様々な変更が加わった正式版〜インターネットチャンネルレビュー

様々なWiiのチャンネル機能として昨年末公開されたインターネットチャンネルのお試し版。正式版は当初3月のアナウンスとなっていましたが、その後のWiiHPでのインタビューで4月に延期されることが公表されました。その代わり、数々のフィーチャーが取り込まれているようで、そのこともそのインタビューで紹介されていましたね。
わぱのつれづれ日記 - 正式版の情報満載!インターネットチャンネルインタビュー〜リリースは4月中に延期

そして4/12、いよいよ正式版が公開されました。

インターネットチャンネル - Wii

いつもチャンネルの紹介は画像を交えて詳細に行っているのですが、今回はすでにWiiのインタビューで動画付きで紹介されていたこと、またBroadbandWatchのレビューがかなり詳しいこともあり、詳細はそちらを参照して頂きたいと思います。

Wii.com JP - 開発スタッフが語る『インターネットチャンネル』の話。
Wiiのブラウザ機能「インターネットチャンネル」正式版レポート - Broadband Watch

上記でよくなった点や特徴的なところは細かく触れられているので、自分は逆に主に前のバージョンとの違い、ワイド画面での使い勝手の変化など、細かい重箱の隅を突っつくような感じで紹介してみたいと思います。

使用感〜サクサク起動・動作

まずは、使ってみてすぐにわかる動作の機敏さについて。起動時間はロゴ表示まで約5秒、その後ホーム画面までが大体7秒ぐらいでしょうか。前のバージョンが大体トータル20秒以上かかっていたので、体感的にはかなり早くなった印象です。お気に入りやページ移動時の動作も全体的にサクサク感が増しています。

YouTubeなども、前だと途中で一時停止したり、完全にダウンロード仕切ってから再生していると途中で再生が打ち切られたり、ページが途中で勝手に移動したりと不安定なところがありましたが、だいぶ安定している感じです。

2種類になったズーム機能〜ステップズームは微妙なところも

ズーム機能は今回からエリアズームに加え、ステップズームも追加されました。エリアズームは、お試し版同様、対象エリアに合わせて適応的に拡大率が変わるモード。ツールバーを非表示にしてYouTubeの動画などにカーソルを合わせエリアズームすると、自動的にフルスクリーン表示状態になるので結構便利ですね。

一方、新規に加わったステップズームは、以前よりいろいろな人が要望を出していた機能ではあるのですが、結構微妙。というのも、ズーム開始位置と、ズームを戻すときの位置があまり一致しないためです。なんか、ズームイン、ズームアウトをしているとふらふらしてしまう印象なんですよね。一応カーソル位置を考慮しているようですが、ちょっと違和感があります。基本はエリアズームと同じ動作で、対象となるエリアに対して段階的に拡大率を変化させる、という仕様の方が分かりやすかったような気もします。
以上の理由から、自分はエリアズームを利用しています。まあ、ワイド表示だと元から画面がでかいのでズーム必要性が減ったというのもありますけど。そもそもこの2種類のズームを設定によって排他的にしか選べないところも、微妙な感じがしますね。

スクロール機能〜十字キーでも可能に

スクロール操作は、インタビューで紹介されていたようにBボタン押したに押したところからの矢印が表示されるのですが、ちょっと感度がよすぎる感じがします。前のバージョンより、微妙なスクロールがしにくくなった印象。また、後で触れますがワイド表示では横の解像度が減少してしまったため、横スクロール発生比率が増えており、Bボタンスクロール時に左右にふらふらスクロールしてしまうがよく起こりました。十字キーでスクロールできるようになったので、ある程度そっちで代用はできるのですが、親指をAから十字キーに移す手間がちょっとうざいところもあります。(まあ、これはTVリモコン送付時の時点で分かっている、Wiiリモコンそのものの仕様でもありますけどね。そのあたりについてはテレビリモコン レビューを参照。)

