ソフト枯渇を打破できないSCE
最近これといった話題のないWiiに対して、PS3はコンスタントに話題となっていますね。今日は以下の話題が注目されていました。
プレステ3 20GBモデル、1週間でせいぜい1台しか売れない
近所のショップでも年明けに数台売れた後、ここ1ヶ月ほど残り台数表示が一切変化していませんが、アキバですらこの状態というのは、なかなか深刻です。今回は、この苦境の原因として、ファーストのSCEに注目して少し考察してみたいと思います。
「苦境を打破するキラーソフト」を持たないSCE
PS3の現在の苦境の原因はいろいろあるかと思いますが、一番大きいのは「ソフト不足」でしょう。高くても60GBモデルのほうが売れているのを見る限り、値段よりもソフトの方が影響が大きいように感じます。最初はコンピュータとして売ることを考えていたから仕方ないのかもしれませんが、こうしたソフト枯渇の状況を生み出さないためにも、まずはファーストが最低限のソフトを出していく必要があると思うんですよね。
結果的に負けハードだったセガサターンやニンテンドウ64だって、コンスタントにファーストが良作を出し続け、「この本体を買わないとこのゲームは遊べない!」という満足度をユーザに与えていました。しかし、SCEはPS1では頑張っていた物の、勝利確定の中だしたPS2ではいまいちそうした「SCEならでは」というソフトを出せませんでした。
みんなのゴルフやGTは非常に強力なソフトではあるのですが、基本的にSCEは「圧倒的に有利な立場でのゲーム開発」に慣れてしまった印象があります。苦しい状況を打破するような、「このソフトをやるためだけに本体を買っても悔いはない」という、そんな強力な求心力を持つソフトを作る力が、PS2のぬるま湯時代にすっかり薄れてしまった感じです。
様子見ムードのサード
PS3は確かにサードの有名タイトルを多数予定として抱えているのですが、所詮サードはサード。PS3の現状を見て、我が身を犠牲にしてもソフトを出して本体売り上げを引っ張っていく、という気概を見せる会社はあまり見られません。他にも選択肢はあるわけですから、とりあえずタイトル発表だけして様子見、というところが多いように思います。
まあ、でもそれも無理はないと思います。結局、SCEとは会社が別な訳ですから。SCEの子会社になっているならともかく、PS2時代の義理だけでは商売はやっていけないと言うことでしょう。(それでも、バンナムなどはかなり気合い入れてやっている感じですが。)
業界大手スクエニ社長で超ビジネスライクな和田氏も、「今は踊り場だから手堅く稼ぐ」とか言っちゃってますしね。
スクウェア・エニックス、2007年3月期第3四半期決算説明会開催。タイトーの不採算部門に対する対策を発表
PS3の先行きが不透明なうちは、とりあえずリメイクやDSでの開発にリソースを回して稼ぐ、そうした堅い経営をされてしまうと、サード頼みではいつまでたってもPS3のソフト枯渇が解消されないことになります。
「自分の身は自分で守る」心意気で
結局、SCEは「本体だけいいものを作れば、後は勝手に付いてくる」という甘い思想でリソース配分をしてしまった感じですよね。「自分たちがソフトを作らなければ死ぬ」という、危機意識が足りなかったように思います。PS3のソフト開発はそんな短期間でできるものではないでしょうから、半年以上発売『延期』してなおこの惨状というのは、かなり前の段階からSCEの方針が間違っていたと言うことなんでしょうね。さすがに今はいろいろソフトを作っているのでしょうが、果たしてそれが出るのはいつになるのか。そして任天堂みたいに本体を強力に牽引するソフトを作れるのか。逆境の中だからこそ、ファーストの実力が問われていると思います。
本日バーチャファイター5、来月にはガンダム無双が出ますが、PS3で期待のサードのソフトは年度内はこのぐらい。やはり、SCE自らがキラーソフトを率先して出していかなければならないでしょう。「そのうち誰かが助けてくれる」という、他力本願な姿勢ではなく、「自分の身は自分で守る」という、自立した強い覚悟で臨んで欲しいですね。
P.S.
当初「半年以上発売して…」と記述していましたが、「半年以上発売『延期」して…」の誤りでした。誤解を与えて申し訳ありませんでした。