PS3に振動付きSIXAXIS登場?!〜東京ゲームショウで発表か
世界的に苦戦の続くPS3。要因としては本体の高さ、ソフトの少なさが大きいと思いますが、コントローラから振動機能が除かれたことも、地味に影響しているように思います。自分なんかは振動機能が好きな方なので、「振動なしじゃPS2対応しても完全互換は100%不可能じゃん」と思ってましたしね。
この振動機能について、SCE側は「6軸検出システムと干渉するため」「振動は過去の物」という言い訳をしていましたが、その根幹にあったのはImmersionとのDualShock関連振動訴訟問題があったことは公然の秘密状態となっていました。
ITmediaニュース:SCE、Immersionとのフィードバックコントローラ特許訴訟で敗訴
ただ、そのImmesionとの訴訟問題も2007年3月に和解、その後4月にはファームウェア1.70でPS2互換ソフトでの振動機能の対応が行われました。
SCEJ、PS3とPSPのシステムソフトウェアをアップデート
ただ、ここまではあくまでPS2の話。Immersionとの和解もPS2だけで、PS3はまた別途検討しているという話でした。その後も度々イベントがあるたびにPS3での振動機能付きSIXAXIS(DualShock3?)の噂がされていましたが、今度はかなり具体的な形で情報が出てきているようです。
EAのイベントで振動付きSIXAXISが確認
今回の噂については、毎度おなじみEngadet、それからgamespotが報じています。
うわさ:震えるSIXAXISはTGS発表? - Engadget Japanese
デュアルショック3が発表とのうわさ--東京ゲームショウ - GameSpot Japan
この情報では、開発者にSDKが渡されているもの、ということですね。それに対し、PS3 FANさんでは海外ニュースサイトIGNで出ていた情報を引用して紹介されています。
PS3 FAN || TGS2007:ついに復活!PS3用振動コントローラを確認!
こちらの情報では、今日開催されたというEAのプレスイベントで、振動付きPS3コントローラのプロトタイプが使われていたとのこと。かなり確度が上がってきた印象です。
明日の講演で値下げ発表などもあり?
こうした中で、いよいよ明日から開催される東京ゲームショウ。その基調講演はSCE平井氏が10時半から行うことになっています。
CESA、「TGSフォーラム2007」申し込み受付を開始。基調講演はSCEの平井一夫氏
基調講演といえば2005年は任天堂岩田社長が現Wiiのリモコンを世界初公開した歴史的な日ですし、昨年はPS3が発売前なのに電撃的な値下げを行う前代未聞な発表をした場でもあります。
任天堂、岩田聡氏が基調講演でRevolutionのコントローラが初公開! 片手で遊べる、さわる感覚の斬新なコントローラー
「PS3値下げ」のサプライズに場内拍手・久多良木SCE社長講演――東京ゲームショウから デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS
東京ゲームショウ自体、元々任天堂に対抗するような形で発足されたイベントだけに、国内ではDS登場まで絶大な影響力を持ってきたSCEとしては、ここで一気に不利な雰囲気を払拭したいところでしょう。野安ゆきお氏は以下の記事で『E3がなくなって、「時代の空気を一変させる」イベントはなくなった』と解説していますが、SCE的にはなんだかんだ言っても、現時点で実弾がそろっていないSCEとしては、東京ゲームショウのようなイメージ戦略が出来る場にかける意気込みはかなりのものであると想像します。
想定されるサプライズ要素とレベル
とりあえず、予想できるサプライズ内容としては以下のような内容でしょうか?
