岩田社長が示した海外ゲーム市場動向

先日のエントリで、「海外市場はデータが少ない」と書いていましたが、コメント欄でshinさんから指摘があったように、他の誰あろう任天堂自身が集められるだけ情報を集めて、Wii発売後に行った先日の講演で発表していたようです。

岩田社長の日本外国特派員協会でのスピーチ概要が公開 - Nintendo iNSIDE
2006年12月7日 日本外国特派員協会 社長スピーチ概要


基本的には、「いかに世界中でDSが成功しているか」を、データに基づいてこれでもか、と言うぐらいにしつこく説明する、岩田社長のいつものスタイルですね。今回はWii発売を受けての講演だっただけに、Wii発売の様子も触れていますが、主にすでにネットで報じられていた情報がベースです。

DSLiteで加速した北米市場

面白いのは、最初でも述べた海外データについてですね。海外データは、2chでもいくつか情報が出てくることはあるのですが、日本のメディアクリエイトファミ通のように毎週細かく販売台数などを公開してくれるWebサイトもなく、なかなか真贋なども判断しづらい状態でした。そうした情報を、今回の講演ではいろいろ公開してくれています。

欧米でのDSとPSPの売れ行きの比較が以下のページですね。
2006年12月7日 日本外国特派員協会 社長スピーチ概要

欧米のDSとPSPは日本と違ってかなりいい勝負をしているという意識で止まっていましたが、DSLite発売以降は見事に日本と同様PSPに倍以上のペースで売れており、他のどのハードよりもクリスマスシーズンに売り上げているようです。脳トレも北米でミリオンが見えているなど、「リアル志向の海外ではうけない」という下馬評をひっくり返す結果が数字でも出ています。

日本同様圧倒的DSの力を見せる欧州市場

また、欧州のデータが出ている以下のページも興味深いです。
2006年12月7日 日本外国特派員協会 社長スピーチ概要

欧州のデータとして、英国が収集しやすいことに触れた上で、フランスとドイツのデータも公開されています。これらの国は言語が英語でないため、日本人ではなかなか情報をつかみづらいのですよね。なかなか貴重です。nintendogsなどが日本以上の勢いで売れ、先のページでも欧州で500万本という話が出ていましたが、そのほかのデータも、日本に近くてDSが圧倒的強さを誇っていることが分かります。同じページで示されている、北米ではようやくGBAをDSが越えた、と言うのと比べるとだいぶ違いますね。

また、面白いのが珍しくMSの販売台数についても触れていることです。世界最大市場の北米で好調なことからXbox360が世界的に有利な立場にいると言われ、Wiiと併せて「Wii60(ウィーシックスティー)」と呼ばれていたりしましたが、岩田社長的にはそう言った意志は無いようですね。違う路線、違う路線と言いながらも、やはりライバル視はしていると言うことでしょうか。

週間販売ランキングも、何か日本のランキングを見ているようですね。PS2の主力タイトルがランキングの1位とってはいるものの、それ以外のランキングを息の長いDSタイトルが独占していくという。売れ方のライフサイクルが一人違う感じですよね。本体が売れ続けることでユーザが増え続けるからこそできることなんでしょうけど。

Wiiならでは」のゲームに期待

こうしたDSの圧倒的な勢いは、まだまだ続いていくことでしょう。ただ、なんだかんだ言ってもまだ海外市場は日本以上にリッチで綺麗なコンテンツが強力ではあると思います。海外でも出だし好調なWiiですが、発売されたソフトでWiiではゼルダの装着率が相当高いというのも、そうした傾向をのぞかせているとも思えます。WiiSportsでも十分キラー級の威力はあるとは思いますが、DSのnintendogs脳トレのように、キラーコンテンツを継続して出せるかどうかが、Wiiが本当に成功できるかの鍵を握っていると思います。単にDSと同じ客層を奪い合うのではなく、DSでは獲得し切れていない層も引きつけることが重要ではないでしょうか。岩田社長の言うような、「驚き」を数多く提供してくれることを期待してます。