『つんく♂プロデュース』公表方法の裏にある配慮〜リズム天国開発者インタビュー 1

リズム天国

リズム天国

忍さんのところで猛烈にプッシュされており、自分も発売後に購入してマジハマリした『リズム天国』。自分もレビューを書いて、忍さんの募集されていた応援団に参加させてもらっています。

時間を忘れる熱中度〜「リズム天国」レビュー
忍之閻魔帳:「リズム天国」応援団員大募集

忍さんのエントリーによれば、リズム天国も10万本の大台が見えてきたとのこと。ユーザレビューサイトGBA mk2でもかなり高い評価を集めていますし、口コミでもまだ広がりを見せる可能性のあるソフトなだけに、これからもどんどん売れてほしいところです。
GBAレビュー「リズム天国 」 - GBA mk2


さて、そんなリズム天国ですが、任天堂の広告塔的存在でもあるほぼ日にて、リズム天国の秘話を伝えるインタビュー企画がスタートしています。まず一回目は、プロデューサーの坂本賀勇氏へのインタビューです。

開発者が語る『リズム天国』の秘密、その1:ドラム侍は、つんく♂だった! 〜 ほぼ日刊イトイ新聞 - 樹の上の秘密基地。

世間的には坂本氏と言えばメトロイドメイドインワリオの人という評価が大きいですが、個人的には坂本氏と言えばファミコン探偵倶楽部のシナリオ担当。自分の中では神のような存在ですね。マリオにあまりはまらなかった自分としては、任天堂のクリエータの中では宮本茂氏以上に思い入れのある人物です。

その坂本氏が語っている内容は、「『つんく♂プロデュース』であることの公表する方法への配慮」についてです。自分は、上記の 自己レビューの中で、つんくプロデュースを後出しで紹介したことの有意性について、主に消費者の立場からいろいろと語らせて頂きました。ようするに、下手に『つんくプロデュース』を先にアピールしてしまうと、それだけでアンチな人は買わないし、ソフト自体偏見じみて見られてマイナスになる、という論調です。
坂本氏のコメントでも、「誤解を生んでしまう可能性もある」と、自分と同様の見解をもたれたことは見て取れるのですが、それ以上にインタビュー記事から感じられるのは、「真面目に取り組んでもらったつんく氏への配慮」です。特に以下のコメントがそれをよく表していると思います。

つんく♂さんは、頭が良くて、気さくで、
なんといっても非常に真面目な方なんですよね。
モノ作りに対しても、すごくストイックに
いろいろとよく考えて行動される方なんです。
せっかくしっかりと関わってくださったのですから、
たんなる監修ソフトと誤解されないように、
あえて、つんく♂さんの
お名前を前面に出さなかったんです。

ようするに、『つんくプロデュース』を安易に表に出してしまうことで、真剣に取り組みゲーム作りに深く関わったつんく氏の貢献度が軽く見られるのをおそれた、と言うことなんですよね。ゲーム制作に対してつんく氏が行った仕事を、消費者にちゃんと評価してもらいたい、という坂本氏の配慮があったわけです。それでいて、最終的にリズム天国の司会役であるドラム侍につんく氏を割り当てる、という計らいがにくいですよね。自分も何となくその雰囲気は感じ取ってはいましたが、眉毛にまでは気がつきませんでした。

最近はとかくゲームクリエーターが自己主張しがちですけど、その分独りよがりになって失敗するケースも増えています。それに対して、このリズム天国のように、名を隠してゲームを紹介し、ゲームの質とそれに対する反応に自信を持った段階で詳しく制作者を紹介していく、と言う流れは、非常に健全な流れですよね。こうしたゲーム第一主義の目線で開発、広報活動できるから、任天堂のソフトのクオリティは常に一定レベル以上で保たれているのではないでしょうか?


とにかく人を費やして見栄えだけよくする、CM文句になりそうな要素だけ増やして練り込み不足、有名人を使って話題性を集めるだけ、CMをオサレにして関心を引く、などなど、他の会社はソフトそのものよりも先に『いかに売るか』という部分ばかりに目がいって、いれこんでいる印象がするんですよね。そうした、目先に利益ばかり追求する血走った雰囲気は、なんだかんだ言って消費者にも伝わってくるものです。特に、ネットが広まった今では、そうしたうわべだけのとりつくろいなどすぐにはがされてしまいますしね。TV、雑誌を中心としたPush型情報操作がうまくいかなくなった以上、あとは質、コストパフォーマンスなど、商品そのものの価値で攻めるしかないわけです。まさに実力社会な訳ですが、それも仕方ないことでしょう。実力もないのに分不相応に手を広げすぎ、クソゲーを乱発しながら固定客層のお布施を集めているだけじゃ、破綻がくるのは当然でしょうから。実力にあった規模でソフト作りをすることが、消費者にとってもありがたいことです。

ニンテンドーDSにより、今までになく新規顧客、戻り顧客が増えている昨今。ソフトメーカーの開発者および経営者の方々には、以下に質を高めるかというシンプルで重要なところをしっかりとノウハウを身につけていってほしいものですね。大事な顧客を自ら手放して行かないように。