PlayStation Mobile今秋より開始〜他メーカー・セミプロ・消費者への訴求なるか

国内で不調の続くPS Vita。その当初よりの目玉フィーチャーとしてあったのがPlayStation Suiteというものです。これは、AndroidとVitaとで同一のゲームが動くというソフトウェアプラットホームで、Xperia PlayなどのAndroid携帯、Sony Tabletなどのタブレット、そしてVitaでゲームIPを流用でき、ハードの垣根を超えることができるというのが売りでした。

ただ、当初はXperia PlayとSony Tabletで展開されたもののソフトも限られ、これといった話題にもならず。Vitaは以前PSSには未対応という状況でした。その後、PlayStation SuiteはPlaystation Mobileと名称を変更することを発表。いよいよ今秋より本格的に展開されることが発表されました。

プレイステーション モバイルは秋から9か国で開始、ASUS Pad や Wikipadも対応。参入メーカー発表 - Engadget Japanese

これまでソニー関連製品だけだった対応製品についても、ASUSなどが対応機器を出すことを発表。ソフトメーカーにも各種サードが名を連ねています。ただ、スクエニバンナムコナミといった国内大手メーカーの名前が無いことが気になりもしますね。

個人的には、PS Suite発表の頃から、ソニーの「ゲームビジネスのパラダイムシフト」として、ハードからソフト中心の世界に移行するための大きな柱だと思っていました。平井CEOのソフト主導構想とも合致しますし。ただ、その割にはいまいち進捗が遅いなぁ、という印象。Android版もPSSもかなり酷評されていましたからね。

4Gamer.net ― 「PlayStation Suite」とは何か? Android端末で初代PSタイトルをプレイしてみた

ソフトウェアボタンでの操作に難があるのはともかく、ハードキーを使っても操作に難があるというのが、なんだかなぁ、という感じ。ハード間互換を実現するために、間にバーチャルマシーンが入っている感じなんでしょうけど、この部分で性能喰われてしまっている感じなんでしょうか。最近のモバイル機器は性能上がっているので、このあたりは時間が解決する問題か。

あとは、「根本的に参加メーカーにどんなメリットがあるのか」というところでしょうかね。セミマチュアリエーター向けのソフト配信の場としてはすでにAppStoreとGoogle Playがあります。PS MobileのウリとしてはVitaにも対応していることですが、そのVitaがこの状態です。費用としてもGoogle Playは無料なのにPS MobileはAppStoreと同様年間約100ドルかかります。PlayStation Suiteに対応することで、Android端末でも対応するハードでしか動かない訳で、果たしてGoogle Playを上回るメリットは何があるのか。SDKのライブラリで簡単にゲームを作れるとか?このあたりが、一部のメーカーから賛同を得られていないところのような気はします。

ソニー的には、儲からないハードビジネスからソフトビジネスへの移行が図れる夢のプラットホームPS Mobile。Gaikai買収などもからめて、将来的にはPlayStationというハードは無くなってプラットホーム名としてだけで残るという戦略もひしひしと感じられます。ただ、それは主にソニーの目線なんですよね。Vitaの独自規格だらけの仕様といい、いまいちソニー以外のメーカー、および消費者に対して分かりやすいメリットを提示出来ていないのが、盛り上がりを欠いている一因のようにも感じます。成功したときの青写真でビジネスモデルをひねくり回すだけでなく、もっと分かりやすいメリット、魅力を打ち出していって欲しいところですね。