Xbox360用ソフト「テイルズオブヴェスペリア」正式発表
先日、ジャンプフラゲ情報を元に報じた、Xbox360用RPG「テイルズオブヴェスペリア」の国内販売決定。
「テイルズオブヴェスペリア」国内でもXbox360で発売決定 - わぱのつれづれ日記
本日のジャンプの発売を受け、公式にバンダイナムコおよびマイクロソフトから発表され、各種メディアが報じています。
バンダイナムコ、Xbox 360「テイルズ オブ ヴェスペリア」。人気RPG「テイルズ オブ」シリーズ最新作を2008年発売 - GAME Watch
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「テイルズ オブ」シリーズ最新作がXbox 360に登場！
【テイルズ オブ ヴェスペリア】Xbox 360で2008年発売決定 - GameSpot Japan
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各種マスコミ、大体普通の発表をしていますね。Xbox360で発売、HD画質に注目、追加情報は公式HPで、という当たり障りのない内容です。ちなみに、公式HPは対応ハードが追加されただけ、テイルズチャンネルのトップページにスクリーンショット付きで速報形式で報じている形。
正直、情報としてはジャンプの誌面が一番充実していますね。ジャンプフェスタでの初公開、そして独占スクープを見ても、ジャンプとべったり組んだ広報展開のようです。内容としては、「戦闘のみ4人プレイ」というところが気になるところですね。オフラインでの4人プレイなのか、何かオンラインでの協力プレイがあるのか。このあたりは続報待ちというところでしょうか。
「Xbox360専用」の言葉を用いるマイクロソフト
さて、無難な発表が多い一般マスコミですが、Xbox360発売元のマイクロソフトのプレスリリースは、はっきりと「専用」という言葉を使っていますね。
株式会社バンダイナムコゲームスが贈る大作 RPG Xbox 360® 専用『テイルズ オブ ヴェスペリア』、2008 年内に発売 - Xbox.com | COMPANY - プレスリリース
バンナムは他のプラットホームへの提供については言葉を濁していましたが、海外インタビューから現時点ではPS3版開発は行っていないみたいですし、プレスリリース時点では専用という言葉を使うのは問題ないのでしょう。
Game*Spark - : 『テイルズ オブ ヴェスペリア』はXbox 360独占、PS3は可能性 ―PLAY Magazine by Kako
そのうち、PS3への移植の可能性も十分にあるでしょうが、出たとしても半年〜1年はかかるでしょうしね。RPGで1年もすぎると鮮度が落ちてしまいますし、どうせPS3に出るのであれば、ヴェスペリアとは違う新作の方が、PS3ユーザーでテイルズファンの人も嬉しいのではないでしょうか？テイルズオブシリーズなら全部やる、という筋金入った人なら、逆にToVの為にXbox360買うこともいとわないでしょうし。「持っているハードに出るテイルズをやるだけ」というレベルなら、他機種で出て鮮度の落ちているゲームより、鮮度の高い新作の方がバンナム的にもよく売れる気はしますね。
唯一「他機種展開」を補足するファミ通
さて、上記ではあえて上げていなかったファミ通のニュース記事。他のマスコミが当たり障りのない記事を掲載する中、唯一つっこんだ報道をしています。
2008年内に発売決定 Xbox 360用ソフト『テイルズ オブ ヴェスペリア』 / ファミ通.com
該当箇所は以下のところ。
ところで『テイルズ オブ ヴェスペリア』が他機種で発売されないのかという点について、気になっている方も多いだろう。そこで、バンダイナムコゲームスCSプロモーション部に｢『テイルズ オブ ヴェスペリア』は日本国内ではXbox 360だけで発売されるのでしょうか？｣と質問したところ、｢日本国内でも他のプラットホームに関してはあらゆる可能性を検討しています｣という返事をもらえた。
先日、海外雑誌でXbox360版が発表されたときにわざわざバンナムに問い合わせて「他機種への展開は？」と聞いて大々的に記事にしていたのもなかなか熱意があるなと感じましたが、今回の正式報道でも再度同様の念押しをするところは、大変な熱意を感じますね。
『テイルズ オブ ヴェスペリア』がXbox 360で発売決定 / ファミ通.com
正直、これだけ「他機種への展開」を質問し、その可能性を周知させようとするファミ通の意図はなんなのでしょうか？後にPS3で発売される可能性を伝え、「ToVの為だけにXbox360を買ってしまい、あとでPS3版を知って後悔する犠牲者」を極力減らそうと言うことなんでしょうか？GCテイルズオブファンタジアシンフォニアの時は、たしかにそうしたユーザーがいましたからね。ファミ通的には正義を貫いているのかもしれません。
