nasne、発売前日に不具合発覚、発売延期に〜HDDに輸送時起因の破損、全数再検査へ

One Sonyの号令の元、PS事業の幅広い展開を進めているソニー。そのAV関連でのソニーの発売する注目商品のひとつがnasne

PS3で地デジの視聴、録画が快適にできるtorneの後継的な商品。torneがHDDはPS3接続のものを使用したのにたいして、nasneは500GB HDD内蔵で単体動作可能。さらにBSの録画もできるという仕様。一方で、外部出力端子がついておらず、視聴にはPS3DLNA対応機器などが別に必要という、かなり個性の強い製品になっていました。

明日の発売に備え、発売日にメディアサーバー機能のアップデートを用意。
「nasne」が発売当日にDLNAサーバー対応アップデート -AV Watch
体験イベントを企画したりCMしたりと、ソニーも万全の体制を敷いていました。
nasne(ナスネ)™ 体験イベントのお知らせ

そんな中、発売前日、発送手続きなども始まっている中で、急遽発売中止が小売に通達され、にわかにネットが騒然となりました。

昼の小売通達が第一報→夕方各社ニュースに

最初にこの件を報じたのはファミコンプラザさんのところ。
(0718)(PS3)nasne(ナスネ)発売延期に - ファミコンプラザゲーム最新情報ページ

その後ソニーから忠告があったか、一端上記の記事は大人の事情で取り下げられましたが、毎日新聞が公式発表前に追加記事を掲載しました。

SCE:ネットワークレコーダー「ナスネ」 発売前日に延期へ− 毎日jp(毎日新聞)

その後は結局、株式市場が閉まる3時を過ぎても公式アナウンス無し。そうこうしている内に5時頃、各報道機関からニュースが出ました。
SCE、「nasne」の発売を延期。輸送時のHDD破損が原因 -AV Watch
「nasne」、直前の発売延期 一部HDDに破損見つかる - ITmedia ニュース
公式リリースは以下の物。
ネットワークレコーダー&メディアストレージ 『nasne(ナスネ)™』 発売延期のお知らせ

輸送時のHDD破損で回収、全台数再検査に〜謎な点もいくつか

今回のプレスリリースによれば、結局不具合の原因は「輸送時の予期せす事由によりHDDが破損」したというもの。このため、発売を延期しすでに小売に出荷していたものは回収、全台数を再検査してからまた出荷することになるようです。

気になるのは、その破損の理由と事象、そして再検査についてですね。工場での品質検査後の輸送、ということなので、工場からソニーの倉庫への移動ということでしょうか?そもそもnasneの生産がどこなのか。海外だとすると、国内への輸送の時に発生という可能性もあります。とはいえ、いくらHDDが壊れやすいとはいえ、「全台数再検査」というのもよくわからない事象です。具体的に問題があったロットが特定できないけど、不具合混入の可能性を無視できないほど、ということでしょうか。

どこでこの不具合が判明したのかも気になります。ソニーの倉庫で抜き出し検査を行った、ということでしょうか。しかし、それならばなぜ倉庫から小売へ出荷はされてしまっていたのか。17日に判明とAVWatchにありますが、抜き出し検査をする裏でもう小売に出荷していたとすると、なんのための抜き出し検査?という感じもします。同時並行で抜き出し検査やったら、その検査で大量のHDD不良が見つかった、とかそういう状態なんですかね?輸送が起因と言い切れてしまっている理由は、工場で品質検査後、ということでしょうか。HDDも、出荷状態ではそこまで豪快に壊れないとも思うのですが…。全台数再検査というと、いちいち開梱してテストプログラム走らせるなりして検査するわけで、その人的コストもかなりのものになりそうな印象ですし。

急なアナウンスに小売も客も振り回され

この、前日午後の発表ということで、小売とかも対応に追われたようです。もともと第一報が入ったのは小売で、通販では発送準備をしていたところで急遽停止。一方大手小売のAmazonやビック・Sofmap、ヨドバシなどはすでに発送手続き完了済み。ここで対応が分かれているようです。すでに小売倉庫に無いながら、多くの小売は発送のヤマトなどの運送会社の段階で発送停止の措置をとっている模様。sofmapなんかは、もし発送停止が間に合わないなら受け取り拒否してくれ、とかいう案内を出しているそうです。

一方で、ヨドバシはその発送停止の手続きはとらず、受け取って問題があったらソニーに問合せてくれ、という対応になっているようです。個人的に、このヨドの対応はどうかと思いますね。公式に発売延期、アップデートなども延期されて発売日の見込みがついていないのに、情報機器であるnasneを不具合あるかもしれないまま客に使わせるって、ヨドの品質保証に対する考えはどうなっているのか、疑いたくなります。保証開始期間も、仮にnasne発売開始が大きく遅れた場合どうなるのか。

また、上記で上げたソニーのイベントについても中止と掲載されています。ソニー広報も発売に併せていろいろタイアップ広告を考えていたでしょうに、その展開にも水をさされた形ですね。

そして、なにより一番困惑、失望、憤慨しているのは購入予定だった消費者。nasne自体結構早くに発表されており、予約も好調だったようですし、明日の発売を楽しみにしていた人も多いでしょう。しかも、買った通販によっては手元に届いちゃうところもあるようですしね。一応、不具合があろうとなかろうと、希望者は返品・返金対応はしてくれるようですが。最初故障せず、数ヶ月で壊れたとかはどうなるのか、不明なところも。

ソニーのネットワークレコーダ nasne、発売前日に延期。内蔵HDDの破損が原因。 - Engadget Japanese

謎は残るも最悪の事態は防げた?

以上、今回の騒動について触れてきましたが、発売前日の全台数再検査が必要なほどの不具合とは何か、謎は残るところではあります。一方で、それがそのまま見過ごされて発売していたら、客の元で大量に不良HDDが発生、サポートセンターはパンク、回収ということになればその送料なども膨らむなど、今回の回収以上の被害になっていたと想定されます。そう考えれば、まだ間に合ったとも言えるのかもしれません。

明日には、ヨドバシ組などは手元に届いてしまう模様。果たして、どの程度動くものなのか、何かHDD以外の不具合は潜んでいないのか、など報告が上がってくるでしょう。オリンピックももう間近。発売日がオリンピックに間に合うのかどうかも気になるところ。平井CEO新体制の注目商品の出発で思わぬ汚点がついた形ですが、ある意味では注目度と知名度はあがったとも言えます。この先どういった展開、対応になるのか注目です。