様子見モードなスクウェアエニックス
ドラクエとFFという2大RPGを抱え、今なお大きな影響力を発するスクエニことスクウェアエニックス。自分はファミコン→メガドラ→セガサターン→PS2と変遷してきただけに、ドラクエもFFも4までしかリアルタイムで体験しておらず、一番脂ののった時期を実体験してこなかったためそれほどの思い入れはないメーカーで、それでもドラクエやFFという名が付くだけで発売前から期待を集める状態は、さすがスクエニ、という印象を強くします。
こうした、スクエニの抱えるファン層を非常にビジネスライクに見つめているのが、社長でありCESA会長でもある和田洋一氏。かつて「『FF』や『ドラクエ』はユーザーが張り付いている」とか、「アップデートがあるからデバッグコストは軽減できる」と、電波発言をとばしてゲーマーを唖然とさせたりしましたが、その割に金儲けに関しての感覚はさすがなもので、DSが好調な時になかなか他のサードが乗り遅れていたのに対し、FF3DSやDQMJなどでDS陣営でもサードトップへさくっと上りつめ、WiiでもDQSで注目を集めるなど、ことビジネスという点については非常にうまくやっている感じがあります。(もっとも、相変わらずゲーマーの受けは悪いですが。)
そんな和田氏が、海外の「FINANCIAL TIMES」というサイトでインタビューに答えていることが2chで紹介されていたので、以下ざっと訳しながら簡単に紹介してみたいと思います。
FT.com / Companies / IT - Handhelds drive games market, says Enix chief
和田氏のコメントについて
まずは、市場の変化と注力度合いについてのコメント。
「市場には新しい種類のゲーマーが入ってきています。我々は全ての種類のゲーマーに向けてゲームを作っていく必要があります。以前は、単にプレイステーションとゲームボーイに注力すればよかったのですが、状況は完全に変わってしまいました。」
以前は、据置機と携帯機について一番の陣営だけに注力していたと、ドライに言ってしまうところが和田氏らしいですね。どちらかの陣営に組みするわけでなく、一番売れるところを単に選ぶと。
そして、続いてドラクエIXをDSで出すことにした件についても述べています。
「我々が(DQIXを出すプラットホームとして)ニンテンドーDSを選んだのは、それまでゲームをプレイしたことがなかった含めて、広い層の人々がそれを使っているからです。」
こちらはまあ日本でも発言していたことですね。「一番売れているハードで出す」という、旧エニックスの頃からの主張を引き継いでいるとも言えます。
このあと、アナリストが「PS3独占のゲーム開発をすることはリスクだ」といった分析を加えてから、和田氏の次世代機についてのコメントが載っています。
「(次世代機は)機能が多すぎます。それに、HDTVやブロードバンド接続、ゲームについての深い知識も必要とします。こうしたハードは、現在の環境にはそぐわない物です。1,2年の間に改善するでしょうが…」
PS3発売前は「高性能の追求を諦めない」などと、DSが爆発中でもハイスペック路線を支持するコメントをしていた和田氏ですが、さすがに現在の状況を見て、態度を若干日和見モードに移行してきた感じですね。まあ、たしかに今年はリメイクでつなぐと言って大量のFFタイトルを出したりしていましたし、FF13の発売も年度内はないと言っている状態ですから、当たり前の発言だとは思いますけどね。
日和見モードのスクエニ、決断の時は
以上、ざっと記事から和田氏の発言を抜き出して紹介してきましたが、基本的に各所で発言している内容と大きくは変わりませんね。他機種展開などは昔から和田氏のスタイルですしね。一時期は携帯電話が携帯ゲーム市場も奪うことを想像していたみたいですが、DSの成功を見てDSにも本腰を入れるようになりましたし、なまじゲーム畑で育ってきた人間でない分、確固たる信念とかプライドというのがなく、その場その場で一番「稼げる」ところを選んできている感じです。
とりあえず、次世代機戦争は序盤戦はWiiが圧勝している感じですが、本当にこのまま数年SD+モーション操作で進むのか、それとも2011年に向けてHDゲームへの移行も進むのか、そしてそのときXbox360とPS3のどっちが生き残るのか、まだまだ不確定な要素満載です。
ビジネスライクなスクエニはその都度、状況に応じて出すソフトを選択して出していくのでしょうが、果たしてこの先、大きな決断の時は来るのでしょうか。もし来るのだとしたら、そのときが次世代機戦争終了の時なのかもしれませんね。(その前に、タイトル濫発→ブランド低下で衰退してしまう可能性もなくはないですが。)