Xbox360、12月のシステムアップデート内容告知〜XboxLive5周年記念無料配信も

未だ国内据置最下位ながら、バリューパックは品切れ続き、ネットでの評判も比較的好調なXbox360。そんなXbox360について、マイクロソフトから以下のようなプレスリリースが行われました。

Xbox LIVE® サービス開始 5 周年 全世界の会員数 800 万人を突破 - Xbox.com | プレスサイト - プレスリリース

この発表における大きなトピックは以下のような物。

以下、各々の要素について簡単に紹介していきましょう。

XboxLive5周年記念でソフト1本無料配信

まずは、XboxLive5周年について。「Xbox360が発売してまだ2年じゃ?」と思われるかもしれませんが、XboxLive自体は旧XBOXの自体から行われていたサービス。据置ゲーム機の中では一番の評価を受けているこのXboxLive。対戦など一部機能は会費を払う必要がありますが、その分MSがトータルでサーバーを管理、ソフトメーカー側で別途オンライン用のサーバーなどを用意・継続的な運営などを行う必要がない分、ソフトメーカーも気軽にオンライン要素を追加。これにより非常に充実したオンラインゲームがXbox360にはそろっています。

任天堂Wi-Fiコネクションでは「かんたん・安心・無料」とうたっていますが、この無料という点は現時点では任天堂のみの縛り。オンライン負担分を任天堂は「広告費用のようなもの」と公式に発言しています。利用者は気軽に楽しむことができますが、「安心」を実現するためにフレンドコード依存の閉じたオンラインが多く、オンライン対戦や観戦モードなども、スマブラXで本格的に利用されますが、全体として見ると充実しているとは言いづらい状態です。ただ、業績好調な任天堂が手がけている物だけに、無料であっても急なサービス打ち切りはあまりないとは思われますが。

一方、PS3などもオンラインは基本的に無料。ただ、無料であればその分はどうしてもソフトメーカー側に負担が生じます。ファーストのSCEですら、モーターストームのオンラインサービスは2008年6月20日と、すでに終了予告がされていたりします。

ITmedia +D Games:「モーターストーム」追加コンテンツを順次配信

セガバーチャファイター5など、Xbox360版はオンライン対戦機能があるのに、先発PS3版は特にアップデートでオンライン対戦が追加される様子もないなど、同じタイトルでもプラットホームによって違いがありますね。アイドルマスターなども、XboxLiveのオンラインサービス(主にDLC)をフル活用して成功しているいい例でしょう。

XboxLiveが有料であることは、たしかに気軽さを損ないますので賛否両論はあるでしょう。ただ、安定して質の高いオンラインサービスが、多数のソフトで当たり前のように搭載されるという環境を生み出していることは、XboxLiveの意義は大変大きいと思いますね。

さて、そんなXboxLiveの5周年を記念し、48時間限定で「Carcassonne」というボードゲームが無料配信されています。

Xbox.com | Xbox LIVE アーケード – Carcassonne

こちらは通常800MSPのもの。ゲームとしては24種類の土地パーツを組み合わせていってトータルのポイントを競うボードゲームですね。自分もダウンロードして試しにプレイしてみましたが、シンプルなルールでありながら、なかなか頭を使うゲームで面白く感じました。コマを使った占有権主張がなかなかよくできていますね。こちらも、オンライン対戦が可能。17日17時までとまもなく時間も締め切りですが、Xbox360を所有している方は是非ダウンロードされておくとよいでしょう。

Xboxラシックス」として旧XBOXソフトを丸々配信

続いては「Xboxラシックス」。こちらは、旧XBOXのソフトを丸々オンライン配信してしまおうというサービスです。

MS、Xbox 360に初代Xboxのゲームを配信する「Xbox クラシックス」

もともと、Xbox360は旧XBOXとはハードウェアアーキテクチャを大きく変えたため、XBOXのソフトはソフトウェアエミュレーションで対応していました。そのため、当初は海外のソフトの一部のみの対応で日本のXBOXソフトの対応は散々たるものだったようですが、最近ではかなりのタイトルに対応。パンツァードラグーンオルタやJSRFなど、名作といわれているタイトルも対応されているようです。

Xbox.com | Xbox 360 の初代 Xbox ゲーム互換性 - Xbox 360 でプレイ可能な初代 Xbox タイトル一覧

ただ、こうしたタイトルの中でも、元々XBOX自体日本で大コケした経緯から市場には少ない数しか残っていません。そのため、ヤフオクなどでプレミアが付いてしまったりして、せっかくの互換性を新規Xbox360ユーザーなどではなかなか生かせない状態でした。

その中で開始されることになったこのXboxラシックス。「旧XBOXで興味のあるソフトはあったけど、プレミアものを買ってまでは…」と思っていた人にとっては願ってもないサービスじゃないですかね。ソフトの価格は一律1200MSP(1800円)。激安と言うほどではありませんが、プレミア物などのソフトが提供されるのなら、比較的手が出しやすい価格な気はします。WiiのVCでスーパーファミコンが1000円ぐらいですから、ソフトメーカーの利益も考えるとやはりこのあたりの値段設定になるということでしょうか。

