PSN、日本でも明日より段階的復旧開始〜無償提供ソフトも発表

昨日の業績報告会で「5月中の復帰をあきらめない」としていたPSN。その表現に、これは5月中は難しいのでは、という感想を抱く人も多かったようですが、今回は有限実行となりそうです。28日からの段階的復旧が公式にアナウンスされました。

Sony Japan | ニュースリリース | PlayStation®Network・Qriocity™(キュリオシティ)の一部サービス 日本およびアジアの国・地域でも再開

明日より復帰するのは以下の機能となります。

海外と一緒ですね。ショッピング関連でないオンライン機能を復活するということです。これで、オンライン対戦が出来ず不満を持っていたユーザーはやっとオンラインプレイができるようになります。一方、PS StoreDLCといったお金が関わる部分については、まだ復帰対象になっていません。さらに、残っていたアジアのうち、韓国と台湾については上記の対戦機能などもまだ復旧の見込みには至っていないようです。

経産省から個人情報保護法に基づく「指導」も

今回、日本で復帰が長引いた要因としては、以前に経産省が報告を繰り返し求めていた、カード会社が情報を求めていた、といったことが朝日新聞の記事で出ていました。今回、これを裏付けるような形で、経産省からソニーに対して個人情報保護法に基づく指導が出されています。

株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントに対する個人情報保護法に基づく指導について(METI/経済産業省)
経産省、SCEに再発防止を指導 PSN個人情報流出問題 - ITmedia ニュース

この中で一つ興味深いのは、ソニーの技術的・組織的安全管理体制に不備があったとはっきり認めていること。公知の不具合を放置していたこと、情報漏洩時の体制がマニュアル化されていなかったことなど、ソニーの過失を指摘しています。この点は、各国で起こされている裁判において、ソニーにとって不利な材料となりそうですね。

また、こうした不備がある上で、対策を行わなければソニーが法律で罰せられることになります。このため、ソニーはその汚名をかぶらないため、責任を果たすべくカード会社への情報提供やセキュリティ対策の強化に務めていた訳です。経産省的にも、全てが完全に施行されているわけではないことが文章からも読み取れますが、一応の評価を下し、それら施策が完全に遂行されることを前提に「指導」という形で再開の許可を出した、という感じですね。

個人への補償はSCE製ゲーム4本〜個人保険は無し

一方、この個人情報漏洩とPSNの長期間停止にたいしての補償もソニーから打ち出されています。

いずれもSCEの提供しているもので、とくにSCEJ製のものが多いですね。ちなみに米だと以下のような感じです。

ソニー、米国/欧州などでPSN/Qriocityをサービス再開 - 補償内容も発表 | 経営 | マイコミジャーナル

自分はこうしたSCEJの路線は嫌いではないので、そこそこ魅力的なのですが、いかんせん地味な印象は否めませんね。ネットを見ていると、PSNの復帰よりもこの補償ソフトがいまいち、という声のほうが見受けられたりします。

個人情報漏洩監視・補償の個人保険は無し〜カード会社が対応

また、大きな違いとしては日本では個人情報の漏洩を監視、さらに被害があったときに補償するような個人保険が提供されません。これは、結局そもそもそういう保険が日本にない、というのが大きく、原則カード会社が補償するため、ということのようですね。そのため、カード会社が顧客情報をソニーに求めていて、それに応じたことで経産省の指導もクリアしてきている、という状況のようです。

とはいえ、カード会社がどの程度しっかりと監視してくれるのか、あまり皆経験がない事態だけに、この処置で不安を払拭できるかどうかは未知数です。迷惑メールが増えたりしたときに、やはり「PSNのせいでは」という不安はつきまといそうに思います。ソニーは実害がないことを繰り返しますが、消費者的には「漏れた時点で実害」ですよね、実際は。このあたり、消費者がおとなしく納得してくれるかどうか。

信頼回復と平常状態への復帰への努力に期待

ともかく、なんだかんだありましたが5/28からオンライン対戦などは復活するようです。海外のように開始直後にログイン集中でサーバーが落ちるとか、別のセキュリティ欠陥が見つかるとか、そういった失態は繰り返さないようにしてほしいですね。

6/7にはもうE3が開かれます。よくも悪くもゲーム業界の話題を独占していたソニーですが、E3に向けポジティブな内容で皆が盛り上がれるよう、一刻も早く、またしっかりと復旧に努めていただきたいものです。