TGS2007レポート(ソフト編)〜『WE LOVE GOLF!』

東京ゲームショウ2007で体験してきたゲームのレビュー。まずは一番期待していたWE LOVE GOLF!ウィーラブゴルフ!)からです。カプコンブースでかなり気合いを入れた展示がされており、なんと試遊台は20台。このため、試遊までの待ち時間は約25分程度と、お手軽に行うことが出来ました。

行列で待っているときには、二つあるディスプレイでは本当のゴルフプロがすごい真面目にプレイ方法を説明。しかも、各々の説明が全部リアルゴルフのレッスンと同じなんですよね。スタンスの取り方、グリップの仕方ぐらいはまだしも、トップの時の右腕の確度とかまで普通にレッスンしていて、思わず笑ってしまいました。でも、実際聞いていて参考になりましたけどね、実際のゴルフの。ただ「このゲームをやると、本当のゴルフもうまくなるんですよ!」としきりにさわやかな口調で繰り返されていたのは、さすがにうさんくせーと感じましたけどね。

操作方法 〜 説明プレート

さて、それでは実際のプレイについてです。行列に並んでいると、まもなく試遊というときにプレイ方法のプレートを渡してくれます。この辺親切ですね。具体的に渡された説明プレートは以下の物です。


以下、上記操作説明を参考に、具体的に自分が体験した操作感覚を説明していきたいと思います。

ショット方向決定 〜 リモコンの向きで視点が変更

このプレートを軽く読んだ段階で実際のプレイへ。そこでお姉さんから改めて説明を受けながらプレイします。まず、ショットを始める前。どの方向に打つかは結局のところ十字キーの左右で選びます。別にポインティングで狙う感じではありませんね。ただ、リモコンを上に向けると俯瞰視点、水平だと普通の視点、下にするとショット視点になるので、そういった意味では「ゴルフクラブを水平に狙う方向に向ける」ということになるのかも知れませんが、ちょっと無理があるかなぁ。クラブ選択は+・−ボタンで。これは分かりやすいですね。

ただ、グリーン上の時はリモコンを上に向けても俯瞰視点にならず、なぜかカップ側からプレイヤーを見た視点になります。なぜ俯瞰視点にならないのか、不思議でしたね。しかも、下を向けてもパター画面にならず、カメラ位置がより寄った状態になる感じに。グリーンの外と中で操作が変わるのは統一感がなく、正直分かりづらいと思いました。

トップ位置決定 〜 「リモコンの角度」と「振り上げ時間」で決まる独特操作

結局、俯瞰視点で落としどころに目安をつけて調整した段階で、次はショットに。ここではBボタンを押しながらだと素振りに、Aボタンを押しながらで本当のショットになります。ここでは、まずBボタンを押しながらでショットの感覚を何回も練習をしました。(ちなみに、リモコンを下に向けるとクラブの画面になるのですが、振りかぶり始めるとすぐに後ろからの視点に戻ってしまいます。ただの演出にすぎない感じで、あんまり意味無い印象がありましたね。)

これが、把握するまでかなり癖のあるものでしたね。正直に言えば、結局のところ岩田社長が生み出した「チャー・シュー・メン」と代わりはありません。それがリモコン操作に置き換わっただけです。まず、トップの位置を決める動作、これが「リモコンの傾きと動かした時間」で変化していき、リモコンの動きが止まったときに決定されます。

ここでポイントなのは「動かした時間」ですね。つまり、リモコンの絶対的な高さを把握しているわけではないので、普通のゴルフのスイングのように素早くトップを決め、振り下ろしてしまうと全くショットとして成り立たないわけです。リモコンを振りかぶり始めるとだんだんと透明なクラブカーソルがゲージ上を移動していくので、振りかぶる操作をしながらTV画面の確認が必要となります。そして、狙いのところまで透明カーソルが来たところでクラブを上げるのを止める。これでトップの位置、振り幅が決まるわけです。難しいのが、「テレビでのゲージを確認しながらクラブを振り上げ続けること」。普通のゴルフじゃあり得ない状態ですよね、顔を上げながら振りかぶるなんて。

Wiiパンヤも「振りかぶってゲージ上昇、画面を見て適切なゲージ位置でAボタンで決定」となっていましたが、WE LOVE GOLF!の場合はそれが「クラブを止める」という行為に変えている形です。さらに、リモコンの角度も見ているので、ある程度ちゃんと振り上げないとゲージが端まで行ってくれません。リモコンの振り上げとリモコンの角度をスムーズに徐々に変化させていくことが重要のようですね。これをテレビを見ながらやると結構無理な体勢になり、リアルのゴルフと比べても若干違和感が出てきます。ただ、相当慣れてくると、ゲージ上のカーソルを全く見ずにブラインドでトップ位置を決められるようになるかもしれませんけどね。