ただ、配信されるタイトルはほとんど2GB越えになってしまうとのこと。元々DVDで提供されていましたしね。自由に使える領域が10GB程度しかないバリューパックでは、結構厳しい容量な気がします。Xboxラシックスを本格的に楽しみたいのであれば、120GBのハードディスクが必要かもしれませんね。むしろ、最初からエリートを買っておいた方が安上がりかも。エリートが全てファルコン化されて、海外でやっているようにバリュー同様のソフトが同梱されれば、エリートという選択肢も十分ありそうです。

「ゲームは1日1時間!」をリアルに実現する「ファミリータイマー機能」

続いては、ファミリータイマー機能。これは、要するに決められた時間を過ぎると強制的にゲームがプレイできなくなると言うもの。といっても、親が無条件で強制的に時間に制限をかけることができるという訳ではなく、ちゃんと親子でどのような制約を設けるか議論して決められるツールを用意し、親と子の双方の署名を持って制限を確定するという、いかにも契約社会のアメリカ企業らしい仕組みになっています。

MS、Xbox 360のプレイ時間を制限するタイマー提供へ - ITmedia News

この「時間制限付き」という機能を聞いて、自分がまっさきに思い浮かべたのがWii発売にあった「社長が訊く」シリーズの以下の記事です。

社長が訊く Wii プロジェクト - Vol.3 Wii チャンネル編

この記事の中で、岩田社長が以下のような発言をしています。

岩田
これまでも散々言ってきましたけど、私はWiiを開発するにあたって、「家庭内でゲームが敵視されないようにするためにはどうしたらいいか」ということを延々と考えてきたんです。
そこで思いついた仮説、というか暴論に近いんですが(笑)、親がゲームを「1日1時間」と決めたら、ゲームを始めて1時間後に、ほんとうに電源が切れてしまうという仕様はどうだろうかと思ったんです。
まあ、ゲーム会社の社長にあるまじき考えですね(笑)。

これについては、結局一時セーブなどの技術的課題が大きく、代わりにプレイ履歴を残すことで親が監視できるようにしようという仕様にしたようですが、MSはXbox360でこれをダイレクトに実装してきたわけです。

特に最近海外でのXbox360は、アーケードパックとしてソフト5本付きでWiiと同じ価格という、Wiiを意識したコアパックを展開してます。海外でもWii・DSのブレイクが続く中、MSとしてもファミリー層の取り組みが必須だと感じて今回のような戦略になっているのでしょうね。

Xbox360の戦略が基本的に「PS2+オンライン」という感じでSCEを模したものでしたが、今度はWiiを模したファミリー向け戦略をとろうとしているわけです。このあたり、MacGoogleの真似的展開を始終繰り返しているMSらしい展開だな、と思いますね。プライドは感じられませんが、いいものはどんどん真似して取り込んでいくというのは、すでにMS製品を所有しているユーザーとしては不利益にはなりませんからね。Windowsが成功しているのも、そうした側面があるからですし。もちろん、MSが嫌われる要因でもありますがw。

親指で文字入力「Xbox 360 メッセンジャー キット」

さて、最後は「Xbox 360 メッセンジャー キット」。こちらは、Xbox360のコントローラに一体化できるキーボード「Xbox360チャットパッド」と、有線ヘッドセットのパック。海外でも同じセット内容ですね。

Xbox 360 チャットパッド - 拡大画像

価格は3150円。すでにヘッドセットを持っている人から見れば、ヘッドセットはずして2000円で売って欲しいという感じですね。ただ、比較的値段高めなものが多い純正ゲーム周辺機器としては、3150円という価格はまあ有りかな、という感じはしますが。

入力はローマ字入力のみ。自分は電子辞書で同様に両手持ち&親指入力で打ち込んでいるのですが、結構直感的に使えます。パソコンでローマ字入力ブラインドタッチできる人であれば、結構簡単にできそうな印象です。ただ、コントローラの下につけるという関係上、重心などのバランスが悪そうな印象はありますけどね。結局文字入力時はコントローラの持ち直しが発生し、おもったよりも使いにくいかもしれませんね。あと、発売はできれば12/5のアップデートと同時にしてほしかったところです。

まとめ〜Xbox360らしい独自性あるアップデート

以上、今回のMSのプレスリリース内容を見てきましたが、いずれもXbox360らしい、独自性あるアップデートですよね。特に、Xboxラシックスは、ソフトエミュレーションで旧XBOXの対応を地道に進めてきたから出来たサービスのように思います。PS3も新型PS2で互換性を捨てず、当初予定通りソフトエミュレーションで対応を頑張れば、数年後にはPS2タイトルのオンライン配信もできたでしょうが、ソフトエミュレーション開発費用さえもコストダウンとして切り捨ててしまった今となっては厳しいところ。WiiGC互換はハード的な対応だけに、任天堂も次期ハードウェアでWiiGCの資産をどう扱うかは、いろいろ悩みどころとなりそうです。

ファミリータイマー機能やメッセンジャーキットなど、家族で楽しめるオンラインエンターテイメントとして機能充実を図るXbox360。現状のコアゲーマー中心の客層を広げることができますか。