任天堂 Wiiリモコン用ジャケットを無償配布 〜 今後は同梱に

最近は品切れが無くなってきてブームが落ち着いてきた感がありますが、相変わらず好調な任天堂Wii。そのWiiが発売した当初生じた大きな問題として、Wiiリモコンがすっぽ抜けてテレビなどが破損する、「Wiiリモコンすっぽ抜け問題」がありました。当時、この問題について触れたのは以下のエントリです。

わぱのつれづれ日記 - Wiiプレイ時の注意点について

このときは、先行発売していた北米で生じていた事件で、元々こうした危険性はE3 2006の時点である程度分かっていたため、いくつか安全上の注意をコメントした感じですね。

ちなみに、このときは安全装置にあたるストラップが切れることは想定しておらず、その後ストラップしていたのにちぎれて飛んでいくという事件がいくつか生じ、事件が大事になりました。結局、任天堂はより丈夫なストラップへの自主交換という対応で騒動は一段落した感じです。

わぱのつれづれ日記 - 任天堂、Wiiの一部ストラップを自主回収

ただ、そうはいっても海外では1個人ながら訴訟はすでに起こされており(参考:Wiiストラップ米国訴訟騒動について)、リモコンを振りまわして操作するというWiiの性質上、そうした訴訟リスクからは逃れることはできないのも事実でした。そのため、任天堂も繰り返しストラップの改良を行ったり、うざいほどの注意を繰り返したりと、啓蒙活動に努めていた形です。

任天堂純正特殊ジャケットが無償提供

上記の「Wiiプレイ時の注意点について」で、自分は「できれば柔らかい素材でくるんだほうが」ということでシリコンジャケットを紹介していました。実際、自分もGAMETECHのジャケットを2個利用していますね。グリップ感がよくなり、手あかのたまりやすかったリモコン横の溝もふさがれていい感じでした。電池が入れにくくなり、充電スタンドなどが利用できないのが難点ですけどね。

そんな感じで、ある程度ユーザ側で滑り止めなどは周辺機器を用いて解決しているかのように思われましたが、このほど任天堂から大きな発表がありました。それは、Wii購入ユーザ向けに特殊なジャケットを無償配布、そして今後は同梱していくという物です。

任天堂、Wiiリモコン用保護カバー「Wiiリモコンジャケット」を全ユーザーに無償提供
ITmedia +D Games:任天堂、Wiiリモコンジャケット無償提供

クッション付きのジャケット〜電池交換も比較的容易

公式のリリースと画像は以下のものです。

「Wiiリモコンジャケット」についてのお知らせ
画像:Wiiリモコンジャケット

なんか、一見すごくやぼったいですね。パーマかけたおばちゃんみたいというか。ただ、これまで発売されているシリコンジャケットと比べると、安全性確保に向けていくつか工夫が見られます。一つは、その特徴的な上部の出っ張り。ここはどうやら空気が入っており、クッションの役割を果たす模様。実際、既存のシリコンジャケットつけていても、テニスなどをプレイしていて間違って人を殴ったりするとかなり痛いですし、滑り止めにはなっても打撃の衝撃吸収にはあまり役に立たないんですよね。

そうした意味ではこのクッションはちゃんと考えているな、という感じです。ただ、その分デザイン性はかなり犠牲になっている感じがしますけど(苦笑)。また、グリップ部分も多少ふくらみがあり、握りやすさや滑り止めも意識したつくりになっているようです。また、グリップ側の上の部分が空いているのは、電池の交換の際への考慮かもしれません。これならば、全部ジャケットを外さなくても下側だけずらせば電池を交換できそうですからね。Wiiザッパーとかハンドルアタッチメントとかにつけるときにはどっちにしろ外す手間は出ちゃいますけどね。元々リモコンを振るときの安全対策だから、ジャケットの意味としてははずしてもかまわないのですけど。

ただ、こうしたクッションが先頭に付いていることを考えると、素材はシリコンではなくビニール製かもしれませんね。あと、横持ちのときクッションが邪魔にならないかもちょっと気になるところです。

世界同時発表、Webページも各種ジャケット対応に

今回の発表ですが、かなり準備万端で行われたようですね。発表も世界ほぼ同時発表だった模様。しかも、各種説明ページもすでにジャケット対応になっているところが面白いですね。

Wii
Wii.com
Wiiリモコン - Wii
Wii.com JP - Wiiの遊び方

また、Wii本体にもWiiConnect24を通じてメールも来ています。



感じとしては、北米の10/1に併せて発表した感じですかね。

ちなみに、ジャケットの申し込みは以下のページから行うことが出来ます。

「Wiiリモコンジャケット」受付ページ

Wii本体はシリアル必要ですが、あとは自己申請という感じですね。まあ、もっとも無償配布ですから、実際持っている以上の申請をしてもあまり意味無いですけれど。今後は同梱されるわけですし。

現行品はそのままに危険性を軽減する施策

今回のWiiリモコンジャケットの無償配布ですが、一つは任天堂玩具メーカーとして貫いている「安全性」に対してのポリシーを貫く行為の一環とも言えます。一方で裏の目的としては、実際に今起きており、今後も継続する訴訟リスクを回避する、というのも大きいと思いますね。デザインがださいからと言って装着せずプレイしたユーザが汚しても、訴訟的には任天堂は有利でしょうし(イメージは悪くなりますけど)。

Xbox360が高い故障率を騒がれながらもその詳細を明らかにせず、先日RoDと呼ばれる故障についてはサポート期間を延長することを発表した際には、単純にサポート期間が延びることを喜ぶ人もいれば、欠陥を放置したまま販売を続けることを非難する人もいました。

わぱのつれづれ日記 - Xbox360に史上最大規模の不具合 〜 問われるMSの品質軽視

今回のWiiリモコンの件も、MSとは程度はずいぶんと違うとはいえ、結局のところ「Wiiリモコンを使ったジェスチャ操作」に潜在的に含まれる危険を任天堂自ら肯定した上で、製品の根本的設計見直し・回収はせず、多額のお金をかけて+αの保証をするという行為だけ見たら、実はMSがやったこととあまり変わらないんですよね。MSに対して「故障の生じないよう設計し直した本体を販売しろ」と文句を言うのであれば、理屈的には任天堂に対しても「クッション機能を最初から備えた再設計版Wiiリモコンに交換しろ」と文句を言ってもおかしくないようには思います。(もっとも、任天堂の場合はこれまでに積み重ねた印象・信頼が高いですから、あまりそういった主張はない気もしますが。)

正負の面がある対応〜今後への影響は?

今回、任天堂Wiiリモコンのデザイン性を犠牲にし、日本国内では沈静化してきていたWiiリモコンの危険性の問題を再度ユーザーに意識させる結果になりました。その分無償配布ということでイメージ向上は図っている訳ですが、これが消費者にとってどう写るかですね。はてなブックマークのコメントを見ていても、結構みな反応に困っている感じもしますし。

はてなブックマーク - 「Wiiリモコンジャケット」についてのお知らせ

これから年末商戦に向け、任天堂は自社の看板タイトル「マリオ」「スマブラ」と展開するわけですが、このリモコンジャケットがどのような影響を及ぼすか。10/10のカンファレンスの内容も含めて、また分析してみたいと思います。