PS2アーカイブス、PS3で7/25から配信開始

「互換性はPSの美学」という久夛良木氏の言葉が印象深いPSハードでの互換性。PS3当初は「PS2のチップそのままのせる」という荒業で互換性を維持していましたが、それが結果的に大きな逆ざやを招いて多額の赤字を発生。その後、部分的に互換性を無くした新型番を海外で出した後、日本では40GB版から結局完全にPS2互換を取り払うこととなりました。

それからは、PSVitaでもUMDが取り払われるなど、物理的な互換性よりもアーカイブスや個別対応での互換が主となっていたPS。PS2関連も、「HDリマスター」という移植の形での対応が多かったのですが、ここに来て「PS2アーカイブス」として日本で配信されることが発表となりました。

「PlayStation®2アーカイブス」を7月25日(水)より取り扱い開始PlayStation®3でPlayStation®2のソフトウェアがプレイ可能に | プレイステーション® オフィシャルサイト

SCE:日本でもPS2のゲーム配信開始 PS3で25日から - MANTANWEB(まんたんウェブ)

海外では昨年10月4日には開始していたサービスですね。

まさかのPS2アーカイブス開始、現在北米のみでサービス決定!!

日本はそれに送れること9ヶ月、というところでしょうか。ラインナップとしては、あくまで少しずつ追加される形になるようですね。PS3PS2ではアーキテクチャ的な違いが大きく、PS3PS2も独特すぎるアーキテクチャですので、単純にソフトエミュレータでの対応は難しいのでしょう。エミュレータ的なものは用いながらも、ある意味コンバート的なことで抽象度を高めた実装に変換しているものと思われます。

現状はPS3のみの対応〜VitaやPS4では?

このアーカイブスのサービス、今のところPS3のみでの対応。PSVitaでもP4Gとか出ているように解像度的にもPS2対応してもらいたいところですが、現状は対応していません。PS2エミュレータはPCでも結構なスペックがいるようですので、スマホライクなVitaではちょっと厳しいのか?この辺、アーカイブスがどこまでプラットホーム独立性をたかめているか、次第ですね。

先日のGaikaiの発表で、自分はクラウドゲーミングで互換性を実現するんじゃないかとコメントしましたが、こちらは素直なアーカイブス。PS2互換は基本アーカイブスで行くのでしょうか?Gaikai、PS2アーカイブスと併せて、ソニーの言う「ネットワークで金を稼ぐ」という準備は着々とすすんで来ている感じです(本当に稼げるかどうかはともかくとして)。SENのネットワークでのPSコンテンツ流通という視点では、このPS2アーカイブスPS3のみにとどまらず、おそらくこの先のソニーハード、下手したらプラットホーム化して別のハードなどでも動作してくるかもしれません。

既存ユーザーにとっての位置づけ〜Passport的なものも期待

一方で、既存のPS3ユーザーにとってはどうか。もともと、初期のPS3では保証されていたPS2互換。これは、手持ちのPS2ゲームを直接動作できるものでした。それに対して、このアーカイブスは任天堂のVCと同様別物扱い。手元にディスクがあっても買いなおしとなります。各種ゲーム機では一世代前への互換性はある程度あって当たり前、PS VitaでもDL版は多数対応しており、UMD Passportという対応で既存ユーザーへの割引も行っています。せっかくUMD Passportという前例もあるんですから、PS2アーカイブスPS2ディスクを持っていれば割引価格で買うことが出来る、というサービスがあってもいいようにも思いますね。もっとも、もともとの価格が800円から1500円と安めに設定はされていますけど。

「ソフト&ネットオリエンテッド」な世界へ

今日はソニーからはMusic Unlimitedという配信サービスについてのニュースもありました。ハード主体から、ソフトとネットワーク主体へ。平井CEOの掲げるビジョンに向けた取り組みがどんどん示されている形です。ゲームという点では、特にボリュームという点ではスマホ系よりも圧倒的に質・量ともに抱負なコンテンツがPSにそろっているのは確か。PS2時代のコンテンツをアーカイブスで、PS3やさらにその先のクオリティをクラウドで、というのが一つのソニーの描くエンターテイメントの未来でしょうか。

ソーシャル、配信、そしてそれを動かすハードと、様々な企業が対立、連携しながらしのぎを削っている現在のテクノロジー分野。まだまだこの先どう動いていくか分からない中、どういった未来が実現し、どこが生き残っていくのか。はたまた、全く新しいところがまだ出てくるのか。LINEがプラットホーム化とかのニュースも出ましたし、めまぐるしく世界は動いています。これからも一消費者として動向を注目していきたいと思います。