ショートカット機能〜Bボタン同時押しで様々な機能が

今回から加わった機能として、ショートカット機能もあります。Bボタンを押しながら十字キー、+、-ボタンを押すとそれぞれに割り当てられた機能が実行できるというもの。

たしかに、それなりに便利ではあるのですが、最大のネックは「Bボタンとの同時押し」ということでしょうか。Bボタンはスクロール機能も兼ねているため、Bボタンを押すと画面がスクロール開始してしまいます。この状態で別のボタンを押すと、手がぶれて画面が微妙に動いてしまい、これが非常にうっとおしいです。B+「-」ボタンでの「戻る」動作などはかなり便利なんですけどね。

上記のようなふらつきを避けるには、基本的に「リモコンを画面外に向ける」という心がけを行うことです。画面内にカーソルがなければ、Bボタンを押してもスクロールしませんからね。基本は十字キースクロール+ショートカット、リンククリック時だけカーソル利用、というスタイルなら便利に使えるかもしれません。この辺は慣れが必要ですね。

効果音〜多少耳障りなところも

また、効果音が色々増えているのですが、ちょっと耳障りなところもあります。スクロール時のカチカチという効果音は、もうちょっと目立たない音でもよかったのでは。日頃携帯でもなんでも、ボタン操作効果音は切って利用している自分としては、効果音のオンオフも選べるようにしておいてほしかったですね。リンクに乗っかったときなどはフィードバックで最低限必要だとは思いますけど。
何より納得できないのは、「TV側とリモコン側の両方で効果音が鳴ること」。これはかなり鬱陶しいです。Wiiのチャンネル画面なんかだと、効果音はTV、リモコン側は振動でボタンの感触を表現しています。しかし、インターネットチャンネルだと、効果音がTVとリモコン、両方から聞こえちゃうんですよね。これが結構違和感を感じてしまいます。
正直、これってバグなんじゃないでしょうか?慣れるといえば慣れるものではありますが、できれば改善して頂きたいポイントです。

画面の表示幅〜ワイドでは縦幅が減少

次に、画面の表示領域について。今回からフォントにアウトラインフォントが使われ、全体的に見やすくはなっています。文字もワイド表示の時はかなり大きくなった感じですね。ツールバーの自動表示OFFもつき、これだけでもぐっと画面を広く使えるようになった感じです。

ただ、この画面表示幅関連はいろいろと引っかかるところもあるので、詳しく触れてみたいと思います。

正式版とお試し版の違い

まずは、正式版とお試し版について、本ブログの表示の差を4:3、16:9それぞれについて示してみたいと思います。

  正式版 お試し版
4:3
16:9

上記のように、4:3は一見画面表示幅が大きく、ツールバーが狭くなったような印象を受けますが、詳しく見比べると実はツールバーの幅は変わっていません。お試し版にあった、上方の黒い領域の分もレンダリングするようになって縦幅が広くなり、相対的にツールバーの幅が狭くなった錯覚があるだけです。ボタンが若干小さくなり、戻る・進むボタンが一体化して横長に見えるのも、視覚的にいい効果を与えているようですね。

そして、大きく表示が変わっているのが16:9のワイド表示。明らかに文字が大きくなっているだけではなく、明らかに画面内の情報量が減少しています。特に、お試し版では4:3よりも縦の行数が多かったのに、正式版では4:3よりも大幅に行数が減っているのが正直、納得できないですね。たしかに、前のバージョンでは文字が小さすぎ、拡大表示しないと文字が読みにくいということはありましたが、今度は逆に文字を大きくしすぎている印象がします。

この問題は、Wiiの画面表示が横幅800で固定されてしまったことに起因します。ようするに、ワイド表示は4:3の表示から上下を削っただけ、ということなんですよね。お試し版はむしろ縦幅を固定し、横幅を4:3の時は800px、16:9の時は1024pxと変更していたのを、ワイドの時は上下を削るという仕様に変えてしまったわけです。

画面幅設定と表示領域の比較

これは、今回から加わった設定画面の「画面幅の調整」と併せて見ると分かりやすいです。画面幅調整では画面幅を1から10まで調整することができ、デフォルトは5となっています。以下に、4:3と16:9の時における、画面幅1,5,10の例を示します。

画面幅 4:3 16:9
1
5
10

上記の画面を見ても分かるように、画面幅を数字に応じて広くする、という設定でありながら、実際には順に上下のカット幅を広げ、その分左右の黒部分を減らして拡大表示をしているだけです。
まあ、この画面幅調整はテレビのオーバースキャンへの対応が実際には主目的だとは思います。画面幅10などは、このキャプチャカードで取り込んだときはちゃんと表示されますが、テレビ側だと画面幅5以上ははみ出しちゃったりしますからね。そのあたりのオーバースキャン率への対応機能に過ぎないということなんでしょう。

