豪華クリエーターのそろった「福岡ゲームクリエイターズ・サミット」

任天堂の圧倒的なムードが続く昨今のゲーム業界ですが、任天堂以外のゲームクリエーターも世間からいろいろと注目されています。特に、ファミ通はその傾向が強く、しきりにクリエーターをクローズアップすることが多いですよね。

そんな有名クリエーター達が、福岡で開催された「Game for Future 2007」の「福岡ゲームクリエイターズ・サミット」に多数集まったようです。
トップクリエイターが福岡に集結! 福岡ゲームクリエイターズ・サミット開催!! / ファミ通.com

上記については、普段自分の記事でもよくお世話になっているゲーマーホリックさん、N-Styleさんが参加したらしく、記事にとりあげられていますね。

GFF 会場より - ゲーマーホリック
[NS] 「Game for Future 2007」に行ってきた
[NS] 福岡ゲームクリエイターズサミットに行ってきた

堀井雄二氏が普通に歩いているところがなかなかすごい光景ですね。ミーハーな自分だったら思わずサインを求めていそうですw。その他、「龍が如く」のヒットで注目を集めた名越氏、PS3のキラー候補「MGS4」を開発中の小島氏など、かなり豪華なメンバーがそろっている印象です。

堀井雄二氏のコメントについて

トーク内容については、後ほどN-Styleさんが詳しく記事にされるそれに期待なのですが、とりあえず現状でもファミ通にそれなりの文章が、またゲーマーホリックさんでも印象的なコメントが載せられているのでちょっと触れてみたいと思います。

まずはファミ通の記事から。堀井雄二氏がDQSのことについて触れています。

ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔』は最後の調整が難しくて……。Wiiのコントローラーがね。開発状況は、8割……ん〜10割かな(笑)

DQSは自分もWii体験会で触れて、初Wii体験の割にいまいちだったため酷評したソフトです()。その時の感想で一番大きかったのは、リモコンを振ったときの動きと画面上の斬撃との不一致でしたが、やはりまだそこで調整が入っているっぽいですね。ただ、堀井氏が真剣に調整しているのであれば、ある程度期待できるところもありますが。キャラが増えたり、道具のバリエーションが増えたりと、内容の充実はだいぶ図られているだけに、どの程度完成度が上がっているか注目ですね。ただ、個人的にはまだ警戒心の方が高いですが。

DQ9についても、1人プレイを重視するという発言が繰り返しでていますね。ルイーダの酒場についても言及されています。まだしゃべれないことも多い、と言うことですので、何か目玉要素が隠されていそうな感じですね。今後の情報に期待しましょう。

小島秀夫氏のコメントについて

続いては小島氏。まずゲーマーホリックさんの記事ではなかなかの爆弾発言も。

メタルギア4の進捗はぼちぼち。発売日は言えない。調整には入ってないけど、すすみ始めている。PS3はまだかわなくてもいいかも!?

うーん、PS3でのMGS4発売まではまだまだかかりそうな印象ですね。また、ファミ通の記事で述べている以下のコメントもなかなか興味深いです。

ゲームの進化というのは、グラフィックではないんですよ。文字量とか、世界観の構築。電脳空間に密度の高いものを作って、それをどっぷりと遊んでもらいたい。そう思わせるものを作らなきゃいけない。新しい技術を吸収しながらデジタルエンターテインメントを作っていきたいですね。ハードの進化だけではなくて、それに技術的なものを取り入れる必要があるんですよ。

なまじグラフィックを第一の売りにすることの多いPS3の筆頭にいる立場の人が、グラフィックだけでないとコメントするのはなかなか面白いですね。自分も、昨今のPS3Xbox360の苦戦ぶりを見るに、グラフィックの進化だけでは人々が付いてこないというのは感じていますので、こうしたビジョンを明確に持っていることは素晴らしいと思いますね。グラフィックだけなら洋ゲーとかかなりすごいですし、日本のクリエーターはそれ以外のところでも大いに才能をふるって欲しいものです。

