ゲーマー待望のWii「ゼルダ」インタビュー開始

各所で結構な好評を得ているWiiインタビュー「社長が訊く」。前回までのWiiSports編に続いて、いよいよゼルダ編となりました。これまでの話が、主に非ゲーマー、家族へのアプローチばかりで、コアなゲーマーが置いてけぼりのような印象も一部ありましたが、発売1ヶ月以上前にゼルダインタビューが始まったのはよかったな、という感じです。


とりあえず、現在は2回分のインタビューが公開されています。
第1回 「言語化されていない、『ゼルダ』らしさ」 - Vol.5 『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』編
第2回 「機能の面からの発想」  - Vol.5 『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』編

この2回では、主にゼルダに加わった開発メンバーの感覚や苦労、宮本茂氏の印象などが語られていますね。以下、インタビューを見て感じたいくつかのポイントについて、自分の主観などを述べていきたいと思います。

開発陣の「ゼルダ感」と、自分のゼルダへの期待

第一回の「個々のゼルダ感」については、本当にばらばらな感じですね。全体的にあるのは、「謎とき」、「さまざまな可能性の実現」とか、そのあたりでしょうか。皆悩みながら作っている印象はうけます。

自分はゼルダ自体はGB「夢を見る島」だけ攻略記事なしで自力でクリアしており、それ以外はプレイしていません。夢を見る島の感想としては、やはり謎解きのバリエーションの豊富さとバランスですかね。どれも、謎解きには典型的RPGの発想を一ひねりしてやる必要があり、それを思いついて実行すると本当にうまくいく、それが小気味のよいリズムで続くのが楽しかったです。
それ以前にGBで聖剣伝説をプレイしており、これはこれでストーリーもよく面白かったのですが、夢を見る島をやってみると、聖剣伝説は謎解きが単調で安易のものが多かったな、という印象。ゼルダの、自分で考えて解いていく楽しさ、というのが薄かったように感じます。


ただ、最近はゲームをプレイする際に攻略記事、ネットの情報が豊富なため、こうした新鮮な楽しみが出来るかどうかは不安ですね。時のオカリナも中古で購入し、あわせて攻略本も買ってしまったのですがこれが失敗。蜘蛛を効率よく取っていこうと攻略本を見ると、大人時代と子供時代との謎解きがごっちゃになって記事なっており、いつになったらクリアできるとか、アイテムが取れるようになるとかがネタバレしちゃんですよね。正直、攻略本を買ったのが大失敗だと感じたソフトでした。結局大人になったぐらいでとまっちゃったんですけど。
Wiiゼルダは、できれば攻略記事が出揃う前に自力で楽しみたいところ。ただ、問題は北米の販売が11/19で、おそらく日本の発売日には壮大にネタバレ情報が出回っていることなんですよね。FF12のEDなどと同様、2chなどでは相当コピペされてしまうでしょうし。かといってその間2chなどをまったく見ないのもつらいので、本当に新鮮に遊べるか不安がありますね。できれば、本筋ネタバレしても個々の細かい謎解きで楽しめるようになっていてほしいと思います。

開発者へのチャレンジ「宮本氏の『とほほメール』」

第1回、第2回で、ミヤホンの仕事内容についてもいろいろ語られていますね。有名な「ちゃぶ台返し」も話題に出ていますが、これについてはあまり今回は批判的なものはなかった模様。(発売延期について個々の開発者が「ほっとした」というコメントばかりなのは、GC版を首を長くして待っていて肩透かし食らったファンたちへの配慮に欠けるコメントだな、と気になるところもありましたが。)

今回の宮本氏の仕事について面白いコメントは、主に京極あやさんという、フィールドのゲームデザインを担当している方がいろいろ出されていますね。

まずは面白いのが「とほほメール」。宮本氏が感覚的に指示した内容について、それへの対応が宮本氏の意図に沿ったものでないと、「やってみたら、こうなってて、とほほでした」という内容のメールが届くと言うものです。

これは、正直かなり開発担当者はきつく響くでしょうね。婉曲な言い方でも、明らかに否定的な意見ですし、それがしょっちゅうくるのでは開発者も大変でしょう。しかも、世界の宮本氏ですしね。自身の構築したものが宮本氏の目にかなわない、ということはそれなりにショックでしょうし、自身のモチベーションとしてもそういった宮本氏の「とほほ」は何とか解消したいと思うでしょうし。

ただ、そうした細かいところに対する口出しが、結局任天堂のソフトのクオリティを高めているんだとは思うんですけどね。サードのゲームをやっていてちょくちょく感じる、「こんなの、素人でもちょっとプレイすれば変な仕様だと分かる」というところが任天堂ゲームに比較的少ないのは、そういう宮本氏の細かなこだわり、そしてそれに答えているうちに鍛えられた開発者によるものなんじゃないでしょうか?

大きな変化を呼ぶ「仕様の紙」

もう一つ面白いのは、同じく京極さんが発言した「宮本さんの3日プラン」というもの。なんでも最初の村でまず1日過ごす、というものを3日過ごす、ということにE3後の段階になって変更されたと言うもの。長年作ってきたゲームなのに、E3後に変化させるのですからね。他にも、サブイベントのものを本編イベントにも持ってきたところがある模様。結果的にはどちらもうまくいっているようですが、こうした大幅変更をやられると、普通の仕事だと「コストに見合わず、失敗した事例」となることが多いのですけどね。

ただ、納期を優先してしまい、質が伴わないものを作ると、最近ではユーザーが簡単にブログや2chなどで発言できてしまうため、ブランド価値を下げてしまうことも確か。宮本氏の「仕様の紙」を用いたちゃぶ台返しは、ある意味職人のこだわりのようなものですよね。こうしたところが任天堂への信頼感を高めている理由でもあるでしょう。

とはいえ、いくら任天堂でもリソースは限られています。仕様変更を繰り返しては、トータルでの利益率が下がってしまうのは間違いありません。最終的なクオリティを保つための仕様変更の勇気は必要かもしれませんが、今後はいかにそうした変更規模を減らすか、そして宮本氏以外がそうした分別をつけていけるかが大事になると言えるでしょう。また、これは任天堂に限ったことではなく、他のソフトメーカーもこれがどの程度適切に出来るかどうかで、消費者の中でのブランドイメージが今後数年間で大きく変化していくと思います。


とりあえず、今回のWiiローンチでゲーマー向け注目ソフトNo.1はゼルダなのは確実です。それ以外がどうしてもミニゲーム的なものが多いですからね。ですので、ゼルダの完成度次第ではゲーマーのWii全体の評価が大きく変化することでしょう。今後のインタビューの内容も大注目ですね。