コンプガチャ、消費者庁が正式に違法見解〜7月から措置命令対象に

GWから世間を騒がせ続けていた「コンプガチャ」騒動。様々なソーシャルゲーム会社の株価にも大きく影響し、これまで続けてきたえげつない商売も一般の目に晒されてイメージが悪くなっていたところですね。そんな中、先週の各種報道で「次週にも消費者庁として見解を示す」と言われていた件について、約束ぎりぎりの今日、ついに見解が公開されました。

「ビンゴガチャ」も景品表示法違反…消費者庁 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
コンプガチャ、7月1日より違法――消費者庁が見解を正式に示す - ファミ通.com
コンプガチャ正式に違法判断 どうなるソーシャルゲーム!?
コンプガチャは景表法違反、消費者庁が正式見解 - ケータイ Watch

最初に大まかな「違法」の判断のニュースが出て、あとから実際に詳細な資料が掲載された形ですね。以下が具体的資料です。

「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表 及び 景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて(PDF)

現時点で違法の判断〜法的措置は7/1から

上記のニュースの報じ方で、ファミ通は語弊のある見出しとなっています。別に違法なのが7月1日からではなく、これまで明確な見解を示していなかったコンプガチャにたいして、現時点でも違法と判断しています。7/1まで違法じゃないというわけじゃありません。投資家とかで勘違いしている人もいるようですが。ただ、あくまでこれから行政としての運用を変えていく、という形であるためパブリックコメントを集め、それをうけて運用と移るため、実際に法的効力のある措置命令が下せるのが7/1になるということのようです。7/1までに違法だったコンプガチャの件の返金が認められるかどうかは、専門家でも意見は分かれている模様ですが、難しいという声の方が多いですかね。もっとも、業界的には5月末には廃止と言っているので、6月になってもまだアウトなことをやっていたらますます世間の目は厳しくなるでしょうけど。

「ゲーム上のアイテム」も「経済上の利益」〜景品とみなされ絵合わせ規制の対象に

一方で、上記資料では具体的該当する案件をかなり具体的に説明しています。ポイントになるのは利用者の「利益」。これの解釈が結局いままでサービス会社側では甘く、デジタルデータのアイテムなどでは該当しないと解釈していたようですが、今回これらを「ゲーム上の有利な状況を作れる」などとして「便益」とみなし景表法上の「経済上の利益」に分類。これにより、ガチャのアイテムが「景品」に該当することとなります。

ガチャそのものついては、くじと景品との一対一対応がとれているので、とりあえず景表法上では問題になりません。(こっちはこっちで「確率が見えないところで好き勝手やってる」ということで別の法律に引っかからないか検討はされているようですが、今回の景表法の話とは無関係となります。)問題なのはコンプガチャのように、「異なる種類の符票をあわせる」という「絵合わせ」の規程に該当するもの。これが景表法上の「懸賞」に辺り、違法扱いとなるわけです。これは結局異なる絵柄を組み合わせて、別の「利益」となるものを利用者が得ることは全部触れてしまうため、コンプガチャでなくてもビンゴガチャのような「異なるものを揃える系」はアウトになる模様です。

ソーシャル各社は真摯に対応を表明〜実質的な変化は?

こうした内容に対し、ソーシャルゲームの各社は一応「真摯に対応」と発表しています。

[コンプガチャ]プラットフォーム6社 消費者庁の見解を受け対応を発表/ゲーム情報ポータル:ジーパラドットコム

とはいえ、先日の「5月中に廃止」と言った後も各社いろいろ亜種ガチャを展開しており、コンプガチャそのもので無くても、実質射幸心を過度に煽っているのには変わらないようなものもあります。今回の見解「だけ」をかわす商法を押し出していたら、世間の彼らに向ける目はますますシラケたものになってしまうでしょう。

他の規制はありうる?自浄作用で回避なるか

今回、とりあえずコンプガチャは現行の景品表示法で明確に「黒」と決められました。これ自体を回避しながら、これまでと同じビジネスを続けること自体は出来るでしょうが、結局根本的な問題が「射幸心を煽られて極端な重課金をしてしまうこと」にあります。それを防ぐ一つの手立てとして使われたのが景表法にすぎず、各社が「射幸心煽って重課金」の方針を辞めない限り、別の法律の適用、下手をすれば新法とかにもつながりかねません。

ある意味、業界は自分たちで儲けを減らす方向に舵を切らないと、国の介入が止まらない可能性もあるのですが、そういった自体まで事態を大きくしてしまったのは、これまで自主努力で問題を改善できていなかった業界側の自業自得とも言えます。はたして、コンプガチャの次に打つ手で、社会に受け入れられるような健全なビジネスを打ち出せるかどうか。完全プリペイド性にする、ガチャの確率や入っているものの残りを明示するなど、いろいろ健全な方向の対策は考えられるはずなので、それを儲け度外視で採用できるかどうか。他にもオンラインカジノ化みたいな話もありますが、これはこれでギャンブルとしての明確さが必要でしょうしね。

新しい産業が世間に受け入れられるかどうか。各社のCSR意識を今後も注意深く見守っていきたいと思います。