SCEAがXbox360の画像をPS3の画像としてロゴ付き掲載

先日、名言「ただしソースはソニー」が生まれる元となったSCEAの「SIXAXISエミー賞受賞」誤報。そのSCEAが、今度はシャレにならないレベルでの過ちを犯してしまったようです。情報は再び、名言を生んだEngadetです。

ソニー、Xbox 360ゲームの画像でグランツーリスモを宣伝 - Engadget Japanese

やらかした内容は、Xbox360のPGR3のゲームスナップショットに、GTHDのロゴを貼り付け、PSP関連動画をダウンロードするページのトップに置いてしまったというもの。他社製品に、自社製のロゴをつけて、自社トップHPに掲載という、前代未聞な内容ですね。ホンダがトヨタの車に自社ロゴをつけてHP掲載するようなものでしょうか?ソフトバンクがドコモの携帯を使って宣伝とかでもいいですけど。ともかく、常識的に同業競合相手の製品を使って自社製品をアピールするなど、通常まず起こらないようなことでしょう。

ちなみに、SCEAは以前にもPS3Appleマークが出るという失態をしていますが、これに似ている印象はありますね。
公式サイトのプレイステーション3にアップルロゴ - Engadget Japanese
ただ、今回は完全に競合他社の同ジャンルソフトですから、シャレになっていないわけです。

事件の経緯の推測

こうした事件が起きた経緯については、GameSparkさんのところで少し詳しく考察されています。

Game*Spark - : 大誤爆!PSP Connectのトップで『PGR3』(Xbox360)のスクリーンショットを使用 by RIKUSYO

こちらの推測では、GTHD用の素材をGoogleイメージで検索したときに、上位にPGR3の画像が出てきてしまったから、使ってしまったのでは、という推測です。たしかに、十分ありそうな話ですよ。

もう少し細かく自分も推測してみると、そもそもこのPSP Connectと言うサイトは、何もPSPだけ、SCEだけの宣伝ページではありません。
Game*Spark - : 大誤爆!PSP Connectのトップで『PGR3』(Xbox360)のスクリーンショットを使用 by RIKUSYO

上記のページを見ても、非常に様々な種類の動画が公開されています。こうしたHPの性質を見ても、HP制作を外注が行っていた可能性はかなり高いでしょうね。

そして、実際に起きた流用改造事件。現在はすでに修正済み名分けですが、当時の改造画像掲載HPがウェブ魚拓でしっかり保存されています。
ウェブ魚拓

今回問題の画像部分はHPの目立つところに掲載されていますね。ただ、これもあくまでGTHDの最新トレーラーと言うことで、動画コンテンツのあくまで1つという位置づけです。そして改造画像はあくまで動画の見出し的な位置づけとなります。

こうした動画の見出しは、動画の中の一部をスナップショットを取って利用したのではどうしても汚くなってしまうので、基本的には何らかの静止画を元に作成することが多く、この場合もその例に当たります。では、その静止画をどこから用意するか…、そこで今回は問題が起きてしまったのだと推測します。

対外的責任の所在は当然発注元

通常こういった作業を外注にさせるのであれば、画像ソースは発注元がチェックしたものを渡すか、著作権関連がクリアになっているデータベースを提供するものだと思います。デザイナーが自分からWebで取ってきていたら、著作権問題はすぐ生じてしまうでしょうから。まともな精神を持っている企業であれば、素材の取り扱いには十分注意するものです。

ですので、このミスが本当に担当レベルが勝手にネットから取ってきたのだとしたら、発注元のSCEAのコンプライアンスに対する意識は最低評価となるでしょう。また、著作権クリアなデータベースにPGR3が混ざっていたとしたら、その原因を探るべきです。意図せず混入していたのだとすればそれはそれで問題外ですね。

そして、例えデザイナーがミスを犯したのだとしても、それのチェックが十分に行えず、Webに掲載してしまった時点で発注元もアウトです。対外的な責任は全てSCEAがかぶるのが、世の中の常識ですね。(もっとも、SCEAからこの外注に対して厳しい対処が取られるのもまた当たり前ではあるでしょうが。)

明確な法律違反で弁解の余地無し

いずれにしろ、「担当のちょっとしたミス」ですまされる問題ではありません。特に、「GTHD」のロゴを後から入れてしまっているのがたちが悪すぎます。画像に改変が加えられていなければまだしも、自社ロゴを書き加える行為は明確に「改造」とみなされます。

著作権法は、基本的には親告罪と言って、著作権者からの訴えが無ければ罰せられることはありません。ただ、そうは言っても、他社製品画像を自社製品画像へと改変してしまった時点で、法律違反は法律違反。それは明確な事項な訳です。

自社ロゴを後から加えていることもあり、もしMicrosoftが訴えれば有罪はほぼ100%でしょう。ただ、同業種内で些細な問題で訴訟を起こしてもあまり世間体はよくないですし、被害を莫大に被ったと言うわけでもないでしょうから、おそらく訴えないような気はしますね。(もっとも、その分別の部分で謝罪や対応などを裏側で求めたりするかもしれませんけどね。ゲーム以外の付き合いもあるでしょうし。)

一刻も早い謝罪と対策案の発表を

とにかく、裁判になるかどうかはおいておいても、正直常識的には考えられない、本当に低レベルでの法律違反を犯したのは事実。先日「ただしソースはソニー」という言葉が生まれたのですが、今回の件でEngadetさんはさらに「ソニーにはよくあること」という文句も生み出してしまいました。うがった見方をされれば、今後はそのニュースだけでなく、通常の画像1つ1つについても疑ってかかられる可能性もあるわけで、もうほとんどオオカミ少年状態ですよね。不二家事件といい、昨今は企業のコンプライアンスが非常に厳しく問われる世の中。今回の件は海外法人とはいえ、その程度の低さを晒す結果になってしまった訳です。

このまま知らぬ存ぜずの黙りを通すのではなく、まず問題が発生した経緯、そして問題点の確し、今後の対策案を含めて公式にコメントをすることが必要でしょう。そうしないと、一般人はともかく、情報に敏感なネット住民、ブロガーにはいつまでも白い目で見られてしまうでしょうから。謝罪して好感度が上がることもありますし、SCEAには勇気を持って誠意ある対応を望みたいところです。