とはいえ、とりあえずXbox360版しか開発しておらず、今回Xbox360版を大々的に宣伝して売りたいから公式発表したのがバンダイナムコな訳です。国内大手のゲームマスコミであるファミ通に、買い控えを推奨するかのように繰り返し「他機種展開の可能性」を報じられるのは、果たしてバンナムの望むことなんでしょうかね？とりあえずPS3版はおいておいてXbox360版完成に開発を専念している以上、バンナム的にもまずXbox360版を頑張って売りたいところだと思うのですが。
というか、モンスターハンター3のWii移籍同様、今回もある意味急にジャーナリズムを発揮しているファミ通ですが、こうしてわざわざ他機種への展開を聞くのであれば、海外ではXbox360同発のCOD4がPS3だけ発売と発表されたとき、最近では同様にXbox360も海外で発売されているギターヒーロー3が国内ではXbox360で発売されないことについても、同様に質問すべきだったんじゃないでしょうか？「洋ゲーに強いXbox360」という認識で、海外で同発なのに国内では発売されないことに、多くのXbox360ユーザーは不満に思っていたわけですし。絶対数的には今回のToVに対するPS3ユーザーの不満の方が大きいと思いますが、総合誌の割に視点が偏っている印象はやはりしてしまいますね。
こうした、単なる宣伝活動だけでない、深い情報まで聞き出すことは非常にいいことだとは思うのですが、やるならやるで平等な視点でやってほしいと思います。
なぜ「プラットホーム未定」で発表？
もっとも、今回はファミ通が追及する要因として、そもそもバンナムがToV発表時に「プラットホーム未定」として発表していることにも責任があると思います。海外雑誌のインタビューにあるように、ToVの開発はかなり前から行われており、その時点で開発環境がXbox360でそろっていたことでXbox360のみの開発が行われている模様。そうであるならば、最初から「プラットホーム未定」で発表する必要は無かった訳です。それなのに、なぜ未定と発表したのか。
これは全くの個人的推測に過ぎないのですが、やはりバンナム的にもPS3は非常に重要なプラットホームであり、その売り上げを阻害したくなかったからではないでしょうか？ジャンプフェスタでの公開は12/22、23というクリスマスのまさに直前。年末年始でPS3も大きく売り上げを伸ばすであろう時期です。PS3向けにも多くのラインを抱えているバンナムとしては、この絶好のプラットホーム成長時期にPS3の伸びを阻害したくない、という意図もあったかもしれません。
ただ、この視点だと、「ここでXbox360専用と発表しておけばXbox360も年末年始もう少し伸びたのに」という意見も当然出てきそうです。バンナム的にも、Xbox360本体の売れ行きが伸びないとToVが国内販売で苦戦するのは目に見えているでしょうからね。
こうして考えると、すでにXbox360中心で開発していたToVをはじめとするラインナップは仕方ないとして、今後はバンナム的にもPS3を含めたマルチ展開になるのではないでしょうか。ただ、未だバンナムからPS3＆Xbox360のマルチに対応したミドルウェアの情報が聞こえてこないだけに、技術的にマルチについてどう対応しているのかは気になりますが。
消費者を振りまわさない情報公開を希望
ToVをプラットホーム未定で発表したことで、当然PS3で出るものだと思いPS3を買ったテイルズファンもいるでしょう。メーカーといい、報道機関といい、あまり消費者と駆け引きをするような情報公開は控えて欲しいところがありますね。スクエニも「スターオーシャン4」とかまだ未定で通してますしね。
結局、こうした曖昧な情報では消費者はある程度各々の読みにしたがって、新しい据置ゲーム機を買わざるを得ないし、その場合はどうしてもその後の認識のずれで「裏切られた」と思う人が出てくると思います。また、純粋に不確かな情報では4万もするハードは買えないと、様子見をする人も出てくるでしょう。そうなればいつまでもHDゲーム機市場が伸びてこず、苦労するのはHDゲームに投資しているメーカー側となる気もします。
日本、米国、欧州でゲーム機の売れ行きが異なり、さらに売れ行きジャンルもプラットホームによって傾向が異なるという、サードにとっては非常に苦しい状態であることは分かります。ただ、娯楽産業では「ファンに愛されていること」も、長期的な視点では重要な要素ではないでしょうか？
ビジネスの視点から、何から何まで正直ベースでの情報公開というのは難しいのは分かるのですが、もうちょっと消費者の目に立った発表の仕方を考えて欲しいですね。また、報道機関の方も、広告収入やメーカーとの付き合いなどでなかなか難しいとは思うのですけど、特定のハードに偏向した視点で報じるのではなく、平等な視点で適切な情報が得られるような内容の報道をして頂けたら、と思います。
