「アンフェアな行為」について公式に詫びたファミ通

ゲームマスコミ業界の最大手ながら、数々の偏向記事や間違った報道などで騒動を繰り返すファミ通。最近もPS3の「生産台数」とWiiの「出荷数」を比べて互角と表したりマルチ展開のバイオハザード5を「PS3独占」と誤解を招く記事掲載したりして、毎週のようにネットを騒がせていました。
バイオハザード5の件については、先日少々分かりにくい場所ながらもWeb上でお詫び記事を掲載しており、後は誌面上での訂正記事を残すのみ、となっていました。

速報ページ右下に小さく示された訂正記事

そして今週号のファミ通で、上記のバイオハザード5に加えて生産出荷台数の件についても訂正と補足記事が掲載されていました。
スキャン画像(ウェブ魚拓)

訂正記事は、両方ともファミ通の冒頭の速報記事の見開き右ページの右下に、小さめのフォントで記されています。上記スキャン画像だと本当に読みづらいですが、出荷台数についての訂正と補足のコラムは、実際の誌面だと文字の小ささの割にはちゃんと読める感じがしました。バイオ5の方は一番下に小さく出ているだけなので、誌面でも目立ちませんね。ウェブ上でお詫びしているから、貴重な誌面スペースを割くことは出来ないという判断なんでしょうね。…まあ、この手のお詫び文章ではよくあることで、皆が予想していた通りではありますが。

「補足」という名の「言い訳」が並ぶコラム

注目すべきは、PS3出荷台数についてのコラムですね。ここは、まず見出しからして「訂正と補足」と、お詫びが前面には来ていません。その内容も、ファミ通が「出荷台数」という言葉をどうとらえて、どう使っていたかを説明するものになっています。一応コラムの最後で「お詫び」と言っていますので、コラムとしては謝罪の意味合いを持つのでしょうけど、タイトルに「お詫び」の言葉もなく、「補足」という名の単なる「言い訳」が並んでいるあたり、正直あまり謝罪のニュアンスが伝わってこないのが残念なところです。

具体的内容としては、生産出荷台数と店舗出荷台数についてちゃんと違いを説明しており、ある程度望ましいものとなっています。ただ「5月16日の決算報告で初めて店舗出荷数が語られ…」という表現は、「これまで自分たちが繰り返し生産出荷台数を出荷台数として扱ってきたのは間違っていない」とでも言いたいようなニュアンスですね。ソニー側が出荷数として生産出荷台数しか公表してなかったんだから、ファミ通側はそれにそのまま従っただけ、ということでしょうか?この辺が上記でも述べた、「言い訳っぽい」ところです。

「過失」ではなく「アンフェアな行為」と告白したファミ通

どちらにしろ、今回訂正を入れる以上、出荷台数の誤用については「過失」だったのか「意図的」だったのかを明らかにしないことには説明が付きません。これについては以下の文章がよく分かるかと思います。

記事中で“プレイステーション3生産出荷台数”と“Wiiの店舗出荷台数”を比較していることはアンフェアだったと、ここにお詫びさせていただきます。

誤用したことについて「アンフェア」だったと表現しています。単なる「過失」であれば、「生産出荷台数を店頭出荷台数と誤解してしまい、結果的にアンフェアな比較をしてしまった」といった表現になるかと思いますが、この文章はもっとダイレクトな表現となっています。これはすなわち、ファミ通は間違って生産出荷台数と店舗出荷台数を比較したわけではなく、意図的にアンフェアな行為をしたのだと、暗に認めていると言えないでしょうか。

自分は以前のエントリで、『ミスならばゲームマスコミ失格と言えるほど無知な間違い、確信犯で行った捏造なら追放ものの行為』と述べましたが、結局後者だったというところでしょうか。

それでも、単に「過失」として謝罪されるよりも、こうして不正を謝罪して頂いた方が、意味がある行為だと自分は思います。不正を認めて謝罪した以上、再び同様の行為をすれば今回の比ではない批難を受けること必至ですからね。

Xbox360バイオハザード5に(仮題)を付加

ただその割には、今週号のXbox360特集の中で、よりにもよって謝罪したばかりのXbox360バイオハザード5について、『バイオハザード5(仮題)』と勝手に(仮題)をつけて掲載するという失態をしているのはいただけません。カプコンはこれまで(仮題)とつけた事はありませんし、先日カプコンがわざわざ公式にアナウンスしたにもかかわらず、です。

スキャン記事(ウェブ魚拓)

まあ、もっとも今週号の他のページでは特に(仮題)とは付いてませんし、問題の箇所では他の仮題タイトルのものと列挙している形なので、おそらくミスったのだろうということは分かります。ただ、お得意先から公式に訂正告知くらって、誌面で謝罪を出した同じ号で、そのタイトルについてまたミスをやらかすというのは、ちょっとお粗末ですよね。

背水の陣を敷いたファミ通 〜 今後の自律・自浄に期待

上記『バイオハザード5(仮題)』みたいなミスはありましたが、一応今回の訂正記事で不正を告白して謝罪した分、自浄を行う道は開けたように思います。もし、もう一度同じようなミスリード狙いのアンフェアな記事を書いた場合、今回の謝罪はなんだったのか、ということになり、さらなるバッシングは免れませんからね。雪印でもTBSでもそうですが、一旦謝罪しておいて繰り返し同じ過ちを犯すものに対して、民衆の目は非常に厳しいものですから。

上記観点からも、ファミ通は今回の訂正記事は、ゲームマスコミとして背水の陣を敷いたものと言えると思います。そうした危機意識を持って、ファミ通には正しい情報の発信に務めて頂きたいものです。