PS3、量産トラブルで欧州での発売が3月に延期、国内初日出荷も10万台に

発売まで2ヶ月程度となった現状に置いてもロンチなどの情報がはっきりせず、いろいろと不安要素がささやかれていたPS3。その不安が現実のものとなり、本日衝撃的なニュースが飛び込んできました。

【速報】 SCE,欧州におけるプレイステーション3の発売延期を発表,Blu-ray対応半導体レーザの量産遅れで - デジタル家電 - Tech-On!


この速報以降も各種マスコミが報道しています。

SCEE、PS3の欧州での発売時期を2007年3月に延期。日本・北米では変更なし - GAME Watch
SCEE、青色レーザーダイオード生産の遅れにより PAL地域で「PS3」発売日を延期
プレイステーション3、欧州での発売時期が変更に / ファミ通.com


緊急記者会見が、紀子さま男子ご出産(予定日も9/6)と同じタイミングと言うことで、なかなかのすばらしい偶然ですよね。ただ、そんなタイミングでも流石にネタがネタだけに、一般マスコミも多数がネットでは報道してます。(TVでは皇室関連でかき消えて微妙でしょうが。)

ITmedia +D Games:PS3、欧州での出荷を2007年3月に延期
asahi.com:ソニー、「PS3」の欧州発売延期 一部部品の調達遅れ-ビジネス
「プレステ3」欧州発売を延期、部品の量産化遅れる : 経済ニュース : 経済・マネー : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
Sankei Web > 経済 > PS3の欧州発売、来年3月上旬に延期(09/06 22:25)
ソニーPS3の欧州発売を3月に延期 - 社会ニュース : nikkansports.com

○先端技術山盛り搭載が足を引っ張る形に

詳細については、以下の記事が現状では以下の3つの記事が詳しいようです。

ソニー:PS3の欧州発売を延期、年内の出荷台数は世界で半減 - Bloomberg.co.jp: マーケット
【詳報:PS3量産遅れ】「リスクを取らなければイノベーションはない」と久多良木氏:ITpro
【PS3続報】久多良木氏,「出荷遅れの経緯」「Cellの現状」「ソニーの技術力低下」を語る - デジタル家電 - Tech-On!(要登録)

結局、原因はBlu-ray用の青色レーザーの量産化に手間取ったことのようです。ITproの記事よれば、7月に量産化行程でトラブルが発生、それの解決策がやっと整いつつあるので、今回の発表になったとのこと。欧州の発売日だけ延びたのは、中国の工場と欧州が地理的に遠く、PS3の重量も重いことから航空便の利用が困難である、という理由が大きいようです。(というか、本体の重さ5kg、周辺アクセサリを含めると7kgというのもなかなか衝撃的ですが。Xbox360も同じぐらいだったようで、また持ち帰るのに苦労しそうな重さです。)

ちなみに延期の理由としてBloombergの記事では、「ゲームソフトも多言語対応などが必要で、発売時期が比較的遅いものが多いためら」ということも理由に挙げてます。でも、現在日本でもロンチに確定しているソフトは少ない状態。果たして日本でもソフトがそろわなかったらどうコメントする気なんでしょうね。それこそ、堂々と国内も延期する口実になるんでしょうか?

今回の事態について、久夛良木氏は「リスクを取らなければイノベーションはない」と言ったようですけど、トラブル起きてからリスクと言われても…。まあ、前から言っていたのかもしれませんが、リスクを選んで本当に失敗してしまったのでは、なんだかなぁ、と言う感じですよね。
一応、「私はPSの父。すべての責任は私にある。申し訳ないの一言につきる」と、ITproの記事によれば現場をかばっているようですが。(もっとも、日刊スポーツの記事だと、ソニーの製造技術や能力が落ちたのではとの質問に対して「その通りかもしれないが」とか発言しているようですけどね。)

そもそも、前回延期した理由が「次世代HDMIの策定の遅れ」だったりしましたし、その後のインタビューでも以下のようなコメントをしていたわけです。

初回出荷台数を200万台、またその後の出荷台数も発表されたが、この件に関しても「もちろん、これはきちんと用意できると確認した上で発表した数字です。地震や盗難といった突発的な問題が発生する可能性もあるので絶対とは言えませんが、そういったトラブルさえなければ、まったく問題ない数字です。ですから、きちんとこの数を出荷しますので安心してください」と自信をのぞかせる。
ITmedia +D Games:やっとすべてを発表できた――SCE久夛良木健氏プレスイベント直後インタビュー

