元社長が訊く「大乱闘スマッシュブラザーズX」〜開発にはゲームアーツも

発売が一週間延びて来週となったWiiスマブラX。出荷数が少ないと言われており、いまだ予約などは厳しい状態となっているようです。

大乱闘スマッシュブラザーズX - Wii

大乱闘スマッシュブラザーズX - Wii

そんなスマブラについて、WiiのHPでまた「社長が訊く」シリーズのインタビュー連載が始まりました。

Wii.com JP - 社長が訊く『大乱闘スマッシュブラザーズX』

今回のインタビューは、HAL研究所時代の元社長で上司だった岩田氏が、スマブラXディレクターで現在フリーの桜井氏に訊くという、いわば師弟対談。先日スマブラX延期の時に紹介した、非常に強引なプロジェクト開始についても語られていますね。延期についてまず謝っているのも、らしい対応です。

大乱闘スマッシュブラザーズX 1/31に発売日延期 〜 北米版は3/9に - わぱのつれづれ日記

今回のインタビューを読むと、一応E3での岩田氏のニュアンスとしては「Wi-Fiのタイトルとしてスマブラが作られるようにプッシュしている」というもののようですが、そう言った婉曲で微妙な表現は全然報道陣には伝わらなかったようですね。というか、その場で聞いていた桜井氏自身が驚いたぐらいですから、あまり遠回しには聞こえなかったということなんでしょう。その後のやりとりも基本的に桜井氏が以前語ったものと同様ですが、ダイレクトに「脅し」という表現を公式HPでやりとりするのは、ちょっとすごいですね。

プログラマー岩田聡と「ディレクター」桜井政博

上記のエピソード以外にも、このインタビューでは岩田氏と桜井氏がHAL研究所で一緒に仕事をしていた当時がうかがい知れるような話もありますね。特に最後のページでしょうか。

Wii.com JP - 社長が訊く『大乱闘スマッシュブラザーズX』- 「私の勝算は」

こちらでは、桜井氏の持つ「ものがまったくできていないときに完成イメージが頭の中でほぼ完璧にできて動いている」という天才的才能を岩田社長がべた褒めしていますね。逆に桜井氏はその岩田社長のテンションに引き気味な印象w。また、その岩田氏の発言から、岩田氏が実際に桜井氏のディレクションの元プログラミングをしていたこともうかがい知れます。今から想像すると、すごい職場ですよね。

岩田氏のほめる桜井氏のこの能力もすごいですよね。大抵はある程度漠然としたイメージがあり、作っている内に細かいところが分かってきて試行錯誤しながら作品を仕上げていくということが多い思います。それに対して、最終形が最初から動いている形でイメージできているというのは、作品にぶれが生まれないという点で非常に大きいですよね。岩田氏もぶれの少ない優秀な人だと思いますが、桜井氏もディレクターというのがまさに天職なのかもしれません。

開発チームの中心に「ゲームアーツ」メンバー

今回のインタビューで他に目を惹いたところとしては、開発陣の構成。まず中心の開発要員としてアサインされたのが、なんとゲームアーツのメンバーとのこと。これはちょっと驚きでしたね。

Wii.com JP - 社長が訊く『大乱闘スマッシュブラザーズX』- 「オフィス探し。スタッフ探し」

ゲームアーツといえば、メガドライブセガサターンユーザーの自分からしたら非常になじみの深い会社ですね。特に自分が思い入れがあるソフトはメガドライブ時代は「片山まさゆきの麻雀道場」です。

片山まさゆきの麻雀道場 MD 【メガドライブ】

片山まさゆきの麻雀道場 MD 【メガドライブ】

自分が麻雀を覚えるきっかけになった「ぎゅわんぶらぁ自己中心派」のゲーム化の中でも特に名作とされているものです。スーパーヅカンのメンバーも含めてストーリーモードがよくできており、単なる麻雀ゲームの枠を越えて楽しめる作品でした。

セガサターン時代で言えばやはり「グランディア」でしょうか。

グランディア

グランディア

自分はグランディアに対してはちょっと変わった触れ方をしており、先に小説版グランディアの1,2巻を読み、その序盤の展開に非常に引き込まれました。その状態で小説3巻を読む前に中古で購入、プレイした形です。

GRANDIA(グランディア)〈1〉新大陸エレンシア (角川スニーカー文庫)

GRANDIA(グランディア)〈1〉新大陸エレンシア (角川スニーカー文庫)

GRANDIA(グランディア)〈2〉世界の果てを越えて (角川スニーカー文庫)

GRANDIA(グランディア)〈2〉世界の果てを越えて (角川スニーカー文庫)

GRANDIA(グランディア)〈3〉アレントの向こう側 (角川スニーカー文庫)

GRANDIA(グランディア)〈3〉アレントの向こう側 (角川スニーカー文庫)

ゲーム的にはちょっと的のエンカウントが多く、ラスボスがやたら弱いなどちょっと不満の残るところはありましたが、魅力的なキャラ、冒険ロマン的展開、そしてストーリーと自分の好みに非常にマッチした作品でしたね。自分の中でのNo.1RPGかもしれません。(小説も、ゲームに忠実かつ生き生きと書かれていておすすめです。)

その他にもセガハードでは貴重なソフトメーカーとして名をはせていたのですが、セガハード衰退後はゲームアーツ自体もいまいち波に乗れず。大作系をいくつか手がけるも大きな成功はせず、2005年には癌呆ガンホーに買収されるなど、元セガユーザとしては少々寂しい展開となっていました。

ガンホー、ゲームアーツ株を追加取得。過半数以上を保有し連結子会社に:Slash Games (オンラインゲーム総合サイト) 2005/10/17

そんなゲームアーツが、スマブラXという非常に大きなタイトルで脚光浴びる形になったのは、よかったなという感じですね。グランディアIIIなど評判が悪くて心配する声もあるようですが、昔から技術力はある集団という感じでしたし、ディレクターとして桜井氏が統率している訳なので、特に問題は内のではないでしょうか?

今後の「苦労話」にも期待

今回の話は、基本的にはこれまでにも語られていた内容が中心でした。今後は、実際にスマブラXを開発するにあたって遭遇した数々の苦労話がされるようですね。この出だしの話だけでもかなり特殊なプロジェクトなことは分かりますので、この後どうやってうまくマネージングしていったのか、非常に興味あります。

任天堂の場合、こうした苦労話とそれに対する解決法の話をどんどん出してきますが、これってビジネス的には相当貴重なノウハウなんですよね。ゲーム業界に限らず、ビジネスに関わる人たちには今後の話をいいサンプルとしてチェックしていくといいかもしれません。自分も期待しています。