ただ、これらの内容もただ実施しただけではインパクトは薄いでしょう。据置ゲーム機では正直3万円を切らないとなかなか普及価格とは言いづらく、現状のPS3の5万円以上というのは論外な価格です。平井社長はしきりにPS3について「ゲーム機である」と繰り返しています。そうであるならば、まずはXbox360と同レベルに並ぶ意味でも4万円を切る価格のモデルを用意する必要があるでしょう。もっともかなり逆ざや状態なため、ソニーとしてはかなりの覚悟は必要ですけどね。ただ、値下げをするならかなり思い切った冒険は必要になるでしょう。とりあえず、PS2との互換性は下がりますがすでに北米などで提供している新モデルベースで少しでも本体コストを引き下げて、勝負する感じでしょうかね。
また、39,800円程度の価格設定では、これでようやく「ゲーマーが手を出しはじめる価格」じゃないかと思います。その背中をもう一押しするには、やはり「安心感」が必要でしょう。「次世代ゲーム機はこれを買っておけばOK」、そうした後押しがあればゲーマーなら先行投資はいとわないでしょうし、現状PS3を購入済みの人も「PS3が勝つ」という見込みを持って購入している人が多いでしょうしね。PS3はまだまだソフトという実弾はなかなかないですが、今後ゾクゾクとソフトが集まることが分かれば、だいぶ雰囲気は変わるはずです。正直、今のところ判明している程度のタイトルではXbox360とのマルチも多く、「安心」とまでは行かないでしょう。そうなると、未だコアなファンを多く持っているFF7をPS3独占でリメイク、ぐらいのインパクトを持ってくる必要があるでしょうね。もちろんその場合は、したたかなスクエニ和田社長を納得させられるだけのサポート(開発、宣伝、販売)での協力が必要になるでしょうけど。
あとは、今回情報が出たコントローラの振動復活。これも、少なくとも価格据置で出すぐらいの配慮が欲しいですよね。振動機能が標準機能でないなら、ゲーム側での対応はXbox360マルチのソフトはともかく、かなり対応数が少なくなる危険性があります。そうなると、今出ているSIXAXISを全部置き換えるぐらいの位置づけでの提供を行って欲しいところです。今後発売されるPS3には標準装備、現状のSIXAXISも希望者は交換対応ぐらいしたら神ですね。もっとも、振動機能不要な人にとっては、現状のSIXAXISの軽さを気に入っている人もいると思うので、1000円ぐらい値下げして現状の振動なしSIXAXISを販売継続とかもいいかもしれませんね。ただし、通販限定とかで。
年末前にどの程度「空気を変えられるか」が勝負
正直、現状のPS3を取り巻く雰囲気は、かなりネガティブなものが漂っています。夏商戦を過ぎて急激に勢いを失いつつあるとはいえDS+Wiiの現状の販売台数は圧倒的ですし、コア向けゲームもXbox360とのマルチが増えてきており、少なくとも「PS3優位」とは言えない状態でしょう。
そして、ゲーム機にとって最大の勝負所である年末商戦についても、PS3は実弾としては今のところGT5もプロローグ版のみ、それ以外だと独占タイトルはガンコン3付属のタイムクライシス4ぐらいで、キラーと誰もが呼べるほどのものは来ていません。(一応、真・三國無双5もXbox360と同発マルチながら有力な弾ではありますけど。)これに対して、WiiはスマブラXとマリオギャラクシーと、既存タイトルの延長ではありながらも任天堂的には過去に大きな実績を持つタイトルを持ってきています。Wiiは性能も比較的低く、飽きられるのも早いと見る向きも強いですが、この年末商戦でお話にならないレベルの差をつけられてしまっては、PS3が挽回できる頃にはWiiの次世代機が出てきてしまい、それこそPS→PS2の流れを真似される可能性もありますからね。
こうした状況から、とりあえずこの年末商戦に関しては、SCE的には純粋に実弾だけでのガチ勝負よりも、PSブランドを生かしたイメージ戦略も含めた勝負をしたいところでしょう。そうした意味では、この東京ゲームショウは日本国内において年末商戦に向けて、大々的イメージ戦略を打てる最大の機会であることは確かだと思います。一応、昨年の来場者は20万人弱はあったようですしね。世界的な影響力は昨年までのE3よりは劣るとは思いますが、日本のコアゲーマー向けへのアピール力は結構なものでしょう。
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正直、上記で上げたようなサプライズ要素を全部実践したらSCEに相当な出費がかかりそうな感じはしますし、ソニーがそこまで本当に目先の損を許容するのかどうかは疑問が残るところはありますが、少なくともSCE平井氏的には現状打開のためのきっかけが欲しいことでしょう。どの程度ソニーのPS3に対する「本気」が見られるか、明日の平井氏の基調講演が楽しみですね。