「コンプガチャショック」でソーシャルゲー関連株暴落〜モバゲー・グリーはストップ安に

5日に読売新聞が報じ、他の報道各社も追従して大きな騒ぎとなった「コンプガチャ」へ対する消費者庁違法認定。

課金ビジネス行き過ぎにメス〜消費者庁が「コンプガチャ商法」に中止要請 - わぱのつれづれ日記

GW明けの株式市場でも大きな影響をみせ、フランスの大統領選での交代劇も併せて大きく株価が下落。ゲーム関連の株価が特に大きく下がりました。その中でも、コンプガチャ商法への依存度が大きいモバグリ両社はストップ安に、同じくコンプガチャで既に大きく利益を上げていたコナミバンナムも大きな下げを見せています。

時事ドットコム:携帯ゲーム関連株が急落=「コンプガチャ」違法の可能性で

ゲーム業界の中で、唯一稼ぎが見込める「錬金術」を行っているとして個人投資家などからも注目されて売買されていた銘柄なだけに、その錬金術が崩れかねない状況が投資家心理に大きく影響した印象です。

消費者庁はまだ「見解公表準備中」

一方で、株式市場が引けてから、ケータイWatchで以下のような記事が掲載されてまた大きな波紋をひろげました。

消費者庁が報道否定――SNSのコンプガチャ問題 - ケータイ Watch

タイトルからしてまるで各種報道機関の発表を全否定するかのような記事、さらに文中のサブタイでも「報道を真っ向から否定」と書かれています。しかし、よく読むとこの記事を書いたのは津田啓夢という携帯関係のライターで、記事の内冒頭の消費者庁長官のコメントは4/24のものと、誤解をまねくような書き方になっています。「検討内容を公表するかどうかも未定」と書いてあったり、担当者コメントとかいてあるところを津田氏がツイッターでぼやかしたりと、ミスリードを招くようなあまり完全ではない記事となっていますね。

それ以外に消費者庁への裏を取ったと思われる記事もいくつか出ています。

DeNAとグリー株がストップ安、景品表示法違反との報道−東京市場 - Bloomberg
「事業者名を出して規制の話をしている段階でない」コンプガチャ問題で消費者庁 - CNET Japan
ソーシャルゲームのコンプガチャ問題について、消費者庁、6社連絡協議会など関係諸団体に聞く - ファミ通.com

ブルームバーグの記事は表示対策課の課長名まで出ていますね。これらの記事はいずれも津田氏のような「報道否定」という書き方にはなっておらず、「検討段階」といった姿勢での書き方になっています。コンプガチャが絵合わせに該当というところは、4/24付けの長官コメントでも触れられており、それに基づいて役人が見解公表準備中、というところのようです。

注目される見解公表と各種ゲーム会社の対応

読売の記事は、こうした状況を見ると飛ばし記事のひとつではあると思います。ただ、記事自体では特に特定事業者向けに名指しで命令という感じではなく「近く見解公表」となっており、上記の記事とそこまで異なったことを報じているわけでもありません。ただ、市場の反応とかを見る限りでは、決定事項が公表されたと捉えられていたようにも思います。

ケータイWatchは真っ向否定と書いてますが、他のメディアの追加記事を見る限り、「コンプガチャの違法性について見解公表」という大筋自体はあっていそうな感じです。まずこの見解を文章で公開し「違法行為ですよ」と公知、それを受けてゲーム会社側で中止してもらうのを待つというところなのでしょう。違法と指摘されてやめないようなら、それは具体的な対策が必要となりますが、ここはまだ確定事項は無いとのこと。

もっとも、実際に違法認定されて堂々とソーシャルゲー各社が堂々と違法行為を続けるかというと、それもどうか。社会倫理的に受け入れられない気もするんですよね、何も対策をしないなら。現状、パチンコ・パチスロは既にかなりの規制が入っているだけに、一旦こうした動きを国が見せ始めた以上、手を変え品を変えて法の隙間を縫うようなやり方は通用しないようにも思うんですけどね。今回は消費者庁でしたが、風営法絡みでの牽制もあるみたいですし。

CNETの記事によれば、5月半ばにも見解が公表される見通しがあるとか。その内容がどの程度か、またそれを受けてどの程度ソーシャルゲーム会社が真摯に対応するか。反社会的と見られてきて各種ゲームそのものにもとばっちりがきそうな流れなので、まずはソーシャルゲーム各社が下手を打たないことを期待したいところです。とりあえずグリーが5/8、モバゲが5/9に決算発表なので、その時に何か語られるかどうかですね。