満足感の高い上質RPG〜「テイルズオブヴェスペリア」クリア後レビュー

未だネットでは品切れの続くXbox360

Xbox 360 (60GB:HDMI端子搭載) 【メーカー生産終了】

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思えば、この深刻な品切れ状態はXbox360で発売されたJRPGテイルズオブヴェスペリア」の発売がきっかけとなっていました。

テイルズ オブ ヴェスペリア - Xbox360

テイルズ オブ ヴェスペリア - Xbox360

そんなTOV、自分も発売日に購入しこれまでプレイし続けてきましたが、本日ようやくクリアしました。ほぼ週末のみのプレイで、クリア時間は約71時間。実績は705G。サブイベントなどもあらかたこなした状態でのプレイ時間ですが、長かったですねぇ。ですが、非常に面白かったです。

前に買って2時間半ぐらいのところで一度ファーストインプレッションを紹介していましたが、今回はクリア後の感想を述べてみようと思います。(なお、あまり露骨な記述は控えますがネタバレ要素を含みますので、念のため詳細は以下のリンク以降に記述しておきます。)

複数の人物の思惑が交差するメインストーリー

まずは、メインのストーリーから。クリアまでに約70時間かかっていますが、このうち30時間ぐらいはサブイベント関係かもしれません。ただ、メインシナリオだけでも、全体で大きく3部構成になっており、相当の長さ。個人的には2部のギルド、帝国などの組織のぶつかり合い、個人の意志の錯綜などが面白かったですね。

一方、2部の途中で世界の危機的な話があったため、3部以降の王道的展開はある程度予測できたところがありました。四大精霊の話が出てきたときは、ドラクエVIIでだれた一因を思い出してちょっと嫌な予感もしましたが、思ったよりサクサク進められて良かったです。ラスボスも自分の想像とはちょっと違い、各々が自分なりの正義を貫き通すという、筋の通ったストーリーとなっていて面白かったです。

深く掘り下げられたキャラクター

各キャラの描き方についても、各々信念をもちながら、お互い少しずつ譲歩するようになって一体となっていく、その感じがあまりご都合主義オンパレードになっていなくてよかったところです。

ユーリは若干押しが強すぎるところも感じましたが、うじうじしないところは好感が持てました。逆にエステルは途中まで周りに流されることが多く、他のメンバーからしきりに「自分でやりたいのは何か」「自分で決めろ」と言われていたのは、優柔不断な自分にも響いてくる言葉でしたね。カロルは、最初は単なるヘタレキャラでしたが、途中からどんどん成長していき、最後は頼れる存在に。レイヴンもいろいろ過去がある割にはおちゃらけ要素が強かったですね。

ジュディスは終始マイペースでつかみ所が無い感じ。声優がスクルドの人(久川綾)なのにキャラがウルド風というのが、女神様ファンとしては面白いところではありましたが。また、リタは最初は短気な学問バカでしたが、こちらは途中からエステルとの百合モードがかなり強くなってきましたね。ただ、キャラ的には非常によく動いており、ストーリーの中でもその豊富な知識を発揮していますし、存在感的にはTOVを代表するキャラと言えるでしょう。ラピードだけがいまいちよく分からない感じでしたね。エピソード的にも、初期からいるメンバーの割に微妙だった感じ。やはり、自分ではしゃべれないというのが一番大きかったか。

操作キャラ以外では、一番目立ったのはフレン。光側の主人公、という形でもっと嫌な感じのキャラなのかと思いきや、悪いところがほとんど無い善人キャラ。もうちょっと欠点らしいエピソードが合っても良かったかも。あと、若干ユーリとフレンの関係が耽美っぽい雰囲気が強かったのは、テイルズシリーズに女性ファンが多いことにも起因しているんでしょうか?あと、フレンといつも一緒にいた女性騎士が実はヤンデレ気味だったのはちょっと笑えたところです。

その他、ストーリーの中でのキーパーソンだったドン、ヘリオスなどのキャラも味があってよかったです。一方で、キュモール、イエーガーは話し方などがあまりに個性的すぎてちょっと浮いていたかも。

圧倒的なボリュームのサブイベント

つづいては、サブイベントについて。これがとにかく非常に多いですね。自分は昔からこれらのゲームは「取り逃し」を恐れて攻略サイトをみながらプレイすることが多いですが、サブイベントについてはフラグ関係がなかなか複雑なものも多く、時期限定のフラグなども存在するため、攻略サイトなどを利用しないと効率よく回収するのは難しいように思います。ちなみに参考にしていた攻略サイトは以下のところです。

テイルズ オブ ヴェスペリア 攻略情報Wiki - Top
テイルズオブヴェスペリア情報局-テイルズオブヴェスペリアを徹底攻略-掲示板・コミュニティ
テイルズ オブ ヴェスペリア 2ch まとめ @Wiki - トップページ

