VitaやAndroid向けアプリ&ゲーム環境〜PlayStation Suite 4月からオープンBeta開始

苦戦の続くPS Vita。最初の2日で32万台売って以降はすっかり売れ行きの伸びも鈍化し、今やPS3PSPの初期の伸び方をも下回る状態となっています。3G版については当初ソニーが主軸と位置づけし、「まず早くさばく」と言っていた初回限定版50万台はいまだ半分が残る状態。2月度はドコモの月間プリペイド契約数報告によれば1.3万台。2月のペースのままだと後1年半ぐらいさばくのにかかるようなお寒い状況となっています。

契約数月次データ : 携帯電話等契約数 | 企業情報 | NTTドコモ

そんなPS Vitaですが、3/9には各種新情報を公開するという「ようこそ!PS Vitaゲーム天国」というオンライン発表会が企画されています。

SCEJ、イベント「ようこそ!PS Vita ゲーム天国」。ゲーム開発者が語るティザームービーを公開 - GAME Watch

すでにYahooでもプレサイト的なものがオープンされていますね。

Yahoo!ゲーム - PS Vita特集

PS Vitaを取り巻く状況が状況だけに、この発表会に掛かる期待は非常に大きいものがあります。そんな中、先んじて本日発表となったのが、個人的にソニーのゲーム戦略の鍵となると考えているPlayStation Suiteのオープンベータについてです。

ソニー、 PlayStation スイート SDKの無料オープンβを4月開始。99ドルの正式版は今年後半 - Engadget Japanese

Vitaと複数Android機で同一ソフトを動作可能

PS Suiteとは、これまで特定コンソールのハード固定だったPSのゲームを、AndroidやVitaの双方で動くようにするソフトウェアぷらっとホーム。Androidについては、ソニーのハードだけでなく、ライセンス式で他のメーカーにも(原理的には)対応可能。PSS Certifiedの認証マークがあれば、PSS対応のゲームやアプリを楽しむことができます。現状iOSAndroidという形でAppleGoogleがこの分野を二分していますが、ソニーソニーなりに底に独自のソニーエコシステムを築きあげようという形ですね。

ソニー タブレット WiFi Sシリーズ メモリ32GB SGPT112JP/S

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現状で対応しているのは、Sony TabletXPERIA Playなどソニー商品のみ。Vita向けもクローズドベータの段階では対応していませんでした。ただ、このオープンベータではVitaでも動作するソフトを作れるようになるようです。

操作遅延など現状は課題あり?

PSS向けにはいくつかPS1のゲームが出ているようですが、その出来や使い勝手は現状あまり良くない模様です。

4Gamer.net ― 「PlayStation Suite」とは何か? Android端末で初代PSタイトルをプレイしてみた

タブレットでソフトウェアボタンを使った動作で遅延がありいまいち、というだけでなく、XPERIA PlayやDualShock3などをつないだハードボタンであっても遅延があるとのこと。このため、RPGやADVのような遅延がある程度許容できるものはよいですが、アクションやスポーツなどは厳しい使い勝手みたいです。

PSSuiteというソフトウェア互換性を保証するプラットホームであるため、おそらくFlashやJavaVMみたいな形で一旦一つ実行環境を挟んでいるんでしょうね。この部分の重さが、遅延などに影響しているのかもしれません。そもそも、遅延がある状態で認証が取れてしまう、というのが、いくらソニー自社製品だとはいえ先行きに不安を感じるところではあります。

Vita向けの自作アプリに期待〜将来は年間$99

一方、オープンベータから注目となるのはなんといってもVita対応。SDKを通じて、Vita実機での動作も試せるようです。とすれば、誰かがアプリを開発してソースをネットで公開すれば、それを落として自分でSDK経由でVitaに自作アプリを入れられちゃう、ということですね。ベータの間はPSStoreで配信できないとなると、アプリ開発者が複数のデバッガーに試してもらうような場合にはこういうことをする形にならざるを得ない気がします。

ただ、PSSuiteのライセンス的にオープンなネット環境にソースを公開することは禁止されているかもしれませんね。そうなると、あくまで知り合い同士や会社などの中だけでのやりとり、ということになってしまうかもしれません。

正式版では、年間$99の料金がかかる模様。これはAppleiOS向け開発ライセンスと一緒ですね。あちらもXcodeという開発環境とSDKまでは無料で、エミュレータ上での動作までは無料で出来るのですが、最終的にiPhoneにデバグ用であれ書き出すには有料会員になっている必要があり、これが年間$99です。おそらく、PSSuiteのSDKも、実機に書き出すためにソフトに署名するためには有料会員になって鍵を配布してもらう必要があるんでしょう。

とりあえず、オープンベータということですので、どの程度のことが出来るのかは興味はありますね。ソース公開とかに縛りがないなら、正式運用が今年後半ということですので前半はいろいろ遊べる気もします。カメラを使ったアプリ、背面タッチを使ったアプリ、ネット掲示板などのリーダーアプリなどいろいろ生まれると、「自作アプリの無いスマホ」扱いを払拭できるかもしれません。4月開始のベータ、いろいろ楽しみです。