Xbox360バリューパックはCPUシュリンク版「Falcon」?! 〜 PC Watchで分解記事

いよいよ本日発売になるXbox360バリューパック。

値下げ&HDMI端子付&ソフト2本付というのが特徴のバージョンですが、その他に注目されている要素として、「Falcon」と呼ばれるモデルかどうか、というものがあります。このFalconというのは、CPUのプロセスルールが90nmから65nmに変わったもので、GPUは90nmのまま。効果としては消費電力が減る、CPUからの発熱が若干抑えられることで冷却効果の若干の向上が期待できる、というところでしょうか。発熱の大きな要因はGPUの方が大きく、こちらの改善はまだしばらくかかると噂されています(2008年夏にJasperが出るとの噂)。

CPUが90nmなのか65nmなのかは、Xbox360を分解しない限りはなかなか確認しづらく、現状は空気孔からのぞき込んでコイルの数や配置方法を確認する、というものがあるようです。一応分解した状態でならヒートシンク形状から区別は簡単にできるようで、以下の記事が分かりやすいかと思います。

ポケットニュース: 65nmシュリンク版XBOX360「Falcon」出荷開始

上記で二つの写真が出ていますが、上のCPUのところのヒートシンクが大きくヒートパイプが付いているのが、熱問題用の対策がされたZepherとよばれる機体。そして下側のシンプルなヒートシンクになっているものがCPU自体がシュリンクされたFalconと呼ばれる機体となります。

日本でもフラゲ情報でいくつか出ていましたが、さすがに分解せずには確認しづらくはっきりと分からない状態でした。しかし、分解され上記判定法でFalconだと確認できる、分かりやすい個体情報がネットに出てきました。それはPC Watchの以下のレビュー記事です。

「Xbox 360バリューパック」ハードウェアレポート

分解記事を見る限り、個体は「Falcon」

上記記事の後半では実際に分解した内容がいろいろと紹介されています。前述したヒートシンクによる見分け方が簡単にできるのが、以下の写真です。

バリューパック版ヒートシンク写真

こちらを見ると、CPU部分にはシンプルなアルミ製ヒートシンクがつけられています。ポケットニュースの記事と見比べればこれはFalconに相当しますね。

ヒートシンクを外したCPU拡大写真について、同じPCWatchのXbox360発売当時の分解記事と今回のバリューパックの記事とを比較してみましょう。

発売記念パック版CPU拡大写真
バリューパック版CPU拡大写真

この二つを見ても、ダイサイズ(CPU上の半導体部分)がバリューパック版の方が小さくなっています。プロセスルールが細かくなるとダイサイズが小さくなるのが一般的ですので(参考記事)、この点からもFalconであると予想されます。

本文中の記載は「CPUシュリンクは無し」

以上のように写真と海外情報を見比べた状態ではCPUシュリンク版に見えるのですが、このPC Watch記事の本文中では以下のように書かれています。

ACアダプタや本体パッケージの記載から推測できてはいたが、CPUなどのプロセスは初期モデルと同様で、微細なプロセスを使った新しい物にはなっていなかった。

この文章を見ると、この記者は「ACアダプタ」と「本体パッケージの記載」からCPUプロセスが65nmでないと判断し記事を書いているように見えます。これは、本当に確かな情報なのでしょうか?ネットでは「FalconはACアダプタが175Wだった」という報告はありましたが、その逆が真だとは限りません。本体パッケージの記載は、ACアダプタが175Wであっても変わっていなかったという報告だったように思います。

もちろん、ネットで騒がれている情報も消費者レベルでの検証方法に過ぎず、厳密なCPUシュリンクの見分け方になっているかどうかは分かりません。ただ、PC Watchほどの大手ITマスコミなのですから、できればこうした文章は明確な根拠を示して欲しいですね。マイクロソフトに直接問い合わせるなどして、裏を取った形で情報を記載して頂きたいところです。

購入する本体の仕様は?

