全く改善が見られないC-NEWSのアンケート

9月に入り、東京ゲームショーも近づいてきたことから、ここのところ停滞気味だった次世代機についても、徐々に情報が出てくるようになっています。9/14にはいよいよWiiの価格や発売日が明らかになりそうですし、PS3も徐々にゲーム画像やゲームショー出展タイトルなどの情報が出てくるようになっています。
そんな中、「PS3が一番人気」とするアンケート結果が出てきました。

今秋登場「PS3」が「DS」と激突? 画像処理、高機能が人気 - C-NEWS

えー、毎度おなじみ、C-NEWSです。PSPとDSに関するアンケートでことごとく実態と違うアンケート結果を出してきたことでも有名な調査機関ですね。自分も過去に何度もC-NEWSのうさんくささについてはコメントしています。

わぱのつれづれ日記 - ITmediaニュース:「PSP」でゲームしてみたい、10代の5割強
わぱのつれづれ日記 - ITmedia Survey:NDSとPSP、人気はPSPがややリード?
わぱのつれづれ日記 - 次世代ゲーム機:「PS3」の期待度高く4割弱が購入に前向き、「Wii」僅差で追随、水をあけられた「Xbox 360」 - C-NEWS

○C-NEWSのアンケート結果の妥当性

C-NEWSのゲーム関連アンケート結果の妥当性については、2chに分かりやすく示した例が載っていましたので、転載しておきます。

・2004/6/17 … 任天堂とSCEの携帯ゲーム機、発売前の人気が高いのはSCEの「PSP」
 →発売から3ヶ月の販売台数  DS 182万台  PSP 92万台

・2005/2/28 … ポータブルゲーム機、今後購入したいのは「ニンテンドーDS」よりも「PSP」
 →2/28から3ヶ月の販売台数  DS 51万台  PSP 43万台

・2005/3/11 … 現時点での購入者数は「ニンテンドーDS」、今後欲しいのは「PSP」に軍配
 →3/14から3ヶ月の販売台数  DS 53万台  PSP 38万台

・2005/11/18 … 年末までにゲーム機を購入する予定が「ある」13%、人気はPSP
 →11/21〜12/18までの販売台数  DS 102万台  PSP 33万台


http://c-news.jp/c-web/search.do?word=PSP&key=1&nowpage=1&submit_flg=1

まあ、よくもここまで実態と違うアンケート結果を出せるものですよね。これでも、アンケート結果を高いお金で売っているのですから、分からないものです。買う側も、こうした結果を見て納得しているんですかね。

○今回のアンケート内容の分析

上記のような、PSPとDSの件で懲りたのかと思いきや、今回またしても似たようなアンケート結果を出してきました。しかも、今回はあの日経産業新聞と協賛と来ています。日経はこんな調査機関を信用しているんでしょうか?それとも意図的?どちらにしろ、まず出だしからしておかしいですよね。
そのアンケート結果は、以下のようなもの。

Q:今後、欲しいと思う家庭用ゲーム機が「特にない」以外をお選びの方へ。あなたが今後、もっとも欲しいと思う家庭用ゲーム機を1つだけお選びください。【母数:667名】

プレイステーション3 …41.7%
ニンテンドーDS Lite …23.7%
ニンテンドーDS …13.3%
Wii …11.8%
PSP …6.7%
Xbox360 …2.2%

一応上記結果自体は、一応アンケートを実際に取った結果に基づくものとして話をすることにします。そうしないとお話にならないので。


まず、今回の次世代機を含めたアンケートですが、実はこうしたアンケートはC-NEWSで以前に一度行われています。

次世代ゲーム機:「PS3」の期待度高く4割弱が購入に前向き、「Wii」僅差で追随、水をあけられた「Xbox 360」

これについてもいろいろ問題があり、自分は先に挙げた06/5/23の記事で詳しくつっこみをいれています。

今回のアンケートも、上記アンケートに既存のDS、PSPが入っただけで基本的に変わりません。変わらないと言うことは、問題点もなんら改善されていないところです。一番あきれたところは以下の次世代機のスペック説明のところ。これ、驚くことに前回のアンケートの設問であった内容と全く同じなんです。順番がPS3が戦闘になっているだけです。

