PS3 他OSインストール機能削除の余波〜ソフト販売停止やクレームなど

先日、セキュリティ脆弱性の問題からPS3での他OSインストール機能の削除を発表したSCE。その発表に対する余波がいくつか及んでいます。

PS3 Linux向けH.264エンコーダ「CodecSys Personal」販売停止へ

SCEの発表と呼応する形で、これまでPS3 Linux向けにOSやソフトの有料、無料提供をおこなっていたFixstarsが、H.264エンコーダについての案内を出しています。

CodecSys Personal PS3システムアップデートに関する重要なお知らせ | H.264 エンコーダ CodecSys

こちらによると、4/1からソフトの販売、およびバージョンアップサポートの販売を停止するようです。今後利用者が増えることが無く発展性が望めないプラットホームでは、商売が見込めないということなんでしょうね。今後も、こうしたPS3 Linux向けソフト、開発環境などの縮小、廃止は進んでいくでしょう。

特に、研究機関などでPS3を使っていた人などは、今後開発環境周りの改善やバグの修復なども見込めない訳で、結構深刻な状況になるかもしれません。先日のうるう年バグも、LinuxPS3のシステムクロックにアクセスしたところ異常な値を返していることが発覚し、うるう年関連の不具合だと露呈していました。

SCEがPSN関連のPS3不具合について状況報告〜24時間以内の解決を約束 - わぱのつれづれ日記

これらは、旧型本体に起因するバグと思われ、時刻が狂う自体がLinux利用においてもトラブルとなる可能性もあるのですが、そのときにはLinux関連の有志もサポートも期待できません。バージョンアップせずLinuxを利用し続けることでさえも、いつ出来なくなるかわからない状態になるわけです。

海外公式ブログには苦情が殺到

アメリカ、およびヨーロッパのPS公式ブログには、大勢のユーザーのクレームであふれかえっています。

PS3 Firmware (v3.21) Update – PlayStation Blog
PS3 Firmware 3.21 Coming April 1st – PlayStation.Blog.Europe

アメリカの方では実に3000件以上、ヨーロッパの方でも900件近くの書き込みがなされています。その多くは、機能削除に対する苦情です。特に、初期型のPS3を$600とかで購入していた人からすれば、裏切られた感も大きいでしょう。ゲームかLinuxのどちらかをあきらめなければならなくなるわけですし。もしかすると、集団訴訟の危険性も含んでいるかもしれません。
(個人的には、両公式サイトのTwitterで日ごろ各種イベントやブログ更新をTweetしているのに、このファームアップに関するTweetが無かった件も引っかかるところではあります。)

不利をこうむった正規ユーザーへのフォローに期待

セキュリティ脆弱性問題に対して、機能を削るという大きな決断に出たSCE海賊版の危険性に対して強い姿勢で臨むことは歓迎ですが、一方でこれまで問題なくLinuxPS3を使っていた人たちが多数不利益を被り、不満を持っている事態も露呈されています。こうした声を、ただ黙殺するのか、それとも何らかのフォローを行うのか。サーバーダウンで無料チケット配布といった対応はちょくちょく聞くことはありますが、本体機能を一方的に削除する、という事態はあまり聞いたこともありません。今後のPS3に対するイメージ向上を考えるのであれば、できれば黙殺でなく何らかのフォローをしていただきたいな、と思います。