WWDC アップル基調講演〜Lion, iOS5, iCloudの詳細披露

MicrosoftのE3カンファレンスとちょうどバッティングする形で開催されたWWDCApple基調講演。ジョブズが登場するということでやはり多くの人に注目されていましたね。

速報:アップル WWDC 2011 基調講演

今回は事前に発表内容としてMacOSX Lion、iOS5iCloudと発表項目が明らかになっていました。iPhone5は元々間に合わないことは予想されており、iPhone4の拡張版的なiPhone4Sが出るのでは、とも予想されていましたが結局何もありませんでした。ソフトの発表だけで、その点ではちょっと残念でしたね。

iOSとの親和性が高くなったLion

まずLionについて。前から大まかなところでのアナウンスはされていましたが、その詳細が明らかになりました。

Mac OS X Lion の新機能詳細。App Store 専売で29.99ドル、7月発売
アップル - OS X Lion - 世界で最も先進的なコンピュータのオペレーティングシステム。

全体的に、マルチタッチジェスチャーが拡張され、iPadライクな操作ができる印象ですね。MacBook以外のユーザーはMagicTrackPadが欲しくなりそうな内容です。その他、フルスクリーンのアプリケーション実行が充実。スワイプでアプリ切り替えすることで、全部フルスクリーンで使い分ける、という使い方も増えそうです。なんか、DOSの世界というか、古いMacというか。元々Macはメニューバーが上部固定なのでこのソリューションは親しみ安いかもしれません。

アプリのレジューム機能、自動セーブ機能などもiOS的な使い方ができるイメージですね。もっとも、MacbookAirだとそんなに頻繁にアプリの起動終了しなかったり、普段もずっとスリープなんであんまり使わなそうですが。

LaunchpadはまさにiOSのホーム画面。Windowsでデスクトップにアイコン並べまくって使っている人を見かけますが、あんな感じですかね?自分は普段ドックを使っているので、果たしてこの使い方になじむかどうか。全般的に、なまじ過去の操作に慣れてきているだけに、このiOS風の操作へのシフトに移行するかどうかが悩みどころですね。

ちなみに、日本では2600円で7月発売。Core2Duo以上のCPU、Snow Leopard最新版が必須、販売はMac App Storeでのオンライン販売のみとなっています。OSアップデートがオンラインのみというのは、Winメインでやってきた自分としては不思議な感覚ですね。

クラウドやPC Free関連の強化されたiOS5

つづいてiOS5について。

iOS 5 は通知 UI を大幅改善、ロック画面からも確認・直接オープン
アップル iOS 5 発表。PCから独立やアプリ大幅強化、Twitter統合など

iOS4ではマルチタスクが大きなフィーチャーでしたが、iOS5ではPC Freeが大きな要素ですね。また、iCloudとも密接に絡んでいます。アクティベートもオンラインで、そしてソフトの更新もネットから。これならば、iPadをあまりPCに詳しくない親とかに与えるのも楽になりそうです。PC無しでiPadだけ、というところも増えるかもしれませんね。

それ以外では全般的に、これまで定番アプリで実現されていたことが標準でできるようになった、というところが多いですね。通知機能については、古くはPocket PCのTodayみたいな感じでしょうか。メール未読、着信履歴などが一覧で確認できたりします。カメラに付いては、ロック画面からショートカットで呼べるようになったのは便利そう。間違って押さないといいですけど。Twitterが内包されましたが、普段はEchofonでAiriPhoneの同期とってるのでどうですかね。使い勝手次第でしょうか?それともEchofonがiOS5APIを使って実装するのかな?

その他では組み込み辞書機能、雑誌系アプリを一括管理できるニューススタンドといった機能も。メールでは、メールにフラグが付けられるようになったのは大きいですね。重要なメールをメモがわりにしるしつけておくとかよくやるので、これがiPhoneで出来るのもありがたい。ただ、Gmailだとフラグはちゃんと星に対応してくれるのかどうか。iCloudもそうですが、なまじGoogleで固めていただけにそれとのバランスが悩ましそうです。

その他、SMSなどのショートメッセージの部分がiMessageという形でメッセンジャーとしてiPadiPod Touchでも利用可能に。携帯のショートメッセージとやりとりできるのであればおもしろそうですね。

ゲームセンター機能は、マーケットプレイス的な機能もついてゲームを中から帰るように。実績のポイント化などもまさにXboxLive。このあたりはかなり徹底してMSのパクリをAppleがやっている感じで、ちょっと感慨深いところもあります。

中間デバイス的なクラウドサービスiCloud

そして今回のApple的目玉なのがiCloudです。

アップル iCloud は秋登場、無料で写真・音楽・アプリデータをクラウド同期
iTunes が iCloud に対応、リッピングデータを iCloud で共有する iTunes Match も

世の中にすでに多数のCloudサービスがあり、自分もGoogleメール&カレンダーの同期、Evernoteでの文書、Dropboxでのファイル共有など多用しています。これを全部統合した形で、より目立たないように動機させてしまえというソリューションがiCloudですね。

まずmobilemeが再構築され、各デバイスに@me.comのアドレスと5GBのフリーストレージが与えられます。これとは別にiCloud独特の無料サービスとしてPhoto StreamとiTunes Cloudです。Photo StreamはPhoto内の特別なアルバムとして構築され、このアルバムの画像はiCloudを通じて自動的に他のデバイスに動機されます。最大1000毎、30日までクラウド上にためておける模様。これが無料の条件ということですね。また音楽の方はiTunesで買う際にCloudかどうか選べ、Cloudなら後から自動ダウンロードとかの設定も可能。10のデバイスまで転送可能です。iOS4マルチタスクと一緒で、ある程度の制約をつけることでサービスのトータルの質を維持しようというアップル的ソリューションになっていますね。

また、iTunes MatchはライバルのAmazonGoogleが各々ユーザーが自分の曲をネットに上げてしまえるサービスをしているのに対抗するような形。ただこちらは持っているデータとiTMSのデータとで照合するだけで実際にはアップロードしないため、セットにかかる時間が大幅に少なくて済む、としています。ただ、年間$25のサービスです。

その他のメール、カレンダー、アドレス帳関連はGoogleのActiveSyncで出来てしまっていますし、いまさら乗り換えるのも大変でしょうから使わないような気はしますね。

まとめ〜便利なソフト・サービスが盛りだくさん

以上ざっくり触れてきましたが、ソフト中心の発表だけに、いろいろ使ったら便利そうなサービスも多くあってアップデートが楽しみですね。iPhone5なり4Sなり、新デバイスの発表がなかったのは残念でしたが。一方、これまで定番ソフトでこなしていたサービスが標準化することで、アプリ市場の勢力図も大きく変わりそうです。物によっては一気に売上が落ち込むソフトも出てきてしまいそうです。

あとは、iCloud関係で一気にネットを使うデータ通信が増えたので、ソフトバンクの回線がパンクしてより一層通信品質が落ちてしまうのも懸念点ですね。テザリングみたく、日本では一部iCloudの機能が使えない、みたいな馬鹿な制限はやめてほしいですが。自分はWiMAXルーター持ちなのでこっちメインで行くのでいいんですけど。

ともかく、PC FreeやiCloudの使い勝手がどんなものか楽しみですね。iCloudSDKが今日から、iOS5は秋のリリースということでもうちょっと先になります。もしかしたらiOS5発売とiPhone5が同時、という可能性もあるかもしれませんね。またこの先の発表を楽しみにしていたいと思います。