイステーション® オフィシャルサイト

ソニーらしく明確な「謝罪」な言葉自体はないのですが、広報イベントに対して謝罪相当のコメントをトップが出すというのはかなり異例なことだと思います。内容も、批判をしっかり受け止めるとあります。後は、いかに実践に移せるかですね。結局、見せかけの盛り上がりでなく、実際の魅力ある有力ソフトを求められていたわけです。ソニー独自の大型プロジェクトでも、サードの有力ソフトでも、そういったものを持ってきて「これがあるからVita買ってもOK」と思わせられるかどうか。

PSO2 Vita版のPCとの同期・サーバー共通などについて説明〜セガ酒井P

続いてもうひとつ、ゲーム天国関連。ゲーム天国の中の最大の目玉として発表されたのが、ファンタシースターオンライン2（PSO2）のVita版。

PSO2：PSVita版の開発スタート　家ではPC、外ではVitaが可能に - MANTANWEB（まんたんウェブ）

ただ、元々「家庭用ゲーム機などで満足できない人のために」とPC版での発表をしていたことと、PSUでPS2とPCでの展開でいろいろ問題があったことで、PC版をテスト中のユーザーからは「Vitaにクオリティが引っ張られるのでは？」「Vitaと同時接続なんてラグで困る」「アップデートが遅れる」などなど数々の不安・批判が集まっていました。

これに対して、プロデューサーの酒井氏から説明が出ています。

『PSO2』PS Vita版に心配の声をいただいている皆様へ｜ファンタシースターシリーズ公式ブログ

主に不安点と上げられていたクオリティの面については、Vitaでも十分のクオリティを出せるとのこと。PSUではアップデートが難しかったですが、Vitaはその辺も大丈夫だと。通信については、WiFiについてはそもそも現状のテストで問題なし、3Gは通信量の関係で制限かけるかも、とのこと。サーバー共通化は、現時点では共通化できるよう頑張る、ということみたいです。

元々家庭用から始まったタイトルなので、ぜひ家庭用で多くの人に、ということをVita対応の理由としていますが、3G回線での制限とか入れるとか聞くと、「PS3でいいんじゃね？」と思ってしまいます。ユーザーは非常に多くいますし、アップデートについてもHDD標準装備で心配なし。映像もHDですのでPCとは比較的近いです。Vitaでは、いくら綺麗とは行っても所詮はSD＋程度。720Pぐらいはローエンドでも平気で出してくるPCとは大きく異なります。ネットについても、WiFiというだけでは公共無線LANだとバックボーンがモバイルルーターだったりして貧弱なこともありますし、その辺をどうするのか。WiMAXとかでも、結構ネット対戦とか厳しいところもありましたし。開発状況がまだ10%、発売もPC版の後で2013年ということを聞くと、「なんでこの時期に発表？」という印象も。PS3の時で言う、FF13やMGS4といった「魅せタイトル」扱いだったんですかね。

今回説明をだしたことで一定の収まりは見られますが、PC版ユーザーの失望とVita版を待ち望む人との軋轢なんかも出てきてるようで、まだまだ事態終息という感じはしません。実際にVita版が出てもPC版の足を引っ張らないことをソフトで示すしか無いんでしょうが、この開発状況じゃそれはいつになるか。それまでにPC版からユーザーの足が遠のいてしまわなければいいんでしょうけど。

Newラブプラスのバグ関連で謝罪〜コナミ

そして最後はゲーム天国ではなく、3DS関連。ニンテンドーダイレクトでも紹介され、3DSにおける注目のサードタイトルとして発売されたNewラブプラスについてです。

NEWラブプラス (通常版) - 3DS

こちらのソフト、前評判は非常に高かったのですが、12月発売が一度バグのために延期されて2月に。そして、発売されてみるとバグ報告のオンパレードという、ファンの間で大きな騒動となっていました。その不具合をまとめたWikiの一覧を見ただけでも、その深刻さが伺えます。

NEWラブプラス wiki @2ch - バグ情報＆対処方法

まるで開発途中のソフトのバグトラッキングシステムか、というような充実っぷりですね。これに対して、3DSでは今のところソフト自体にパッチを充てられる方法があるのか分かっていないため、コナミも知らぬ存ぜぬを通すのかと危惧されていたのですが、Amazonや購入者しか評価出来ないeShopでの評価の急落、ソフト自体も2週目以降極端に売上を落としたことなどを受けてか、ついにコナミが対応に乗り出したようです。コナミから出たアナウンスは以下のもの。

「NEWラブプラス」に関するお詫びとお知らせ

「ゲーム進行が止まる」等の不具合が発生と書いていることからも、事態を深刻に受け止めていることが伺えます。1ヶ月も経ってからこうしてコメントを出してきたところを見ると、交換対応とかもありうるのかもしれませんね。10万本以上出ているソフトなので、そうなるとコナミに相当な損失となるでしょうが、やらないと不満解消にはならないでしょうし。これで単にセーブデータパッチとかだけだと、「ゲーム天国」じゃないですが、自ら上げたハードルのせいで猛烈なバッシングを受けることが容易に想像されるところです。

ちなみに、今日発表した理由として想定される大きなバグが、以下のもの。

【NEWラブプラス】ホワイトデーイベントが発生しません。
2月15日〜2月29日にバレンタインイベントが発生した場合、ホワイトデーイベントが発生しないことが確認されました。
KONAMI-FAQ よくあるお問合せ-

明日あるはずのホワイトデーイベントが起きない模様です。一応、その後のフォローイベントは起きるようですが、当日のイベントはやはり特別と思うファンもいるでしょうね。

これまで、各種不具合は以下のFAQで逐次対処療法が伝えられる程度でした。
KONAMI-FAQ よくあるお問合せ-
1ヶ月というタイミングで謝罪が出たわけですが、すでに評価は大きく低下した状態で、ちょっと遅かった感じはありますね。とは言え、ファンに取っては長期に渡って楽しむソフトでもありますし、もし交換対応などをするのであれば、上記のまとめWikiの不具合を全部解消するぐらいの気合で望んで、ブランド回復につとめていただきたいものですね。

まとめ〜企業を動かすファンの声

以上、3社のコメント、謝罪について触れてきました。いずれも、ファンの声に押されて出されたコメントなどです。やはり、消費者側としては泣き寝入りは良くないと思いますので、不満に思うところはちゃんと出す、それによってこうやって事態の改善が望めるようになるかもしれません。本当にメーカーのことを思うなら、アンケートやブログ、Twitter、なんでもいいのでメーカーに声を届ける努力は続けていくべきかと思います。（愛の無い、単なる罵倒は別ですが）