Wiiの国内販売台数500万台突破 〜 PS2を上回り据置最速

WiiSportsとはじめてのWiiで猛烈なスタートダッシュを切ったWii。その後はマリオパーティなどは売れたものの、秋頃にはトーンダウンし、11月は値下げ直後のPS3に抜かれたりもしました。しかし、元々年末商戦に強い任天堂において、会社を挙げて猛プッシュしたWiiFitも出来がよく大ヒットを記録。これにより、12月・1月と爆発的なWiiの販売につながりました。

そんなWiiですが、この度国内販売500万台を突破した模様です。

Wii:国内500万台を突破 PS2抜き、家庭用ゲーム機最速の60週で達成 エンターブレイン(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)

数字としてはファミ通ことエンターブレインのもの。この発表によれば、Wiiの500万台達成は絶対王者だったPS2の66週達成よりも1ヶ月以上早い60週での達成とのこと。以前からWiiの売れ行きはPS2を上回る勢いでしたが、年末年始のブーストによって500万という大きな節目でも上回った形ですね。

初期はPS1ソフトが牽引・2段目ロケットまでが長かったPS2

PS2自体も、今では絶対王者だったという記憶が強いですが、発売当初はDVDプレーヤ&久夛良木社長のハッタリに夢を見た人たちの購入で爆発的に売れたものの、その後しばらくはソフト不足で苦しんでいます。PS3同様、PS2もかなりトリッキーなハードでしたからね。ただ、PS3と違ったのはライバルがそれほど強くなかったこと、PS1がすでに王者だったこと、そしてコントローラやメモリカードなども含めてPS1との互換が高かったことが大きかったと思います。このあたりは、マルガの湖畔さんのところの2000年のソフトランキングを見ると分かりやすいのではないでしょうか。

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上記のように、PS2が発売された2000年3月4日移行の年間売り上げでは、PS2のトップはロンチのリッジレーサーVで58万本にすぎません。代わりに、日本を代表する2大RPGドラクエ7FF9がワンツーを飾っている形ですね。いかにPSのソフトが牽引していたのかが分かるというものです。
自分の場合も、セガサターンユーザだったためPS1は持っておらず、PS2パワプロ7が出たタイミング(2000年7月)に購入。結構早い段階でのPS2購入だったわけですが、その後はPS2ソフトは買わず、PS1のFFIXやDQVIIを購入してプレイしてましたからね。PS2が出てからもPS1の大作ソフトがリリースされ、それがPS2でプレイできたと言うことは大きかったでしょう。

ただ、そうは言ってもPS2の場合、本格的な2段目のロケットは翌年4月のGT3、そして7月のFFXまで待つこととなります。

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このあたり、ちょうど一年で2段目ロケットとしてWiiFitを用意できたWiiとの違いでもあるんでしょうね。

「発売から1年が重要」というポリシーを守った任天堂

もっとも、単純に発売してからの経過週という計算にしてしまうと、3月発売のPS2よりも12月発売のWiiの方が年末商戦の恩恵が大きく、有利と言うところもあります。DSの56週での達成といい、実際にはこの影響の方が大きいとは思います。

ただそれでも、DSもWiiといい、ちゃんとロンチから1年後の年末商戦まで、ファーストで軌道に乗るところを面倒見られているのは大きいですよね。DSの場合はロンチに出すはずだったnintendogsが遅れてしまったのが多少響きましたが、その後は脳トレという新機軸、そして年末はマリオカートDSどうぶつの森という強力タイトルをそろえて大ブレイクさせました。Wiiも、ロンチの段階で非常に高いレベルのモーション入力を実現したWiiSportsにリモコン付きでお買い得&お手軽プレイの「はじめてのWii」で大ヒット。そしてロンチもWiiFitで再度ブレークさせていますからね。スマブラ無しでここまで盛り上げられたところに、今の任天堂の強さを感じますね。

任天堂の岩田社長は、GCの失敗の理由にロンチからのソフト不足を挙げていました。それ以降、「発売からの1年が重要」と度々語っていました。過去の失敗を生かし、WiiとDSでの成功につなげている形ですね。

油断の出来ない今後の展開

とりあえず、発売から1年というくくりでは大成功を収めたWii。ただ、だからといってPS2と全く同じ絶対王者の道を歩めるかというと、そうとは言い切れないところもあります。PS2の時にもより性能の高いGCXBOXがありましたが、現在のPS3Xbox360に対するWiiほどの性能差はありませんでした。ですので、バイオのようにGCで全力を出したものもありますが、結局はPS2に力を入れるだけでソフトメーカーも済んだという感じがします。基本、ゲームユーザーはPS2に集中していましたからね。

それに対して、現在のゲーム業界は明らかにユーザーが分散しており、その傾向も大きく異なります。PS3Xbox360を合わせてみればHDゲーム市場というものも確立されており、それらはWiiではカバーできないところもあります。また、DSやPSPがメインストリームとなっているものも存在します。数が少ないハードでソフトを出すことの厳しさは間違いないとは思いますが、かといって数の多いハードだからといって単純に売れるわけでもありません。ですので、「一番売れてるハードに自動的にソフトメーカーが集まる」とも限らないんですよね。

もちろん、Wiiでも今後RPGやギャルゲー、ハードな洋ゲーなどいろいろなジャンルは増えてくるとは思いますが、それでもハードの性質上、どうしても吸収できないものは存在し、そこにはそれなりに客が存在しています。数は少なくてもゲームを複数買ってくれて逃げづらい層で、これはこれで貴重な存在です。一方、Wiiが獲得している層はゲーム以外に楽しいものがあればふらっと簡単にゲームから離れていく可能性があることも否定できません。500万台売れたから安泰というわけでは無いんですよね。

もっとも、このあたりは任天堂も周知しており、すでにDSで3年間拡大し続けゲーマーも取り込んできた実績もあります。Wiiでもいろいろ手は用意されているでしょう。DSの時と同様、今後も我々が思ってもいなかった斬新なアイデア・サービスを継続的に提供してくれることを期待したいと思います。