新型PSP 単体発売初週25万台を達成

先週の東京ゲームショウでも多く見られたPSPモンスターハンター2ポータブル以降、週販でも3万台ぐらいをキープし、苦戦するPS3を尻目に存在感を示していたように思います。そんな中で、コストダウンと共に軽量化、ロード高速化などの改良が施された新型PSPPSP-2000」が発表、9/13のCCFF7とのセット販売77777台はほぼ完売と、好調なスタートを切っていました。

そして9/20に単体の発売がされ、初日で13万台販売が発表など好調が伝えられていましたが、その初週の販売台数が発表されました。

新型PSPの初週販売台数は25万台(エンターブレイン調べ) / ファミ通.com

なんと、初週販売台数は25万台。PSPのロンチの16万台を大幅に上回る、これまで最大の売れ行きを見せた形です。ちなみに、PSPのこれまでの週販は以下のサイトで一覧できます。

週間ハード販売台数 - ゲームデータの部屋DSとPSP

十分な体制で臨んだ販売の成果

今回のこの初週売上は、充実した販売体制を取ることが出来たことが大きいでしょう。これまで、SCEの新型機種発売では、PSPといいPS3といい、とにかく本体の製造が厳しいのに無理矢理販売にこぎ着け、初期需要を遙かに下回る供給しかできないことが続いていました。そして供給が落ち着いた時には需要も落ちているという、悪循環を生んでいた形でしたね。

それに対し、まずこの新型PSPでは、一番多く需要の発生する発売日に、30万もの出荷を行うことが出来たのは大きいでしょう。任天堂でさえ、DS Liteでは製造トラブルで1色のみの発売で8万台の出荷となり、需要を大きく下回ったために転売などで混乱も起きて大きな失態をしましたが、新型PSPの発売ではそうしたグダグダ感はほとんど見られませんでしたね。

堅実な設計・性能改善

また、初代PSPでは相当後まで色のラインナップをそろえることが出来ませんでしたが、新型PSPでは最初から5種類6種類の色をそろえられたことも大きいでしょう。新型でありながら、色を選ぶ楽しさもあるわけですからね。そして、これまで欠点とされていた重さ、ロード時間の短縮を実施して携帯ゲーム機としての完成度を高め、外部出力も対応することでより「持ち運びできるPS」という姿を実現しています。

さらに、分解画像などを見ても、基盤やパーツも非常にシンプルに作られており、任天堂のゲーム機のように洗練された設計が見えます。

新型PSP「PSP-2000」ハードウェアレポート

こうした点を見ても、むしろこれまでのPSPは単なる間に合わせで作られたハードで、この新型PSPこそ本当のPSP、という感じもしますね。

遅かった投入時期〜今後のソフトの巻き返しが鍵

しかし、こうした新型PSPのいいところを見ると、これをどうしてもっと早く出せなかったのか、という思いになりますね。せめてDS Liteが発売して間もないあたりで出せていれば、ここまで圧倒的な差が付くこともなく、サードにDSに逃げられることも無かったと思うんですけどね。

おそらく、PSPの新色がなかなか出なかったこと、そして北米で2006年第3四半期の生産出荷が1万台というあり得ない数字になったこと(参考:決算報告で晒された「生産出荷台数」の歪み)などを考慮すると、おそらく旧型PSPを作りすぎたことがかなり影響してしまったようにも思いますね。在庫を捌かない限り、新型をなかなか売り出せませんしね。(もっとも、任天堂みたいにDS Liteの前の旧DSの生産数を見誤り、DS Lite発売まで市場からDSが姿を消すというような自体になるのもダメといえばダメですけどね。)

新型PSPは、単体のメディアプレーヤとしてもワンセグチューナの存在があり、UMDよりは売りとして大きいでしょう。同時発売したCCFF7というタイトルも、うまくタイミングをあわせていた形。あとは、今後のソフトですね。以下の今後のスケジュールを見てもらえば分かると思いますが、正直ベスト版が多くまともな新作が無いんですよね。

PSP(プレイステーション・ポータブル)発売・配信開始スケジュール / ファミ通.com

このあたりは、サードに軒並みDS向けにラインをシフトされてしまったのが尾を引いている感じです。ソフト開発には時間がかかりますし、もしこのタイミングで再びサードにPSP向けシフトが進んだとしても、やはり今後1年近くはソフトの量はあまり見込めない気はします。ぽつぽつ出る有名タイトル派生系に需要が集中形になっていくでしょうね。

それでも、こういった好調を見せることで、再びサードのソフトが出てくる可能性が出てきたことは、明るい材料でしょうね。

ポストDS・ポストPS2としての立ち位置を確立できるか

とはいえ、一度は完全に死んだと思われたPSPが復活を見せていることは注目に値すると思います。特に、ゲームに情熱を注ぐ中高生を獲得しているのは大きいですよね。

インタフェースの差を除けば、当然DSよりもPSPの方が上。そして、DS Liteに負けていたロード時間、重さの問題もクリアしてきました。純粋のボタン操作の3Dを携帯機でやるのなら、PSPの方が向いている感じなんですよね。そうした意味では、DSの性能に物足らなくなってきたゲーマーなどにとっては、「DSの次の携帯機種」としてこれからPSPが選択されることも出てくるかもしれません。

また現状、日本ではHDゲーム機はまだまだ伸びていかない状態ですし、PS2を好んでプレイしていたゲーマー層が、難民のような状態になっています。ソフトメーカーも、そうした客層に向けて、どのプラットホームで出せばいいか悩んでいるような状態ですよね。そうした意味では、PSPというのは性能はPS2に劣りますけど、「持ち運べるPS」ということで存在感を見せてくるのではないでしょうか?モンハンのようにみんなで持ち寄って共同プレイという、据置ゲーム機ではなかなか出来ない新しい楽しみを提供してくれていますしね。

こうした状況を見ると、ここ数年はDSは全世代オールマイティーな携帯機として存在し、それ以外の層として和ゲー好きはPSP、パーティゲーはWii、残ったコアなHDゲームをXbox360PS3といった流れで進んでいきそうな、そんな感じもします。

PS3を好む層は和ゲーを好む層で、PS2PSPと層はかぶっているように思います。特に中高生だと自由に使える金額も限られているため、PS3が安くなるまでは、PSPで面白いゲームができるならそれで満足してしまうこともあるでしょう。ただ、そうした層をうまくPSワールドにつなぎとめておけば、今回の新型PSPで兆しを見せているように、数年後に安く小さくなったPS3への移行を行うことも出来るかもしれません。

SCE的には、苦しい手玉でなんとかそうした長期的な視点で戦わざるを得ないでしょう。逆に、任天堂やMSは、この機に乗じて徹底的にSCEの客層を奪いにかかってくるはず。任天堂はとにかく本体の普及台数での物量作戦、Xbox360はHDゲーム機としての海外での強さを生かしたソフト充実ですね。果たして、短期決戦となるのか、各陣営泥沼の戦いになるのか。はたまた、棲み分けしたまま今世代は終わってしまうのか。まずは10月10日に開催されるという任天堂カンファレンスで発表される内容に注目したいと思います。