ショット動作 〜 カーソルが降りてくるのを待ってスイング

さて、次はショット動作。これは、トップの位置が決まると、自動的にヘッドカーソルが戻ってきます。これが大体ミートポイントに来たなというところで一気に振り切る感じですね。これもちょっと違和感。トップの位置でクラブを止めてから、ゲージがミート位置に来るまで1,2秒あるんですよね。リアルなゴルフだと、トップを決めたらすぐに振り下ろします。ゲージが降りてくるまでTVを見て待たないと行けないというのは、すごく不自然な感じでしたね。また、打つ瞬間のリモコンの傾きも見ており、右手首が被さっていればフック、開いていればスライスになります。ただ、画面を見ながら振ることになる分、どうしても身体は開いてしまいますし、その分手首も開きがちになってしまいます。自分は元々スライスが出やすいタイプなのですが、より一層そうなる感じですね。

特殊ショット 〜 スピンはワンボタン

トップスピンやバックスピンは1ボタン、2ボタンを左手で押しながら打つというもの。これはお手軽でいい感じですね。みんゴルとかだと、トップ位置やショット時にボタンを押すのと同時にコントローラを入れるとかで、素人では結構難しかったりしますし。実際試遊のときも、お姉さんから「トップスピンでガンガン距離出していきましょう」とか言われてましたので。これはこれで違和感ありましたがw。

その他 〜 リモコンのガイダンス機能

その他としては、リモコン君みたいなのが画面に表示され、操作方法のガイダンスなどをしてくれます。このときリモコン自体がしゃべるみたいで、特許申請中とか言ってましたよね。自分は会場では聞き取れなかったですけど。
あと、実際にプレイしているときは説明の吹き出しが、俯瞰視点での落下地点とかぶってしまって見づらく、結局説明のお姉さんがOFFにしちゃってましたw。OFFの仕方はポインティングで指定してAボタンすると確認ダイアログが出て、それで無効にする感じでしたね。

まとめ 〜 結局のところは「ゴルフゲーム」の延長か

試遊では3ホールのプレー。まず上記で説明したようなショットの仕方の理解に時間がかかりましたね。待っているときに一人中年の女性がプレイしていたのですが、いつまでたってもショットできず苦戦していました。自分でも把握するまで時間がかかりましたので、わかんない人にはわかんないかもしれませんね。

自分の場合、まずフルショットの仕方をしてからプレイして1ホール目はパー。2ホール目はセカンドをピンそばにつけたのですが、逆に「短い距離パット」が分からずフルショットしてしまって大オーバー。その後、上で説明した透明カーソルの存在を意識した感じですね。結局そのホールはボギー、最後はパーで+1で終わりました。

全体を通して思ったのは、結局これまでのゴルフゲームの延長に過ぎないと言うことですね。ボタンで行う操作をゴルフのスイングの動きで置き換えただけという感じです。元々PC用の「ゴルフ大好き!」を転用したのがありありと分かる企画だけに、こうしたパターンになってしまったのかも知れませんね。とくに、トップの位置を決める、ショットタイミングを決めるときに、わざわざゲージを移動するカーソルの動きをTVを見て確認し、各々の動作で待ち時間が必要なのがかなり違和感がありましたね。振りかぶりながらTVを見るという、パンヤをプレイしたときと同じやりづらさを感じました。

参考:わぱのつれづれ日記 - Wii体験会レポート(ソフト編) 『スイングゴルフ パンヤ』

WiiSportsのゴルフは、思いっきり振るとすぐゲージオーバーで曲がってしまいリアルなフルショットが出来ないとか、曲がるときも左右にランダムにぶれるという不自然さが非常にリアリティを損ねていましたが、素振りで距離感を合わせ、実際のショットではTVを確認せずショット出来るという意味で、アプローチショットとして見ればリアルにできていたように思います。対して、このWE LOVE GOLF!はフルショットやスライス・フックについてはリアルですが、タメ時間があることと、TVを見た状態でスイングしなければいけないのがちょっと不自然な感じです。

ただ、これはゲージの動き方が実際の人の動きよりも遅いことが起因しているところもあるでしょう。もっとゲージが移動するのが早ければ、難易度は上がるとは思いますがリアリティは高まる気がします。完全に自分のスイングの早さと同じにチューニングできれば、TV画面でゲージの動きをチェックしなくてもよくなりますし、「プロフェッショナルモード」としてゲージの速度を調整できるモードを是非製品では用意しておいてほしいと思います。うまく行けば、ゲージを見ないブラインドプレイもある程度実用になるかもしれないので。

あとは、結局のところ従来のゴルフゲームの延長にすぎないので、従来のクラコン操作も入れておいてもいいのかもしれませんね。もっとも、このWii操作でやる難しさに合わせて、コースを比較的簡単に作っているみたいなので、通常操作を入れてしまうとバランスがとれないかもしれませんが。ただ、最悪Wiiリモコンでのプレイ感覚になじめない人に対する保険にはなるでしょうから。

トータルとしては、ちょっと期待が大きすぎたところはある感じです。ゴルフゲームとしては無難に出来ている感じですので、今のところ購入予定ではありますが、この操作方法にどの程度慣れることができるか。また、ゴルフ好きな親がプレイして違和感を感じないかとか、その辺が気になるところではあります。