ワイドテレビの情報量<<4:3テレビの情報量に

しかし、上記のように4:3の画面の上下を削ってワイドにする設定にしたため、「ワイドテレビの方が4:3のテレビより情報量が少ない」という、変な現象が生じてしまっている訳です。ゼルダでも生じていた逆転現象ですよね。
ワイドテレビだと32型以上の大きなテレビも多く、ここまで字を大きくする必要は無いと思うんですけど。たしかにお試し版では文字がつぶれて見にくかったですが、横幅は1024pxのまま、ワイドの時は若干基本文字フォントサイズを大きめにするだけで、問題は解決できたように思うんですけどね。幅が減って、横スクロールが生じる機会も増えてしまいましたし。横幅800px固定にした方がソフト的にいろいろ仕様がすっきりする、というところはあるとは思いますが、もうちょっとワイドテレビ向けのチューニングをうまくやってほしかったなぁ、という感想です。

正直これだったら、Wiiの設定を4:3にして、ワイドテレビでレターボックス表示にして使った方が情報量が多くて使いやすいぐらいなんですよね。16:9のまま使うなら、画面幅を最小の1にした方が少しでも情報量が多くなります。それでも4:3表示より少ないのが何ですが。

今回の件は、任天堂がよくやりがちの「大多数の低い方の基準に合わせて仕様を決める」という罠に陥ってしまった感じです。大多数を重視するあまり、少数のより環境の整った人をある意味軽視してしまう現象です。
別にスタンダードテレビだと使いにくい仕様にしろと言っているわけではありませんが、より高い環境を持った人にその機能を発揮させない、それどころかスタンダードテレビよりも劣る体験を提供する姿勢というのは、正直なんだかなぁ、という感じがしてしまいます。特に、今回はお試し版では情報量が多くできていただけに残念です。これは仕様の問題なので、バージョンアップで大きく変える、ということはない気はしますが、できれば仕様の再検討を願いたいところです。環境整えている方が損した気分になる、というのはなんか間違っている感じがするので。

Wii向け勝手サイトに影響も

ちなみに、この画面幅問題は、Wii向けのサイトでも一部問題が発生しています。まず、これまでワイドでも読みやすいように文字フォントを大きめに設定したところは、ワイド表示だとさらに大きく表示されすぎてしまいます。
また、特に問題があるのがWiiTube。
WiiTube - YouTube for Wii -

正式版に合わせて映像の横幅を画面幅いっぱいにして表示されるようになりましたが、これだとワイド表示では映像の上下が切れてしまい、全部を見ることができません。現状だと、ワイド表示ではWiiTubeはまともに使えない感じです。
まあ、これはWiiTube側でワイドも考慮したサイズに設定にしていただければ解決する問題だとは思いますが、Wii向けに調整していたサイトは、この例と同様、このワイド側の表示仕様の違いを考慮していろいろ調整する手間が生じそうですね。(逆に、双方にケアできていないと、どっちかの設定をしている人が不便になってしまう可能性があります。)

まとめ〜完成度は向上、一部仕様変化にとまどいも

以上、苦言が多くなりましたが、全体的には安定度も増して、表示できるサイトも増え、使い勝手はましたと言えるでしょう。ワイド表示の画面幅も、上記では文句をいろいろ述べましたが、通常のウェブブラウズでは文字のつぶれが減った分、ズームをあまり併用せず閲覧できるようになったのはいいことです。

一方、効果音だけはちょっとバグくさいところもあるので直して欲しいですね。ワイド表示の画面幅も、できれば縦幅減少でなく、純粋に横幅を大きくする設定も用意して欲しいところです。横幅800pxだと、横スクロールが発生するページも結構多いですし。

まあ、あとは慣れというところですかね。とりあえず6月末までは無料でダウンロードできるので、Wiiを持っている人は是非ダウンロードしておきましょう。また、できれば有料に移行する段階で、もう一度バージョンアップをしてほしいところですね。