結局、ここで久夛良木氏が確認したものはいったい何だったんでしょうね?久夛良木氏の言葉を信じて、PS3のロンチに間に合わせるためソフト開発を死にものぐるいで頑張っていたサードソフトメーカーの人たちは、今どう感じているんでしょうか。

○出荷不十分で11/11に発売強行するべきなのか

日本と米国は、発売日自体の変更はなし。しかし、初日の店頭出荷は日本で約10万台、米国で40万台とのこと。米国のクリスマス商戦は11/23から始まるため、これに間に合わせることが第一優先、ということのようです。というか、日本のクリスマス・ボーナス商戦は12月からでも間に合うんでしょうから、11/11に無理して10万台なんていう中途半端な数をそろえず、素直にPS発売の12/3ぐらいに発売日延期すればいいのに、と思うのは自分だけでしょうか?ニンテンドーDSは米国で11/21に第一に発売、国内発売は12/2でした。それぞれの商戦期にあわせた、実に理にかなった発売日だったわけです。PSPの場合は、逆に国内だけを優先し、12/12に発売。米国発売は3/24でしたわけですし。11/11に日本で世界に先駆けて10万台だけ発売するのは、一体どういった理由なんでしょうね?
Xboxでさえ初週12万、Xbox360でも初週6万台売っている訳です。昨日のC-NEWSのアンケートではないですけど、なんだかんだ言って現状のPS2人気を考えれば、それらXboxを遙かに上回る初期需要があることは確実。10万台程度の出荷では品薄が起こるのは必至でしょう。ITproの記事では毎週10万台ぐらいは出荷できると書いてあるので、それだったら発売日を12/3にすれば50万台ぐらいはそろえられるわけです。日本市場だけを考えたら、そっちの方がよほど消費者に優しいと思うのですけど。


以前、DS Liteを不具合があり、初回出荷をホワイト限定で大幅に削減したにもかかわらず、発売日厳守して発売強行したときも、自分は似たような文句を書きました。
わぱのつれづれ日記 - 任天堂に対する批判の広がりについて
わぱのつれづれ日記 - ニンテンドーDS Lite 新色発売顛末
たしかに、初回出荷が少なければ、行列は多数できるでしょうし、話題にもなるでしょう。品薄が続けば、人気があるのかと購入意欲が高まってしまうのは確かです。しかし、需要に対して少なすぎる供給は、当日の行列の中におけるトラブルの要因にもなりますし、転売屋の横行も促してしまいます。また、買いたくても買えなかった人がそうした状況を見て負の感情を抱くのもあります。DSの場合、空前絶後の売れ行き継続があるのでまだ比較的甘く見てもらえていますが、PS3の場合、初っぱなからそれをやってしまい、消費者はどう思うのでしょうか?これで初期不良でもあったら、目も当てられません。企業としてのメンツなどではなく、消費者のことを考えた対策をしてほしいものです。

PS2での防衛戦に迫られたSCE、対する任天堂の戦略に注目

ともかく、このトラブルでPS3の出だしはどう頑張っても限界が見えてきました。こうなると、昨日値下げを発表したPS2に頼らざるを得ません。以下の発熱地帯さんの記事で、「防衛戦」と称していますが、実に的を射た表現な気がしますね。
発熱地帯: 防衛戦を開始するソニーと欧米制覇が揺らぎ出したマイクロソフト
現状では、まだWii自体も実態のない期待感のみで、本当にDSみたく売れるかどうかは未知数です。SCE的には、まず値下げしたPS2で消費者に据置機にお金を出させてしまえば、たいして画質が変わらずソフトも少ないWiiの販売を阻むことができるというもくろみがあるかもしれませんし、実際、そうした可能性もあると、自分は思ってます。Wiiは、宮本茂氏も言っていたように「(次世代機の)どれもいらないと戦っている」状態な訳ですから。PS3がうまくいかないからと言って、それが直接Wiiの販売につながるとも限らないわけですし。
いかにして現状関心を持っていない一般層を引きつけるか。まずは9/14の任天堂の出方に注目したいと思います。