PS陣営を擁護するメディア報道

E3での衝撃的なPS3の価格発表以降、DSの好調さとWiiの好印象ばかりが聞かれる一方、PS3が猛烈なバッシングをうけたり、PS2の主力タイトルの伸び悩んだりと、PS陣営の苦戦が続いています。

こうした中、最近になってちょくちょく、PS陣営を擁護するようなメディアの報道・記事がみられるようになりました。まず気になったのは、以下の夕刊フジの記事。
任天堂DS圧勝のワケは「新鮮な驚き」 - 夕刊フジBLOG
タイトルはDS圧勝とついているのですが、記事の内容は微妙です。まず、使っている言葉が微妙。「DS市場とPSP市場に”格差”がある」とか、「FF12が半年で投げ売りされるいびつな状況」、「ゲーム業界人が頭を抱えている」など、何かDSがゲーム市場における悪の元凶みたいな書き方。いかにもスポーツ紙的な煽り文句ですよね。
さらに、以下の引用されている言葉が印象的です。

「これは格差なんてものじゃない。DS市場以外は砂漠みたいなもんですよ」と話すのは中小ソフトメーカーの関係者だ。「5000万円以上の開発費をかけたPSP用ソフトの受注が1万本に届かないのに、2000万円程度で作ったDS用ソフトの受注は5万本を超えている。うちとして、PSP用ソフトの方が売れてほしいんですけど…」と、この関係者はため息をつく。

これは、まずこのコメントそのものがつっこみどころが多くて。DS市場の方が安い開発費で多くの受注がもらえるのだったら、喜ばしいことじゃないですか。PSPの方『も』売れてほしいのなら分かりますが、PSPの方『が』うれしいのだとすると、意味不明です。PSPの方が売れないことが分かったら、単にPSで出さずDSで出せばいいだけじゃ、と思うわけです。PS2と同様の人員、環境で開発できるからPSPがいい、というのならまだ分かるんですけどね。それでも、DSより売れないのなら、そんな開発費の投資の仕方そのものが間違っていると、簡単に判断できると思うのですが。
このコメントで感じられるのは、PS市場の崩壊というものではありますが、コメントのニュアンスからは、逆に「サードが売れてほしいのはPS。DSのせいでいびつになっている」という印象も感じます。そういった過剰な演出が入っているところも夕刊フジらしいところですね。


一方、たまたまな気もしますが、機を同じくして二つの週間販売数ランキングがPS陣営擁護を述べていることも気になります。
電撃オンライン:週間売上ランキング
週間ソフト・セルスルーランキング

電撃オンラインの記事では、「PS2のソフトは売れている。DS市場の勢いがすごすぎるだけ」とフォロー。メディアクリエイトの記事では、上位の大部分を占めるDSソフトにはふれず、PS2PSPのゲームだけ「健闘した」と取り上げています。


このようなPS陣営をフォローするようなコメントが出てくるのは、ひとつはメディア側が、あまりにここ数ヶ月DSに報道が偏ってしまったことへのバランスを取っているのでは、ということがあります。いつまでもDSを絶賛しているだけでは、記事の新規性がないですからね。あとは、やっぱり義理というかつきあいの問題もあるかと。なんだかんだ言って、現状のゲーム業界勝者はPS2だったわけで、ソフトももっとも出ています。広告費も多数メディアに流れるわけですし、その辺の空気を読んだ、ということもあると思いますね。
基本的に、人は飽きやすく、流されやすいものです。黙っていたら結局なんとなく一番売れてるPS2がいいや、となりかねません。挑戦者である任天堂としては、常に変化のある、目新しいネタを提供していく必要があるでしょう。単なる圧勝だけでも飽きられてしまう訳なので。