さて、主にFalconかどうかについて触れてきましたが、とりあえず自分の認識ではPC Watchで分解した個体はFalconであると思っています。ただ、同じPC Watchの記事ではDVDドライブは日立LG製となっており、静音性が若干高いといわれるBenQ製ではありません。ただ、ネットのフラゲ情報ではBenQ製も確認されており、同じバリューパックであっても、搭載パーツの種類にばらつきがあるようですね。ちなみにドライブの見分け方は以下の通り。

Game*Spark - : 噂の静音?Xbox360ドライブの見分け方、歴代3モデル写真比較 by Miu

大量生産するものの場合、同じ商品であっても部品によって供給元を複数用意することはよくあることです。ニンテンドーDSなども液晶でものによっては黄色味が強くて騒がれていたりしますが、これもそうした供給元の違いが起因しているように思います。

また、11/1に向けてある程度作りだめしていたでしょうから、Zepherが混ざっている可能性も否定できません。あくまでフラゲした個体、PC Watchの分解記事にFalconが確認できている、という状態に過ぎませんからね。エリートにFalconとZepherが現状混在しているように、バリューも全てがFalconという保証はまだありません。

おそらく、昼を過ぎれば続々と報告は上がってくるとは思いますが、果たしてどういった本体仕様が多数派となっていますか。とりあえず、自分の購入する個体がfalcon+BenQドライブであることに淡い期待を持っておきたいと思いますが、実際はどうなりますことやら。
(まあ一応Zepherでも熱対策は取られていますし、BenQドライブでもDVDフル回転されたらうるさいでしょうから、そこまで騒ぐほど大きな差はないと思いますけどね。あくまで、どうせ買うなら少しでもいいもの、という消費者心理の一環でしょう。)


P.S.
朝8時の時点で、PC Watchの記事に以下の記述が追記されています。

なお、CPUについては、ダイのサイズはあまり変わっていないものの縦横比の変化などから65nmである可能性はある。ただし、90nm→65nmではシュリンクの度合いも消費電力もあまり変わらないため、これが65nmプロセスの製品であるという明確な確認はできなかった。海外の一部情報サイトでは 65nmとしているところもあるが、今回は結論は保留とさせていただきたい。この件については、引き続き情報を収集している。

記事中程にも「微細なプロセスを使った新しい物になっていなかった」と断言している記述がありますが、こちらについてはまだそのまま。直し忘れでしょうか?

マイクロソフト自体がまだ何が65nmのCPUか明確なアナウンスをしていない以上、65nmだと第三者が断言するのは確かに難しいでしょうね。ただ、消費電力などの話題に触れるのであれば、ワットチェッカーなどを使った消費電力の違いなどを検証程度はして欲しかったですね。ネットでの素人レベルでもそうした検証はしている訳なので。(まあ、電力の変化はCPU以外の部品変化などの影響も含んでしまいますので、これも目安程度にしかなりませんが。)


P.S.2 (11/2)
PCWatchで追加検証記事が出ていますね。

続・「Xbox 360バリューパック」ハードウェアレポート

「Falconじゃないの?」という声が多かったためか、上記で自分も指摘していたように、今度はワットチェッカーでの比較をしています。前のバリューパック、初回版は分解してしまっているので、別途用意したんでしょうかね。

ワットチェッカーで比較した結果はバリューパックのものが従来版の約2/3の消費電力と、有意な電力差が出ていますね。これはFalcon確定ということでしょう。電力が50Wも違うことを考えれば、発熱量も減っていることが想定されます。記事中でも短時間で5度程度変わっていると書かれていますね。CPUヒートシンクが小さくなっていることも、こうした点と合致しています。

しかし、フォロー記事を出して貴重な情報を提供していただいたことはありがたいのですが、気になるのは冒頭の表現。

 CPUの外観上は、コアがシュリンクしていることは明らかだった。また、コアの縦横比が変わっていることから、大幅なレイアウト変更またはプロセスの移行が行なわれた可能性は高いと見られた。

 その一方で、パッケージの化粧箱(外箱)の消費電力の記述が従来どおりであること、ACアダプタに表記されている仕様に変更がないこと、から最終的な結論は留保していた。

 一言でいえば、「バリューパックに入っているXbox 360本体のCPUは、コードネーム“Falcon”と呼ばれる65nmプロセス製品である」と断言できなかったのだ。

えー?前の記事じゃ見た目とカタログスペックだけの判断で「微細プロセスでない」と断言してるじゃないですか。それに、ダイサイズについても「ダイのサイズはあまり変わっていない」と明記してますよね?上記の文章と全然違うのですけど。なんで続報になったら急に「シュリンクされているのは明確だったが断言できなかっただけ」って変わっているんでしょうか。別に記者名を明記している訳でもないんですし、妙なプライドを維持する必要性はないように感じるんですけどね。普段のPC Watchであれば追記や更新についてはちゃんと追記項目に見出しを付けますし、トップページの記事タイトルにも【更新】という記述を追加していましたが、今回はそれも無かったですし、何か「らしくない」、人間くさい感じがしますね。