iPhone4の受信感度低下問題についてAppleが公式見解〜感度計算の不備・ソフト更新で対応

世界中で爆発的な売れ行きをしめし、品薄も続くAppleのiPhone4。日本でも、非常に好調な売れ行きを示しており、予約しながらも未だ買えない人の声が溢れていたりします。

一方、そんなiPhone4なのですが、発売直後から持ち方によって受信感度が著しく低下するというニュースが報じられ、大きな問題となっていました。

iPhone4、握り方によって受信感度が悪くなる不具合 - わぱのつれづれ日記

自分も店頭の展示機で試してみたのですが、軽く左の手のひらに載せて持つ感じでは特に低下は無し。一方、下側をぐっと握りこむようにするとグングンとアンテナが減少していく状況は確認できました。通常使う分にはそこまでこの問題が如実に使い勝手に影響はしないような印象でしたが、場合によっては簡単に発生しうる不具合であり、根本的な設計上の不備である感じは否めません。

これに対して、ジョブズが以前メールで「そういった持ち方をしなければいい」といったコメントを返して炎上気味になっていましたが、今回米Appleから公式見解が出され、日本でもその和訳が掲載されています。

Letter from Apple Regarding iPhone 4
iPhone 4に関するAppleからのお知らせ
iPhone4、Appleはアンテナ表示ソフト修正を発表し謝罪 -INTERNET Watch
iPhone 4 の感度問題はソフトウェアが原因、修正予定(アップル) - Engadget

Internet Watchの記事タイトルでは一応謝罪、ということになっていますが、その内容を見るとかなり引っかかるところもあります。根本的なところとして、iPhone4の持ち方による受信感度低下については「仕様」と冒頭から開き直っているところ。さらに、公式リリースの中で「他社もそうだ」と他社製品名を直接あげて述べているところは、ちょっと日本人の感覚では受け入れられないのではないでしょうか。具体的に他社携帯でどういう持ち方をしてどの程度受信感度が落ちるのか示して批判するならともかく、単に名前をあげるだけでは、ほとんど誹謗中傷というか、言い逃れレベルになっているように感じます。

その次の、受信感度の表示の部分の説明もかなり衝撃的です。そもそも、iPhoneの旧モデルも含めて受信感度表示をこれまでより多く表示していたということが明らかにされています。つまり、受信感度に下駄がはかされていた形。たしかに、3GSを使っていても電波表示が数本あるのにつながらない、ということは遭遇をしたことがありますが、まさか本当にアンテナ表示が間違っていたとは。Engadgetの記事のコメント欄でも指摘されていますが、仮に意図的にやっていたなら完全に偽装もので大問題ですし、そうでないとしても長期間この表示が狂っていることに気がつかなかったとすれば、Appleの品質チェック、認証機関の審査体制など、様々なところに問題を抱えていたということになります。どちらにしろ、信頼性を損なう内容となります。

そして、最後の対策としては、この受信感度表示をより正確にし、受信感度低下がすぐわかるようにするから、感度が落ちるような持ち方をしないで欲しい、というもの。根本的な解決になっていませんよね。それが分かっているからか、最後の部分では30日なら返品を受け付けるという、「気にならないなら買わなくていいよ」的な表明。iPhone4の受信感度低下を、ハード的にこれからどうこうするのは実質製品デザインからやり直しとなり、不可能に近いということで、こういった見解になっているとは思うのですが、正直読んでいてこれに心から納得出来る人は少ないのではないでしょうか?

とくに、日本のアップルは、この見解を単に和訳文書という形でしか掲載していません。トップページからの分かりやすいリンクも無し。文章も、米国の文章をそのまま使っている形です。上記で自分が上げたような、日本人からするとかなりひっかかる表現は、本来日本法人なりに文章の工夫を行う必要があるようにも思うのですが、そういった対応はとっていない模様。このあたり、米国企業のトップダウン経営の場合によく陥るところではありますが、印象は良くないと思います。

とはいえ、そうしたネガティブな面があってもなお、Appleの製品は十分に魅力的であり、需要はまだまだ十分にあります。常用レベルでは問題ないからと、とくに気にかけない人もいるでしょう。ただ、それはそれ、これはこれ。とりあえず、Appleのこの対応が理にかなったものなのかどうかは、すでに集団訴訟の動きなどもあるようですので、そうした舞台できっちり白黒つけてもらいたいですね。