自分がサブイベントに本格的に取り組みだしたのは船を手に入れたあたりから。発売当初はまだネットの攻略サイトもそれほど充実してなかったですし、基本一本道でしたしね。ただ、序盤にリタが魔導器に名前付けをするイベントの最初をみていなかったため、一連のイベント&ジュディスの槍イベントを逃したのが痛かったところ。その後、2部後半の段階で攻略本が発売。買ってサブイベントの消化に務めたのですが、流石攻略本は各シナリオの発生時期が明確に分かるようになっていて良かったです。(サブシナリオのつながりについては、正直Wikiの方が分かりやすかったので併用しましたけど。)

テイルズ・オブ・ヴェスペリア 公式コンプリートガイド (BANDAI NAMCO Games Books 19)

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残っているサブイベントは闘技場と料理、図鑑のコンプリート系、それから犬マップ。配膳と倉庫のミニゲームもまだですね。これらはやり出すとかなり時間がかかりそうな印象があったので、後回しにしています。それ以外の、イベントをみるだけだったりするものはあらかたこなしましたね。どのイベントも、世界中のいろいろな街でリンクしながらイベントが発生したり、特定の場所で止まったりする必要があったりと、普通に1周プレイする人ではなかなか全部みるのは難しいように思います。メニュー画面に、サブイベントリストみたいなものがあり、それぞれどの程度進行しているのかとかが確認できるとよかったかもしれませんね。

歯ごたえ&爽快感のある戦闘

戦闘もTOVの非常に大きな売りの要素。序盤こそ単なるボタンの連打が中心の戦闘ですが、途中で特技の種類が増え、さらにオーバーリミット(OVL)とフェイタルストライク(FS)という要素が出てくると一気に戦闘が熱くなります。OVL自体は自分はボス戦でのブースト代わりぐらいにしか使いこなせませんでしたが、FSは後半は結構多用しました。

このFSというのは、特定の属性の攻撃を繰り返すことで相手の体力とは別にあるFSゲージを減少させ、それが無くなったタイミングでマークが出るためそこでタイミングよくRTボタンを押すと敵を即死させられるというもの。コンボ数を増やしてから特技でさらにHIT数を重ね、最後にFSを決める。これができると明確に「とどめを刺す」という意識をもって戦闘ができるため、非常にリズムが良くなります。自分はやりませんでしたが、わざと弱い武器やダメージを減らすスキルをつけ、FSばかりで敵を倒すという人もいるみたいで、戦闘を単調な作業にさせていません。

戦闘の難易度は、ボス戦はかなり強いものが多いですね。回復や作戦などを適切に組まないと結構苦戦します。さらに、各ボスにはシークレットミッションが用意されており、これも一部のボスは達成するのが大変でしたね。一応自分は全部のシークレットの実績は解除しましたが、なかなか大変でした。

ちなみに、60時間ぐらいで最終ダンジョンには来ていたのですが、上でサブイベントを真面目にこなしていたことが、最後の最後でゲームの難度を上げる結果に。というのも、とあるサブイベントを完全にクリアしていると、ラスボスの形態が一つ増えてしまうんですよね。それ用のデモシーンも用意されており、いわば真のラスボスみたいな状態なのですが、これがまたやたらと強い。3度ほど挑戦して、半分ぐらいしか減らせず、クリア直前で足踏みとなったため、サブシナリオを進めてしまったことをちょっと後悔も。

結局その後5時間ほどかけて各種スキルの拡充や残っていた素材集めのイベントをこなし、再挑戦。それでも最後は結構ギリギリの勝負で、倒したときはさすがに感動しましたね。ちなみにクリアレベルは63前後でした。一応、いざとなればゲームの難易度をイージーにすれば、敵の体力などが70%になるため、かなり簡単になります。その分、ノーマルは歯ごたえある難易度にしてある形で、なかなかいいバランスだと思います。

まとめ〜非常に満足度の高いRPG

以上、長々と感想を述べてきましたが、全体としての満足度が高かった分、いい点の指摘が中心になっていますね。悪い点というと、ストーリーが長すぎて、クリアするまでにあまりに時間がかかったことや、マップなども結構広くて、サブシナリオで行ったり来たりするのが結構大変、とかいうのはあります。あと、デモシーンがスキップできないというのは一番大きな難点でしょうね。ボスが強い分、ボスで死ぬと毎回デモをみさせられるのはちょっと苦痛でした。

ただ、そうした要素はあるにせよ、全体として非常に丁寧に作ってあるのは分かりますし、ストーリーも大人でも大人なりに楽しめるもので、面白かったです。自分の中で面白かったRPGというと、子供の頃のFF2、DQII、DQIIIあたりは思い出補正もある分別格として、グランディアFF9あたりがやりこんだRPGですが、TOVもトップクラスの面白さでしたね。やり込みとしても、FFIXはほとんど全ての要素をやり尽くしましたが、今回もやり込み度合いとしてはいい勝負。ストーリーはグランディアの方が個人的には上ですが、それでもFF9よりは圧倒的に面白かったですね。

ということで、非常に良くできたJRPGだと思います。これからXbox360を買う方には、とりあえず購入する定番タイトルとしてお薦めしたいですね。