次世代ゲーム機に対してITmedia内で意見対立

ゲームを含めたIT関連ニュース大手のITmedia。その記事ランキングの説明記事で、次世代ゲーム機に対しておもしろい意見の対立がありました。発端はまず、以下の記事。

ITmedia News:次世代ゲーム機が欲しくない

この感想文章を書いたのは、IT戦士こと岡田有花。女性ながら妙に濃いキャラで、TVに出演したりUSBクリスマスツリーの人形モデルになったこともあるITmediaでは知名度No.1の記者です。
ITmedia PCUPdate:きっとキミは来ないけど、かわりにヤツが来ちゃった♪――線メリ2004年モデル (1/3)
過去の記事などは、以下のサイトが詳しいみたいです。
IT戦士 フルスロットル


今回の、単に記事ランキング紹介なのに、ゲーム業界全体を否定しちゃうようなタイトルを堂々記事につけれちゃうところが、さすがIT戦士って感じですごいですね。でも、言っていることは至極もっともなことであります。

社会人になって時間がなくなると、クリアまでに何十時間もかかる、RPGのような本格ゲームをプレイする時間がもったいなくなった。HDDレコーダーに取り貯めた好きな番組も見る暇がないのに、フィールドを何時間も歩き回ってレベルを上げたり、地図をチェックしながらダンジョンを巡ったりするようなゲームはあまりにまどろっこしい。

ブログや2chなどではよく言われていることではありますが、大手マスコミでこうしたコメントが出ることは珍しいですよね。どうしても、広告費とかの関係が合って、存在自体を否定するようなコメントは普通できないでしょうから。でも、自分もRPGについては全く同様の感想を持っているので、非常に共感を覚えました。別に社会人でも時間が全くないわけではないのですが、それでも余暇の時間は学生と比べればかなり少ないです。それだけに、多数の時間がかかると先に分かると、非常に萎えてしまうんですよね。20時間でクリアできるとか聞くと、逆に「それぐらいならなんとか」と食指もうごきます。でも、20時間ですら1日2時間しか時間がとれないと10日かかるわけで、他の趣味に時間をかけると1ヶ月仕事になってしまうわけです。そうなると、ちょっとした時間で楽しめるアクションゲームとか音ゲーの方が楽しめる感じはするんですよね。

とはいえ、このIT戦士も、そのあとの指摘はちょっと知識不足なところが。

限られた可処分時間を、どうやって自社サービスに振り向けてもらうか――ネットサービスなどでは頻繁に聞くこの視点だが、ゲーム関連ではあまり聞いたことがないような気がする。単に記者がゲーム離れし、ゲームに割く時間を愛せなくなっただけなのかもしれないが……。

この、「限られた可処分時間を、どうやって自社サービスに振り向けてもらうか」という視点は、まさに任天堂Wiiチャンネルで意図していることです。IT戦士なら、Wiiのインタビュー記事とかちゃんとチェックしておいてほしかったところですね。


実際、このIT戦士の感想について、即座に反論が出ています。
ITmedia +D Games:次世代ゲーム機は絶対欲しい
同じITmedia内の、今度はゲーム関連記事ランキング紹介というのが面白いところですね。こちらの反論も、結構もっともなことを言っています。この反論の中で、Wiiについては以下のような分析。

同社が発表した「Wiiチャンネル」での天気予報やニュースが、果たしてWiiの電源を常に入れるきっかけとなるのかは分からないが、一般的なネットサービスと同じく、“なんとかユーザーの限られた時間を使わせてゲーム機に向かわせよう”という試み、努力はひしひしと伝わってくる。

もくろみ通り成功するかはともかく、他のジャンルの競争相手と向かい合う意志がWiiからはひしひしと伝わってくると語っています。これは、E3後にファミ通のアンケートでWiiが圧勝していたときに、宮本茂氏が「アンケートの選択肢に『どれもいらない』というものがない。我々はそれと戦っている」と言ってましたが、まさにこれに対して真摯に取り組んでいる印象です。
わぱのつれづれ日記 - 「Wiiはね、次世代機じゃないんです」〜宮本茂氏が語る、Wiiの魅力〜 - ファミ通インタビュー


一方、PS3については、以下のような感想。

Wiiは「Wiiチャンネル」で多様化に対応する糸口をつかもうとし、プレイステーション 3はハイビジョン対応、HDMIBlu-rayに加えて、ゲームをダウンロードして転送するだけでなく、いまでも“AV機器”として活躍しているシーンが多いPSPとの連携を視野に入れたりと、“メディアサーバ“としての活用法も考えているかもしれない。

こっちは、要するにAV機器であることが他の競争相手に対するメリットという解釈ですね。とはいえ、正直PS3久夛良木氏も具体的なサービスなどをこの時期になっても語っていないだけに、ちょっとあやふやな印象はしますね。本来、Wiiチャンネル的なネットワークサービスは、PS3こそが売りにしなければいけなかったような感じもします。結果的に本体値下げしてゲーム機的なビジネスをするようですし、戦略が非常にアンバランスな感じがしますよね。


Xbox360については、上記のような非ゲーマーへの弾が少ない、という印象。ただ、Vistaとの連携という指摘は十分にあるかもしれませんね。日本ではゲーム機として売り、PS2との差別化ができず失敗している印象はあるので、何らかの対策は必要な気はします。とはいっても、むやみに追加してもより一層コンセプトが揺らいで訳分からないマシンになる危険はありますけど。


結局、各陣営とも、なんらかの手段で非ゲーマーをとりこみ、市場を拡大していく仕組みが必要だということでしょうね。PS3をBD目的で買った人がゲームも買ってくれる比率と、子どものためにWiiを買って親がゲームに触れてくれる比率、一体どっちが大きいのかが、今後の両陣営のハード、ソフトの売り上げを左右しそうな印象がしますね。IT戦士は、買うとしたらどっちを買うのか。また後日コメントしてほしいところですね。