ファミ通アンケート「PS3を次世代総合家電として見た場合の価格の印象は?」

先週のファミ通のアンケートで、PS3の価格について「高すぎる」という回答結果をよせられたわけですが、再びPS3の価格について、ファミ通.comでアンケートを採っているようです。
fromファミ通.com ゲームユーザーの意見箱応募フォーム / ファミ通.com
このアンケートの項目の記述が以下のような内容。

質問5.プレイステーション3の価格(ハードディスクドライブ20GBモデル:62790円[税込]、60GBモデル:オープン価格)について質問です。プレイステーション3はゲーム機としては高額な価格設定となっていますが、ハイエンドPCなみの高スペック、次世代メディア"ブルーレイディスク"の再生機能などゲームの枠を越えた機能が搭載されています。これらの機能面からゲーム機としてではなく、次世代総合家電として見た場合の価格の印象は?

  • 高いと思う
  • 妥当な価格だと思う
  • 安いと思う

…なんというか、「懲りていないなぁ」、という印象です。


以前、ASCII24で採ったアンケート結果に対する自分の分析記事文中で、設問の中でわざわざソニーに有利な主張を代弁した上でアンケートを採ることにへ疑問を呈しました(2006/5/21の記事)。
それ以前にも、C-NEWSが発売前のPSPについてのアンケートの中で、まずPSPの魅力的な機能というものを宣伝的に述べた後ほしいかどうか訪ねる、ということがありましたが、これも恣意的な回答誘導なんじゃないかと指摘した覚えがあります(2004/11/8の記事)。


今回のこの設問も、上記の非常によく似たケースのように思いますね。要するに、まず設問そのものが、ソニーの主張するPS3の魅力についての宣伝であるということ。そして、それを提示した直後に、製品についての印象を聞く、ということ。こうした手法は、よく商品のCMキャンペーンの際に、販売元主導で行われることがありますよね。イベント会場などで、商品の展示会の横で行っているアンケートとか。そういった場合は、明らかに意図として商品アピールと販売促進の意図が含まれているので、至極当然の方法だと思います。アピールした上で、そのアピールがどの程度消費者に受け入れられるか、という顧客の動向をつかむ、という感じですね。


ただ、ファミ通のアンケートでこの訊き方はどうよ?ってことなんです。単に、「ゲーム機としてではなく、総合家電として考えて高いと思うかどうか」ぐらいの設問でいいんじゃないですかね?わざわざ「ハイエンドPCなみの高スペック」「次世代メディア"ブルーレイディスク"の再生機能」といった、修飾語付きの補足がなんで必要なんでしょうか?どうしても、このアンケート結果から、「総合家電としては安い」という結論を得たがっているように見えてしまいます。(そもそも、「総合家電」としての価格印象を、「ゲーム情報誌」であるファミ通が聞くということ自体が奇妙ですが。)

ちなみに、先日のASCII24のアンケートでは、「ゲーム機としては高い:73.9%」「ハイスペックPCとしては相応:13.1%」「ハイスペックPCとしては割安:7.9%」という結果でした(ASCII24 - ImageView)。今回のファミ通の設問では、このうち「相応」「割安」という層はそのまま残り、「ゲーム機としては高い」という人に対してだけ、再び「家電としてはどうか?」と聞き返している形になります。そうなると、現状のHD DVDプレーヤやPC用BDドライブが10万ぐらいすることを何となく知っている人ならば、おそらく妥当、安いと答える人も増えるように思えますし、それがファミ通自身の読みのようにも思えます。
ただ、6万円程度のAV機器そのものを高くて買えない、買わないといった層は、依然として高いと答えるでしょうし、PS3の価格づけそのものに不満を持っている層は、それでもあえて高いと答えるような気もします。そうして、実際にこれだけ限定した設問ですら「高い」という意見が過半数を超えてしまった場合、ファミ通はどうコメントしますかね。先日のASCII24の分析のように、「安いという意見が○○%以上あった事実は見逃せない」とかコメントしたら、それはそれでたいしたものですが。


どちらにしろ、この設問からも、今週の浜村通信のコラムだけでなく、ファミ通全体としてPS3の総合家電路線をプッシュしていこうという態勢が見受けられますね。ファミ通自体、昨今は単なるゲーム雑誌ではなく総合エンターテイメント雑誌だ、といった主張をしていますが、それがさらに広がっていくという感じですかね。ファミ通の主要な読者層は主にゲーマーだったと思うのですが、果たしてこの総合AV路線に感化されて行くのか、それとも離れていくのか。それによって、この浜村社長の経営上の選択が正しかったのかどうか、数字で示されることになるのかも知れませんね。