PS3、新型効果で初の週販Wii越え達成

先々週、バリューパックの発売によって瞬間最大風速的でありながらもXbox360に初敗北したPS3。しかし、逆に先週は11/11に4万円切り新型PS3が発売され、Wiiの売上も4万弱で特に伸びる要素もなかったため、念願のWii越えを果たす大きなチャンスと見られていました。一方で、11/11の販売では特に行列なども見られず、日曜日発売という変則スケジュールもあって新型PS3の集計は11/11分のみと、週販が伸びない要素もあり、実際どの程度の売上になるか注目されていました。

その週販の第一報がいつものように忍さんのところで報告されています。

大荒れのハード売り上げ、新型投入でPS3が据え置き機トップに、他|忍之閻魔帳

結果は、PS3は約56000台の発売。Wiiは35000台程度にとどまり、品切れが続くXbox360も7000台と再び4桁へ。見事、PS3が新世代機週販初の1位を獲得しました。

今回は、この週販情報にからめて少し考察をしてみたいと思います。

従来型の割合も多し?〜購入傾向についての仮説

今回の売上において、特徴的なのはPS2の台数が大きく落ちていることです。先週まではPS3とほぼ同等の台数で17000台程度売れていたのですが、今週は久々の1万台切り。現在PS2が売れる要素の大きな割合を「買い換え需要」が占めているのだとすると、先週はその需要が大きく低下したということになります。

一方で、TSUTAYA限定の話ではありますが、以下のような記事も上がってきています。

PS3本体も前週の3倍近く売り上げており、“無双効果”が出たといえそう。なお、新型は2色出ていますが、別々で集計すると、何と旧バージョンの 60GBが一番売れたという結果になりました。決して安い買い物ではありませんし、新型でPS2のソフトはできないという店頭の告知を見て、60GBに変更したユーザーが多かったようです。
MD松尾のヒット解析:「真・三國無双5」大ヒットでPS3に好影響(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)

PS2の売上減少、旧型PS3の売上好調、そしてトータルで56000台達成、こうした要素を関連させ、以下のような仮説を立ててみました。

まず、対象は次世代機を様子見していたPS2ユーザー。この層は、故障した場合でも再度PS2を買い直していると想定します。そして、新型PS3で大きく値下げされたのに併せてPS2互換性が無くなったことで、今後PS3PS2互換性は望めないことが分かります。この時点で単純な「安くなったらPS2からPS3に乗り換え。互換性あるし」という論理が成り立たなくなり、「PS3を買うかどうか」という判断を実行。前々から欲しいと思っていたユーザーは一応5000円値下げされた旧型PS3を購入する、と。

ただ、この仮説だとPS2の販売が落ちている説明がつきません。ですので、単純に「もう互換性はいいからそろそろ次世代機PS3を購入」という、純粋なPS2からPS3への移行も生じていると予想します。そうした意味では、互換性を切ってPS2PS3への代替わりを促すという効果はあったかもしれませんね。

もちろん、これらは仮説に過ぎないので、実際にはアンケートなどの結果をみないと分かりませんけど。あと、実際のこの週販における20G,60G,40Gの売上比率のデータも欲しいところですね。

新型効果、どこまで継続できるか

以上、簡単に分析してみましたが、やはり「Xbox360、初の週販PS3越え」同様、今回の「PS3、初の週販Wii越え」というのもインパクトのあるニュースとなるでしょう。金曜日に正式にメディアクリエイトファミ通からデータが出てくれば、マスコミが一斉に報じるのではないでしょうか。Wiiがキラーソフト・スーパーマリオギャラクシーを発売しても販売台数が大きくは伸びない状況ですので、こうした報道が出るとライトな層には心理的マイナス材料となり、株価などにはダイレクトに影響してくるかもしれませんね。WiiFitでも伸ばせないようだと、当分は週販ではPS3といい勝負になってしまうかもしれません。

一方、PS3PS3で、年末に向けては大きなソフトの目玉がありません。GT5Pが一応有料体験版的位置づけではありますが、これしかない需要で大きく売上を伸ばすことでしょう。ただ、それだけで本体台数をどこまで牽引できるか。実弾が無い以上、「やはりゲーム機はPS3」、「最終的な勝ち組はPS3」といった安心感・勝ちムードを、広告などを利用して受動的ゲーマー層に広めていくのが重要でしょう。ゲーム事業の赤字や北米でのXbox360の強さによるソフト開発への影響など、業界をウォッチしている能動的ゲーマー層でないと知らない情報でしょうからね。ファミ通を見て、なじみのゲームショップのオススメゲーム・続編を買っていくような層もまだまだ大量にいるでしょうし、そうした層をがっちりと囲い込んでPS3に順次導入していくのが、PS3の躍進するシナリオのように思います。

変則的発売だっただけに、今週の売上にも新型PS3初動の影響が大きく現れることになります。果たしてこの好調がどこまで続きますか、注目ですね。