Wii・DSに席巻されたのはSCEJのせい?!〜SCEWWフィル・ハリソン氏コメント

度肝を抜く様なサプライズな発表はなかったものの、いろいろなクリエーターや関係者のコメントやセッションがあったGDC2008。自分も多すぎて詳しく全てを追い切れていない状態ですが、その中の「プライベートランチ」の中でSCEWWのフィル・ハリソン氏が口にした内容がいろいろと反響を呼んでいるようです。

Game*Spark - : GDC 08: 日本のSCEは先見の明がなかった?ハリソン氏がWiiの成功を前に苦慮 by riot_兄

こちらによれば、WiiやDSで成功している、生活や普段の行動と密につながった、家族で楽しめるゲームについて、PS3PSPでうまく行かなかったのはSCEJに先見の明が無かったからと述べているようですね。

EyeToyやSingStarの流れを生かせなかったPS

たしかに、フィル・ハリソン氏は元々はSCEヨーロッパの役員で、カメラを使った直感的ゲーム「EyeToy」を欧州で大ヒットに導いた人物。

ゲームのマボロシ: フィル・ハリソン氏の抜擢

他にも、SingStarという海外版カラオケソフトもヒットしていましたし、PS2の頃でも「家族でゲームを楽しむ」ということはシーンとしてすでに実現していたんですよね。実際、Wiiの直感操作も「EyeToyのパクリ」というコメントがされていた時期もありましたし。それだけに、WiiやDSで直感的な入力と家族でのプレイというところで圧倒されている現状は、悔しいところもあるのでしょう。

初代PSのころはSCEJもカジュアルなゲームを多数出していましたが、PS2になってからはAV的なかっこよさを追求したこともあってか、ゲームも10〜20代に特化したゲームが増えていましたからね。ちょうど日本では団塊ジュニアの世代で、それでもよかったのですが、そこでとどまってしまって、そういった世代が家庭を持つ様になった後のところまで発想を飛躍できなかったところは、たしかに先見の明がなかったとも言えるかもしれませんね。

SCEの戦略も欧州的考え方に?〜問われるSCEJの存在感

とはいえ、プライベートな食事の場とはいえ、多くのマスコミなどがいる場所でこうした社内の上層部批判が出てしまうというのは、ちょっといかがなものかとは思いますね。現状、PSプラットホームの戦略的にも日本よりも欧米の方に比重が移ってきていますし、相対的に日本市場の特殊性、そこにいる人たちの戦略が当てにならなくなってきている、ということの裏返しなのかもしれません。

もっとも、今世界中でヒットしているWiiやDSにおいて、直感的操作、家族でのプレイという売りを考え出したのは日本の任天堂。宮本氏の感性や岩田社長の分析力が非常に大きいですからね。別に、日本人がダメという訳ではないんですよね。視野を広く持つだけでなく、物事の本質を突き詰めて考えることが、惰性でない斬新で直感的に面白いと感じるものを生み出す原動力になっていたことは、過去の任天堂のインタビューを見ても分かります。大きな会社で頭の固い上層部ばかりが上にいるようなところだと、そういったことは難しいのは普通だと思いますけどね。純粋な成長期にいるときは保守的な考えでもいいのでしょうが、今はちょうど転換期ですしね。

今回、ハリソン氏に直接批判された形のSCEJですが、今は社長に元SCEAの平井氏が就任。よりグローバルな視野で考えられる様になっていることでしょう。日本でXbox360より売れている程度では当然満足できていないでしょうし、世界に通じる日本発の戦略を任天堂に負けず打ち出していって欲しいですね。