ハドソン、今後3年で営業利益約4倍を視野 〜 Wii&DS向けゲームが好調

任天堂が圧倒的強さを見せるWiiおよびDS。そんな中、サードとしては徹底的に任天堂に近い戦略を取り、好調なのがハドソン。先日リリースした「デカスポルタ」は、WiiSportsの次を待っていたユーザーをうまく獲得し、Wiiにおけるサードとしてはかなりの売れ行きを見せています。

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最近では、WiiWareでもロンチでスターソルジャーを提供するなど、低コスト開発で効率のよい売上を上げている印象です。一時期携帯電話ゲームに比重を置いていた経験が生きているという感じでしょうか。

こうした状況を受けて、ハドソンの次期社長・石塚通弘氏はかなり景気の良い発言をしているようです。

【銘柄探訪】ハドソン:営業益3年で約4倍に、今期復配へ−次期社長 - Bloomberg.co.jp: チャート/分析

WiiやDSでのソフトを積極投入、広告も積極的に行い、Wii&DSの流れに今後2,3年はうまく乗っていける自信があるようです。国内有名サードがPS時代に脱任天堂を続け、その反動のためかなかなか任天堂市場で売れるソフトを出せていない中、ハドソンはうまく環境に適応している感じですね。

任天堂の作った流れにうまく乗った形に

ハドソンというと自分とかにはPCエンジンを支えたソフトメーカーであり、ファミコンでもボンバーマン迷宮組曲など数々の名作を出してきたメーカーという印象なのですが、現在はそういった過去のとがった印象はほとんどありません。世間の動向を見て、受けがよさそうなところを低コストで開発、宣伝をうってそれなりの利益を上げる、という戦略が強いですね。古くからのゲームファン、ハドソンファンからしてみれば悲しい状態かもしれませんが、他のサードがHDゲームにいち早く投資しすぎて苦戦しているところを見ると、ビジネス的には正しかったのかもしれません。

任天堂も、宮本氏も岩田氏も根っからのゲームクリエーターであり、普通のゲームを売りたいという意向は強く持っています。ゼルダが日本でそれほど売れないことを宮本氏なんかはちょくちょく嘆いていますしね。ただ、従来ゲームの延長では単なるパワーゲームになって任天堂には分が悪いですし、開発費増加のわりには市場の伸びが見込めないというビジネス的視点から、WiiやDSといったアイデア勝負、実世界指向なハードでの勝負を行い、大成功を収めています。同様に、ハドソンも経営ミスなどから他の大手サードとは真っ向勝負できず、そもそも今はコナミの下に入った形。こうした状態だからこそ、任天堂の戦略との相性が良かったんでしょうね。

パワー勝負まではまだしばらく猶予あり?

世の中のテレビがHDTVに置き換わるにつれて、ゲーム機も必然的にHD化するとは思いますが、そのスピードはまだ鈍いものがあります。一般の人のHDTV購入動機としては、「大きくて薄いTVが欲しい」というものであり、画質などについてはぱっと見た目の印象や売り文句に流されているところがあると思います。PS3を持っていてすら、下手すると標準付属の黄色端子(コンポジットケーブル)で繋いでいる人もいそうですからね。それこそ「もったいない」という矢沢永吉のCMは的を射ていて、積極的に綺麗な画質を求めているというより、「せっかくHDTV持っているのだから」という動機でHDゲーム機も伸びていくのだと思います。

こうした、ある意味非能動的な動機では、その伸びの速度はなかなか上がっていかない気がします。TV放送の場合は放送が地デジばかりになり、録画することも考えれば必然的にHD環境が整ってきますが、ゲームの場合はそれと直結していないのがつらいところではないでしょうか。WiiPS3およびXbox360が全く同価格であり、ソフトのラインナップも同程度の魅力があるのならば、「せっかくならHDゲームの方を」という選択になるでしょうが、実際には開発費の関係、またファーストとしての任天堂の影響力の強さもあってなかなかそうはならないでしょうしね。

少なくとも、HDゲーム機陣営は高解像度・高性能でしか味わえない、新しいキラーコンテンツを生み出す必要があるでしょう。それが簡単には出来ないのであれば、とにかく値段を安くし、従来ゲームの延長でかまわないのでソフトを多数出さなければ、なかなかWii・DS・PSPという「低〜中スペック路線」のメインストリームを崩すことは難しいと思います。そして、リスクをかけてでもそれをやらなければいけないのはファースト。サードは別に稼げる方で出せばいい訳ですし。ファーストだけでは力不足なら、金をばらまいてサードに協力してもらう必要も生じるでしょう。そうしたてこ入れがない限り、当分は企業規模&大型ソフトによるパワー勝負の世界にはなってこない気がします。

個人的にはWiiやDSは操作感などには満足できるところは多いもののジャギジャギな3Dには当初から不満はあるので、HDゲームの方もこちらはこちらで伸びて欲しいんですけどね。マンネリ感を打破するような頑張りを期待したいところです。

どこまで「プチヒット」を続けられるか

ともかく、高スペックゲームが伸び悩み、まだ新規ゲーム層が増え続けている中、ハドソンの路線は比較的堅調に推移しそうな感じはします。ただ、ハドソン路線も基本は任天堂の後追いですので、大はずしをする危険はやはりつきまといます。今後いかに「プチヒットなタイトル」を継続できるか、ハドソンの経営手腕が問われそうです。