NiGHTSの操作方法の模索とWiiのモーション認識について

セガサターンファンが期待と不安と共に待ちこがれているであろうWii版NiGHTS。初出の時もそうでしたが海外での期待の方が高いのか情報が海外から流れてくることが多いです。

今回もまた海外から。大手ゲーム情報サイトIGNに、プロデューサーの飯塚隆氏がインタビューに答え、その内容が掲載されています。それを、海外情報に詳しいGameSparkさんのところで翻訳されて紹介されています。

Game*Spark - : 気になる操作は?スタッフは?『NiGHTS: Journey of Dreams』海外インタビュー by Miu

リモコンを使った新操作とヌンチャクでの従来操作を検討

基本的なところは過去に紹介した内容と変わらないのですが、もう少し具体的に検討内容が語られていますね。気になる操作性ですが、自分が予想していたリモコンで魔法の杖のようにループを描く方法をやはり最初に検討した模様。ただ、この方法ではどうもどこかで壁があるようですね。その後従来の方法も検討してヌンチャクスタイルでもプレイできるようにしたようですが、そうなるとその「魔法の杖」バージョンがどこまでブラッシュアップされているのか気になります。一応、「ゴールは2重にあり、どちらでも楽しんでもらえるようにする」と言っているので、本当にそうなってくれることに期待したいところですけど。ネットワーク機能についてはまだ詳細は検討中、グラフィッククオリティ上げることに注力しているっぽいですね。

まだまだ難しそうなモーション認識

しかし、やはりWiiリモコンのモーションセンシングは結構難しいようですね。そもそも、リモコンについている1つの3軸加速度センサのみでは、たしかに情報が漠然としていますからね。瞬間的な動きでは、詳細な動きまでは解析が難しいでしょう。

ドラゴンクエストソードで縦横の切り分けが難しいのもその辺が原因のように思います。経験的な判別ルールでは、人間の微妙な動きを分類仕切れないんですよね。XYZ軸に生じた加速度が、果たしてどの動きから生じたのか、目で見ても分かりにくいものをセンサの値だけから分別しなければいけないわけで、ヒューリスティックな方法では単純にY軸の加速度だけ見るとか、対象を絞ってON/OFFと強弱程度にしか使えないでしょうから。

一応こうした問題については、動きの連なりを見て解析すれば動作分別はある程度出来ると思います。そうしたアプローチを取ることを出来る開発ツールとして「LiveMove」というのがあり、以前に紹介したことがあります。

わぱのつれづれ日記 - Wiiのジェスチャ認識実装を助けるミドルウェア「LiveMove」

こちらのツールを見ると、複雑な動きの認識、そしてユーザーごとへのパーソナライズも出来るということで、Wiiのジェスチャ認識に対する伸びしろは感じられます。ただ、そもそも連続した動きでコマンドを入力するような形式だと、その分入力遅延は生じてしまいます。瞬時な動きで素早く入力できるが単純な動きしかできないのと、複雑な動きを入力ができるけど遅延が起きるものと、このあたりのバランス感覚とかが大変そうですね。ある意味、素早い入力で微妙な角度まで求められる「剣を振る」という動作の方が、正確な認識は難しいのかもしれません。

さらなるモーションセンシングの可能性

本当は、Wiiにさらに絶対座標値を取るような仕組みがあるといいんでしょうけどね。現状センサーバーは単なる赤外線光発生装置にすぎず、リモコンの戦闘にあるCCDカメラでテレビに向けた際の中心点を提示しているだけです。ここで、センサーバーの両端に本当に電波受信装置が付いており、リモコンから発せられる電波を受け取って三角測量によりリモコンの絶対的な位置が分かれば、もうちょっとモーションセンシング用の情報が増え、複雑な動作が認識出来るようになると思うんですけどね。

とはいえ、センサーをこれ以上増やせば、当然それは製品コストにつながります。また、こうした処理すべき数値データがさらに増えてくるとCPUの負担もきつくなります。GCとのCPU処理能力との差がそれほど大きくないWiiでは、そこまで複雑なモーションセンシングは難しいところがあるかもしれません。そう言う意味では、Wiiはとりあえず価格・センサなどのバランスを見て最適の選択をしたと言えるのかもしれません。

Wiiの次」も見据えて技術革新を

もしWiiがこの次世代機戦争に勝利し、モーションセンシングがデフォルトとなれば、その次の世代ではさらに凝ったモーションも認識できるシステムが出てくるでしょう。そのためには、センサ側のコストダウンや進歩だけでなく、その数値を解析するアルゴリズムも非常に重要になってくると思います。何も、チップの処理性能を上げて処理量やグラフィックを向上させるだけが先端技術な訳ではありませんから。ハードだけでなく、ソフト部分での進歩も今後ますます重要となるでしょう。

PCなどの分野ではキーボード+マウスという最強UIがあるために伸びが止まっているヒューマンインタフェース研究の成果を、Wii、そしてWiiの次に生かせるよう、各種研究者の方には取り組んでもらえたらいいなぁ、と思います。