名越稔洋氏のコメントについて

次は、どう見てもゲームクリエーターには見えない名越氏についてw。自分は龍が如くを大々的にお金をかけてCM展開した際、シェンムーのときとかぶって「セガはやっぱり馬鹿だなぁ」と思っていたものですが、ここまでヒットするとは驚きました。任天堂とは別のアプローチで、ゲーム業界に別の風を吹き込みましたからね。この件で自分も、名越氏について大いに見直したところがあります。

その名越氏のコメントは、なかなか含蓄があるものになっていますね。とくにファミ通の記事の「ゲームの未来」に対する以下のコメントでしょうか。

いまの状況は、長く業界にいる人ほど、革命的とは思わず「いまの状況はなぜ」って思う。脳を鍛えたいというニーズではなくて、コンテンツによって何がもらえるのかをユーザーがわかっている。感動でもエキサイティングでも競争心でもいい。はっきりと「このソフトがあなたに与えるのはこれですよ」ということを、エンターテインメント作品は言わなきゃいけない時代だと前から思っていました。いま新たにゲームを買っている人に対してのアプローチとして、ドラマ性というのはまだまだ可能性がある。そのためには、いままでほうっておいた問題をどうにかしないといけない。僕はゲームにも業界にも恩があるし、使命感を持って取り組みたい。絵が描きやすいキャンパスを後人に残したいですね。

この「このソフトがあなたに与えるのはこれですよ」というコメントは、非常に感動しましたね。脳トレも、ただブームだ、知育ゲーだと非難する人が多い中、その成功要因を明確に分析しているところが、流石だなと思いました。最近のゲームは、どうしてもあれもこれもできて、その割に軸の部分はありきたり、ムービーとかのボリュームだけあるみたいな、個性の乏しいゲームが多数ありました。そうしたゲームの中において、きちんと「ユーザーの見る目」を高く設定し、その上で「与えられる価値」に注目してソフトを作る。こうした姿勢は他のクリエーターにも見習って欲しいところですね。

上田文人氏のコメントについて

上田氏は、ICOワンダと巨像などで世界中から注目されるクリエーターなのですが、今回のメンバーでは若手に入るからか、コメント自体は控えめな感じがしますね。その中で興味を引いたコメントはファミ通の記事の以下のものでしょうか。

プレイ時間の変化に関しては、時代に応じて変わっていくもの。いまはある程度の時間で現実に戻さなければならないと思います。それは時代に合わせないといけないんですよね。

ゲームが中古対策などもあってかとかく長時間かかるようになり、そのこと自体が時間の無い社会人などから敬遠されたりしていたわけですが、そうした事についての認識は持っているようですね。「現実に戻す」という表現がなかなか面白いな、と思いました。

PS3用のゲームを作っているようですが、こちらもなかなか時間がかかりそう。PS3は、どうもキラー候補どれも開発期間がかかる物ばかりなのがネックな感じですね。ただ、ワンダでもPS2の限界に迫ったグラフィックを実現していただけに、PS3を生かして上田氏がどんなゲームを作ってくるのか、興味深いところです。

一般人とクリエーターの交流の場として歓迎

以上、ファミ通の記事を中心に自分なりの感想を述べて来ましたが、こうした一般人も入れる場でクリエーターの生の声が聞けるというのはいいものですね。東京ゲームショーなどでも、逐次イベントなどでは各ブースやってましたが、こうした対談形式のイベントというのも魅力的ではあります。
できれば、任天堂にもこうした生の声を聞かせてもらえる場面を作って欲しいですね。宮本茂氏や岩田聡氏の生のトークを一度聞いて見たいものです。株主総会とか、講演などを積極的に動画で流してくれるのもありがたいですが、是非ともそうしたクリエータとゲーマーとの交流などもやっていただけたらな、と思います。