Wiiインタビューの締めで岩田社長自らがコメントと謝罪

Wii発売当日まで、いろいろと情報を収集し、エントリにしてきた自分ですが、期待が大きい分、ちょっとした任天堂の不手際にも厳しくつっこんできました。つい先日も、急遽延期したD端子ケーブルの件で、かなり主観的な視点ではありますがキレたコメントを書いたものです。

わぱのつれづれ日記 - WiiのD端子ケーブルの発売延期?!

基本的に、自分は無責任にきれい事を述べることが多く、自分に批難された側がそれをまともに解消することは、並の企業ではそうできることではありません。一般人から見て「ずれてるなぁ」と多くの人に見られていても、そのズレをそう簡単に補正できるものでは無いと思います。

しかし、任天堂が面白いと思えるのは、やはり岩田社長の存在です。自分が今まで見てきた中で、これだけ尊敬できる経営者は見たことがない、という印象ですね。天才的な強さ、度胸、判断力、というのはたしかにちょくちょく見るのですが、岩田社長のように理詰めで戦略を練り、消費者から見ても納得できるような形で現実にしていく様は、実に壮観ですよね。

今回、Wiiの国内発売に合わせて、2ヶ月にわたって続いてきた「社長が訊くWiiインタビューが終了しました。細かいWiiの情報が分かるだけでなく、任天堂の思想、仕事の進め方など、純粋にビジネス向け読み物としてもその価値が高い企画だったと思います。そしてその結びとして、岩田社長がコメントをしているのですが、これの後半部分が実に印象的です。

一方で、発売直前になっての「Wii専用D端子AVケーブル」の発売延期で楽しみにお待ちいただいていたお客さまや、直前での変更手配でご負担をおかけしてしまった流通関係者や小売店のみなさまにご迷惑をおかけしていることや、現在実現できたWiiの本体機能が、全て私たちの当初描いた理想通りに実現できているわけではないことなど、数多くの反省点もあります。また、商品は開発・製造して終わりではなく、お客様のお手元で期待通りに動作し、年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わず誰にでも受け入れていただくことができるまではゴールに到達したとは言えません。その意味で、私たちの「Wiiプロジェクト」はまだ終わっていません。これからも、インターネット経由で本体をアップデートする機能を使って、私たちが考えてきた理想に少しでも近づけることができるように、そして、多彩なソフトやチャンネルが揃うことで最終的に家族誰もが自分に関係のある商品として毎日Wiiリモコンを触っていただくのが当たり前になる日が実現できるまで、私たちはチャレンジを続けていきます。
社長が訊く Wii プロジェクト - おわりに

なんと、このWiiインタビューの締めで、D端子の延期、そしてWiiチャンネルなど本体機能の未実装について、社長自らの言葉で謝罪を述べています。これらのドタバタしたこと自体はやはりほめられた物では無いと思うのですが、こうして自分などの一部で不満の声が上がっているものに、即座に社長自らが謝ることができるというのは、正直なかなかできるものじゃないでしょう。「仕様だ」と開き直ったり、情報を隠しておいて「この程度なら気にならない人もいる」など後からコメントしたりと、どうしてもまず「ご迷惑をおかけしてすみません」と言った謝罪の言葉を出せない人・会社の方が、世の中ではむしろ多い気がしますので。このあたりの消費者の意識に敏感に対応するところには、やはり岩田社長のすごさを感じてしまいますね。こうした反応を返してくれるからこそ、自分も安心して、一消費者としての結構厳しい批判も言えるというものです。

もっとも、岩田社長がいくら敏感に対応していても、実際に手を動かして開発などを行うのは、その他任天堂社員です。Wiiインタビューのゼルダ関連を見ていても、様々なメンバーがいるときに、一定のクオリティを保ったソフトを提供していく、というのは並大抵のことではないことが分かります。SDカードがファームアップしないと使えないらしいですが、そうした面も含めて、任天堂技術者の方々にはなんとか頑張って欲しいですね。岩田社長のビジョンが、消費者の目線から見てぶれが非常に少ない以上、あとはいかにその他技術者がそのビジョンを実現していくか。今回のWiiではかなりばたばたしたところが多いですけど、こうしたトラブルを解決していくことで、長期的に見れば任天堂の底力アップが図られていくように思いますね。

株価も上場以来最高値をつけ、非常に調子のよい任天堂。マネジメントでは岩田社長が非常に優秀、さらにクリエイトでは宮本茂氏がいるという、強力な態勢。他の陣営がいまいち突き抜けたような展開ができない以上、現状では非常に強い位置にいると思われます。後は、自分がもっとも懸念している「事故・傷害」関連への対処だけですね。今回の締めのコメントでも、それらには触れられてませんでしたし。製品安全について非常に消費者の目が厳しい昨今、大きな事故などが起きると、今の任天堂の優位さも一気にひっくり返ってしまう可能性があります。訴訟云々だけでなく、とにかく「消費者が被害を受けることがないこと」を実現すべく、しっかりとした対応を取っていただきたいものです。岩田社長の手腕に、今回も期待させていただきます。