今回:アンケート:ゲームに関するアンケート
前回:アンケート:ゲーム機に関するアンケート

当然のことながら、前回自分がつっこんだ、以下の誤解を招く表現、間違いについても全く修正されていません。

  • 価格
    • Wii: 未定(業界推定:3万円前後
    • PS3: 6万2790円(ハードディスク20ギガB)
  • CPU
    • Wii: 米IBMと共同開発動作周波数729メガHz
    • PS3: ソニーグループ、東芝、米IBMが共同開発した「セル」(動作周波数3.2ギガHz、中核回路のコアは8個)を搭載
  • 特徴
    • Wii: インターネット常時接続機能「Will Connect24
    • Xbox: 外付けハードディスクDVDドライブを米マイクロソフトが年内発売

Wiiの価格については、すでに「2万5000円以上にはしない」というアナウンスが任天堂から公式に出ているのにもかかわらず、相変わらず3万円前後と高いまま。PS3が安い方の価格しか載せていないのも同様。WiiのCPUの周波数が全く公開されていないのに明記されていたり、「Will Connect24」や「ハードディスクDVDドライブ」という間違った用語もそのまんま。この程度の情報も直せず、調査会社を名乗っているのだから、あきれますね。


上記のように、もうアンケートの文面からしてやる気0の状態なんですから、もう前提からして変な訳ですが、そもそもの質問の仕方もなんか変です。というのも、このダイジェスト記事で取り上げている「もっとも欲しいゲーム機」の設問ですが、なぜか上記の詳細説明の前の設問18,19で行われているんですよね。そして、なぜかほしい対象にDSとDS Liteが分かれて載っている状態。アンケートのダイジェスト記事では、『「ニンテンドーDS」シリーズが37%』と、まとめているにもかかわらずです。また、そもそも『欲しいかどうか』という設問自体、価格差が考慮されないような曖昧な訊き方であり、アンケートの意味を薄れさせてしまっています。

○アンケート結果の解釈方法

以上のような傾向、アンケート内容から、一応、自分は今回の結果を以下のように解釈してみました。
そもそも、C-NEWSの取るアンケート対象自体が、普遍性に乏しい母集団であると言うこと。これまでのアンケート結果と現実との剥離具合から見ても、ゲーム機に対するイメージはかなり乏しいものだと思われます。そうなると、知名度が高いのは前王者PSと現王者ニンテンドーDS。とくにDSが二つも項目に含まれているだけに、その意識はより強くなるでしょう。品薄も続いていることですし。
Wiiについては、自分も前々から述べているように、E3で注目を集めたものの、現状で強く関心を寄せているのはむしろゲーマー層。一般へのアピールはまだまだこれからという状態なのは事実です。Wiiという名前自体知らない人も多いことでしょう。また、今後Wiiに関心を持ちそうな一般層の中でも、まずがDSに関心が行っており、Wiiまで気が回っていない状態でしょう。そうしたことから、知名度の高いPS3が一番、そして現状圧倒的人気のDSが2番目に来ていると推測できます。

ちなみに、前回のアンケートでも今回のアンケートでも、次世代機のみを対象とした設問も用意されています。前回のアンケートではPS3が6割弱、Wiiが4割という結果でした。それに対して、今回の同じ設問がどういう結果だったのか。そちらの方が気になるところですね。(もっとも、説明の表が変わっていないし、E3以降目立った情報も出ていないので、あんまり大差はないと思いますが。)


ともかく、C-NEWSの結果が実情とマッチする可能性が少ないことは過去の例が物語っていますし、情報が少ない現状では本当に参考程度にしかなりません。9/14の任天堂の発表、そして東京ゲームショーを過ぎたあたりぐらいから、消費者の実際の購入熱が高まってくると思われます。そこからが、両陣営の広報活動の正念場となるでしょうね。